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リアクション
■第二幕:強襲、ドクター・ハデス
武道大会ソロ部門、その決勝戦が行われ歓声で会場が沸いていた頃。
闘技場の上空で周囲を監視していたブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)が会場へ近づく不審な影を見つけた。数にして三人。戦闘を歩く男は白衣を身に纏い高笑いをしていた。
ブリジットはその様子を内部メモリーに記録しながら仲間たちに連絡する。
「事前の情報通り彼らが来たようです」
(彼ら……オリュンポスか?)
「はい。遠目では正確には判明しませんが……手練れのようですね」
(おぬしがそう言うのならば相応なのだろう。わかった。こちらも腕の良い奴らを向かわせる。しばらく様子を見ていてくれ。他に不埒なことを行うものがいないとも限らん)
「――了解」
ブリジットは会話を終わらせると近づいていくる者たちの監視を継続した。
近づくにつれて彼らの容貌が見えてきた。
集団の戦闘を歩いていたのは、様々な地域で問題を起こしていることで悪名高いドクター・ハデス(どくたー・はです)であった。それが確認できるとブリジットは再度連絡を取る。
■
(見えた。対象はドクター・ハデスとその一味だと判明)
「わかった。あとは任せてくれ」
夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)はブリジットからの連絡を受けると、警備員に渡されているレシーバーを片手に各警備員に情報を伝えた。
「――以上。対象の担当はその三名とこっちから一名を送る。残りの警備担当は引き続き会場の警備にあたってくれ」
夜刀神は連絡を終えると隣を歩いていた草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)に顔を向けた。
どうした、といった様子で彼女も夜刀神に視線を送る。
「オリュンポスがこっちに向かっているらしい。……頼めるか?」
「よかろう。不逞の輩には相応の対処をさせてもらう」
「一般客に迷惑が掛からない程度にしてくれ」
夜刀神の言葉を背に、彼女はロビーのある方へと足を向けた。
■
武道会会場へと続く道を歩く者たちの姿があった。
ハデスを先頭にアルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)と奇稲田 神奈(くしなだ・かんな)が続く、さらに彼女たちの後ろを幾人かの戦闘員が付き従っていた。
彼は会場の前に辿り着くと片手を天に伸ばして叫んだ。
「フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクターハデス! 武道大会の賞品は我らが貰い受ける!!」
「あ、あの、ハデス様……試合に勝って、正々堂々と賞品を得るのではダメなのですか?」
「暗黒騎士アルテミスよ……これは我らオリュンポスの目的を達するための第一歩になるやもしれんのだ。そんな甘いことを言っていては――」
ハデスは言葉を止めた。
彼の視線は会場の入り口に向けられている。
そこには二つの影があった。
「予感はしてたが本当にきやがった……」
(いつもより数が多いわね)
彼、桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)は階段を下りながら刀を構えた。
リーゼロッテ・リュストゥング(りーぜろって・りゅすとぅんぐ)は魔鎧姿の彼女の言うとおり、確かに数は多い。見れば腕に覚えのありそうな者の姿もある。
「行け! 戦闘員たちよ!! 我らの力を見せる時は今このときだ」
ハデスの号令と共に控えていた戦闘員たちが桐ケ谷に襲い掛かった。
その様子を見ながら桐ケ谷は一笑する。
「さて、少々本気出していくぞ」
一閃。戦闘員たちが吹き飛ばされ階段を転がり落ちた。
圧倒的な力の差を見ながらもハデスは口元に笑みを浮かべていた。
戦いは始まったばかりである。
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