リアクション
■終幕:収穫祭
「えー……皆様のご協力のおかげで収穫は滞りなく終えることができました」
村長の挨拶を聞く皆の前、いくつもの料理がテーブルに所狭しと並べられている。
まだ湯気が立っているものもあり、作り立てであることが見てわかった。
「ウキキキキキッ!!」
「うおおおおお!!」
挨拶のなか、すでに食べ物に手を出している者の姿がある。
ジョージとオリバーだ。村長が二人を見て口元をひくつかせている。
さすがに問題だと思ったのだろう。笠置と草薙が無言で拳を打ち込んだ。
「ウギュッ!?」
「ヌフゥッ!?」
腹を押さえて倒れる二人。
「ワタシたちのことはお気になさらず」
「わらわたちのことも気にするな。失礼した」
悶絶する二人をよそにしらっと告げた。
「はは、は。まあ長い話はいいでしょう。皆さん大いに食事をお楽しみください。本日は誠にありがとうございました」
その言葉と共に会場が盛り上がった。
テーブルを彩る料理の数々に多くの者が舌鼓をうつ。
「これはカボチャのスープか。ホリイも腕を上げたな」
「えへへ、頑張りましたよ」
夜刀神に褒められホリイは照れ臭そうに笑みを浮かべる。
褒められたのが嬉しいようだ。草薙も同じように褒めるので頬の紅潮は増すばかりだ。
他の場所でも大いに楽しんでいる様子で――
「ああ、頼んでよかった。このカボチャパイはうまいな」
「僕もだよ。プリンにスープも絶品!」
「そんなに喜んでもらえたなら頑張った甲斐がありましたねえ。セラータはどうですか?」
「え、ああ。うん。美味しい……すごく」
味わっているのだろう。カボチャの練り込まれているパンを口にしてゆっくりと咀嚼している。笑みを浮かべるとキリエも笑みを返す。どことなく気恥ずかしい空気が感じられた。仲の良さが窺がえようというものだ。
他の場所でも仲睦まじい様子が見られた。
「ラグエルもがんばったよー」
「おう。このマロンケーキはラグエルのおかげだな」
「頑張ってよかったですね」
笑みを浮かべるラグエルを囲んでリースたちが座っている。
その隣、一人だけ残念そうにつぶやいた。
「く、クレープがない」
「これおいしいよ?」
ラグエルが持ってきたケーキを口にする。
「ん、ありがとラグエル」
「えへへー」
■
食事会が進んでしばらくすると大きな鍋が会場に姿を現した。
「鍋もできたよー!」
セイレムが村人たちと一緒に鍋を運ぶ。
中身を皆に配っていく。
「熱いから気をつけてね」
村人を中心に配り始めたセイレムを見て葛城がコルセアに声をかけた。
「自分たちも手伝うであります」
「はいはい……」
彼女たちが手伝い始めてしばらくしてコルセアがセイレムを呼んだ。
「これなに?」
「ニンジンかな?」
彼女の視線の先、器の中には人型のニンジンが入っていた。
明らかに発育不良なサイズである。小さいからか、特に処理もされずに鍋に放り込まれたようだ。
「ケ、ケケ」
「ん?」
「キヒイイイイイイイッ!!」
ニンジンは叫ぶと飛び跳ねて逃げ出そうとする。
しかしニンジンが飛び出した先が悪かった。
――スパンッ!
一閃。ニンジンは横に真っ二つになった。
「食事の時くらいは静かにしてもらいたいものだな」
「美味しいから僕はどっちでもいいかなあ」
モーベットと清泉だ。モーベットは手にした包丁をテーブルに置くと食事を再開する。そこへコルセアが鍋料理を持ってきた。
「ごめんね。油断してたわ」
「問題ない。うん、これも美味しいな」
「僕も食べようかな」
「それならワタシが持ってくるわね」
コルセアは立ち上がると鍋に向かう。
「あ、俺のも頼んでいいかな? 綺麗なお姉さん」
途中エースが声をかけた。
「いいわよ。ちょっと待っててね」
去っていく後ろ姿に手を振るとリリアが話しかけてきた。
「エースも結構食べるのね。細く見えるのに」
「それを言ったらリリアも同じだろう? せっかく愛情の込められた料理が目の前にあるんだ。食べないのはもったいないよ。それに――」
彼はパンプキンパイを食べて笑みを浮かべる。
「絶賛されてカボチャも喜んでるさ」
そうして皆が料理を堪能しているなか誰かが呟いた。
「たまにはこういう日があってもいいですね」
こうしてちょっとした騒動のあったある秋の一日は過ぎていった。
お初にお目にかかりました。
そうでない方はお久しぶりです。砂鳥です。
今回のシナリオはあまり中身を考えずにシナリオガイドを用意していました。
なので収穫物の種類が増え、料理のレパートリーも増え、最後の食事会が大いに盛り上がる結果になっています。
今回の判定結果は最後に現れていると言っても過言ではないでしょう。
コメディとして演出を軽めに頑張ってみましたが楽しんでいただければ幸いです。
それではまた会う日まで。このたびはご参加ありがとうございました。
なお、特に目立ったアクションを行った方に称号を贈らせて頂きます。