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リアクション
第六章 歳末世直し団
シャンバラ宮殿、公園入口のすぐそばに歳末防犯対策本部が設置されていた。
そこでは武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)がひったくり犯からの押収品を整理していた。
牙竜は理子っちからひったくり犯の逮捕と防犯パトロールを任されているセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)のフォローをしに来たのだ。
現場をいそがしく飛び回っているパトロール班をサポートするために牙竜は本部に常駐している。
牙竜は持ち主が判明したらすぐ返せるようにと押収品をビニール袋に入れ、
さらに「バック」「買い物袋」などに分別し、すばやく確認できるようにしている。
そばではひったくりの被害に遭った人からブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)が犯人の人相を聞き、描画のフラワシで似顔絵を作成していた。
「『掃除』は得意よ。任せて♪」
ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は重火器を出しご機嫌である。
ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)がルカルカに言う。
「何と戦うつもりだ。相手はひったくり犯だろう?」
「え、ダメ?」
「却下。セイニィに迷惑をかけるだろうが」
ダリルはそう言った。セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)とルカルカはロイヤルガード仲間である。
「犯罪者の大掃除、私も手伝うわ♪」
セイニィが理子っちから空京のパトロールを任されたと聞いて、
ルカルカは契約者のダリルとコード・イレブンナイン(こーど・いれぶんないん)を連れてやってきた。
「教導大尉かつロイガ。治安維持と逮捕は私のお仕事よ。ついでに判官系のセイントだし」
ルカルカたちとセイニィは街に出た。
「すごい人ね。今は師匠も走らないとだし……」
ルカルカの言葉にセイニィがこう答える。
「この混雑で走りだすのはひったくりぐらいだと思うわよ」
「えっ、あ、そうだよね。うん」
コードがルカルカに告げる。
「そのひったくりが走り出したようだぞ、ルカ」
ひったくり犯はどうも集団らしい。
コードとダリルが先行してそのうちの一人を取り押さえる。
コードは犯人を取り押さえながらルカルカらに逃げた仲間を追いかけるように言った。
ルカルカはセイニィとアイコンタクトし、走り出した。
「私達から逃げられると思って? 女の子は怒らせたら怖いんだからねっ!」
ルカルカはそう言うとバルキリの羽で飛んだ。
セイニィは着用しているプロミネンストリックで飛んで犯人を追う。
『ルカの魔剣での百獣拳と、セイニィの光条兵器から逃げられる敵は居ないとは思うがな』
そう思いながらダリルはルカがセイニィと左右から犯人に攻撃できるよう雷銃を構える。
「ルカ! 首や胴を飛ばしたりするなよ」
「分かってる。剣は腹を使うよ」
ルカルカが幅広片手剣の光条兵器を構える。
「念の為言うが、撲殺も禁止だぞ」
「……加減する」
ルカルカは剣を振りおろし、犯人の一人を気絶させる。
犯人の仲間が迫りくるセイニィに向かって攻撃してきた。
ルカルカは”ゴットスピード”を発動しセイニィを抱き庇いつつ”常闇の帳”でその攻撃全てを吸収ガードした。
犯人を取り押さえながらセイニィがルカルカに言う。
「あなたに防御されなくても、避けられたんだからね、あたしは」
「うん、知ってる。けど体が動いちゃったんだもん」
ルカルカは笑って答える。
「国軍大尉、ロイヤルガードのルカルカ・ルーです。貴方がたを逮捕します」
ルカルカはミランダ警告を読み上げながら手錠をかけていく。
「手際いいな」
やってきたコードがそう言った。ダリルが答えて言う。
「慣れてるからな」
ダリルが指示し、コードが犯人たちを拘束する。
セイニィが握った右手を笑顔でルカルカに向ける。ルカルカもセイニィに応じて拳をこつんと当てた。
犯人らをルカルカらにあずけたセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)はシャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)とパトロールに出かけた。
「地球人観光客が多いですね」
街の人々を見ながらシャーロットが言う。
「さっき、集団のひったくり犯を逮捕したわよ」
そう言ったセイニィにシャーロットが言う。
「キマクからカツアゲ団が荒稼ぎに来ているとの情報が入っています。もしかしたらそれかもしれないですね」
吸っていたハッカパイプをしまいながらシャーロットはセイニィに合図する。
動向の怪しい男性がいるのだ。先ほどから同じ道を行ったり来たりしている。
その男性が店から買い物をして出てきた客の鞄をひったくって逃げた。
セイニィが追いかけるが、犯人はスパイクバイクに乗って走り出した。
シャーロットは”行動予測”と”ディメンションサイト”で犯人のスパイクバイクの逃走経路を予測した。
犯人を後ろから追いかけるセイニィに対し、シャーロットは別経路で犯人に近づく。
この犯人は単独犯らしい。周囲の状況からそう結論付けたシャーロットは”ポイントシフト”で犯人に急接近した。
”グラビティコントロール”で犯人のスパイクバイクを重力で縛り付け、なおも逃げようとあがく犯人に”氷像のフラワシ”で冷気をあびせる。
動きを封じられた犯人をセイニィが取り押さえる。
「この犯人は単独犯のようですよ、セイニィ。
逃走経路から考えますと、この街に詳しく、常習犯である可能性も高いと思われます」
シャーロットはそうセイニィに推理結果を述べた。
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