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今日はハロウィン2023

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今日はハロウィン2023
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リアクション

「へへ、ポチさん、今日は誘ってくれてありがとねー。シーサーさんにまた会えるの楽しみだなぁ」
 忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)の誘いを受けた完全魔動人形 ペトラ(ぱーふぇくとえれめんとらべじゃー・ぺとら)は上機嫌。
「……二匹が会いたがっていたから誘っただけなのですよ。僕は別に……」
 ポチの助はいつものツンな言葉を口にしようとするもペトラのフード奥の顔を知るポチの助はもしかしたら今可愛い笑顔ではと想像し思わず無意識に言葉を飲み込んだ。
 ポチの助がペトラの素顔を知ったのは不意打ち的だったが、フード外しても大丈夫だった事よりも可愛かった事が印象的でペトラへの意識が無意識に高まるも目を隠す事についてはそういう理由がある程度しか把握していない。
「ねぇねぇ、折角だから僕らもあのクッキーでシーサーの格好しよう! それであの二人を迎えに行こうよ!」
 ペトラは行き交うモンスター姿の人々を見ている内にハロウィンサブレに俄然興味を抱いていた。
「む、サブレですか。まぁ、僕はそれほど興味はありませんがペトラちゃんが食べるなら付き合ってあげるのですよ」
 ポチの助は毎度の通りペトラの誘いは断れず、付き合うのだった。

 そして、ハロウィンサブレでシーサーになった二人は
「ポチさん、かっこいいよ! 僕はどうかな、かわいい?」
 ペトラはその場でくるりと回る。
「超優秀なハイテク科学忍犬の僕がかっこいいの当然なのですよ。ペトラちゃんも悪くないのです」
 ポチの助は、ペトラに褒められ尻尾を揺らしつつ照れのあるいつもの調子。
 それから、仲良く雌雄のシーサーに会いに行った。

 無事に再会を果たし
「お前たち! 先日の温泉でペトラちゃんに会いたそうにしていたので仕方なく一緒に遊びに来たのですよ」
 シーサーとなったとは言え犬な姿に変わりないポチの助は胸を反らしながら連れて来たペトラをシーサー達に引き合わせる。
「シーサーさん久しぶり! 僕も会えて嬉しいよ!」
 ペトラはテンション高く挨拶をするが、シーサー達の様子は違い、どこか戸惑っていた。
 それを見たポチの助とペトラは
「この姿は……色々あるのですよ」
「前に妖怪の山で一緒に遊んだよ。今日もハロウィンのお祭りで遊ぼう?」
 シーサー達に事情を話したり知り合いだと主張する。シーサーは鼻をひくつかせながら二人の周囲をぐるりと回ったかと思ったら嬉しそうに鳴いた。どうやら確認作業は終わったらしい。
「早速、一緒に沢山遊ぶのですよ。こうして僕達が来たのですからね」
「いろんな人からたくさんお菓子を貰いに行こう」
 ポチの助とペトラの誘いにシーサー達は了解とばかりに答えるなり、遊びたくてたまらないのかトタトタと走って行った。
「お前達、待つのですよ」
「迷子になっちゃうよ」
 ポチの助とペトラは慌てて元気爆発のシーサー達を追いかけつつお菓子を貰って回るのだった。

「パラミタに来て二度目のハロウィン、か。祖国じゃあんまり盛んじゃなかったが、こっちは相変わらず大きな祭りだな。最初は少しびっくりしたものだが」
 アルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)は賑やかな街の様子を楽しんでいた。
「そうね。どこもかしこもハロウィンの格好をした人ばかり。という私もだけど。どうかな? 去年着た物だけど」
 仮装をしたシルフィア・レーン(しるふぃあ・れーん)は服の袖を軽く持ち上げながら褒めて貰おうと伺う。
「いいんじゃないか。せっかくだからこのままハロウィンデートとしゃれこむか」
「そうね。デートと言えば、ペトラも今頃ポチ君と楽しくしてるかしらね。はしゃぎながら待ち合わせ場所に行っていたけど」
 アルクラントの提案でデートをする二人の話題はペトラの事。こちらに来て早々ペトラは二人とは別行動を取ったのだ。
「あちこちでお菓子を貰っているだろう。私も今年はちゃんと用意してきたし」
 そう言ってアルクラントは手作りのクッキーを取り出した。
「用意って、アル君お菓子作ってきたんだ。私も何か作って持って来たら良かったかも。それに先々を考えると私も料理を覚えないといけないかなぁ。男の人にばかりに料理をさせるのもアレだし」
 シルフィアはクッキーを見て思いついた事を口にした。
 それを聞いたアルクラントは
「いや、シルフィアは覚えなくても十分だ。美味しくて食べてくれるだけでこっちは嬉しいから」
 やんわりとやめるように言った。何せシルフィアは料理下手なので。
「つまり、作るなという事? それほどひどいの私?」
 シルフィアはアルクラントの言葉に隠された真の意味を見事に理解。
「ほら、そんな事よりシルフィア行くか」
 これ以上料理の話はまずいとアルクラントは歩く速度を少しだけ速めた。
「ちょっと、アル君、どうなのよ」
 シルフィアは目を三角にして追いかけた。
 しばらくして
「マスターとシルフィアめっけ」
「トリックオアトリートなのですよ」
 雌雄のシーサーを引き連れたシーサーペトラとポチの助が現れた。
「ハッピーハロウィン、二人共サブレを食べたのね。可愛いわ」
 シルフィアは可愛いシーサー達に気分が和みほんわり笑顔。
「ほら、我が祖国式のクッキー、ソコクラントクッキーを持っていたらいい」
 アルクラントは用意しておいたクッキーを差し出した。水飴入りで甘みが強くもさっぱり味のクッキーだ。当然『調理』を有するアルクラント作などで美味しい。
「うわぁ、ありがとうマスター。甘くて美味しくてこのクッキー僕好きなんだ」
 ペトラはクッキーに喜びの声を上げた。
「……貰ってやるのですよ」
 ポチの助は言葉とは裏腹に嬉しそうに尻尾を振りながらクッキーを受け取った。
 アルクラントからお菓子を得た四匹のシーサーはまた他のお菓子を求めてどこかに行った。
「本当にあの二人は仲良くなったな」
「そうね。ペトラ、ちょっと沈んでいた事もあったけど最近は元気だよね」
 アルクラントとシルフィアは可愛い背中を見送りながら言葉を洩らした。完全に保護者だ。
「あぁ、それにポチの方は少しばかりペトラを見る目が変わった気がするな。前にあった謎の映像の内容とか台風の日の事を聞く限りペトラも変わってきているようだが、実のところどうなんだろうな」
「ポチ君と一緒にいる様子を見る限りアル君の言う通り変わってきてるんじゃないかしら」
 アルクラントとシルフィアはまたペトラ達の話を始めた。
「そうだな。後はペトラが自分の生まれ、あの空の上での経験がどう影響するかだな。シルフィアはどう思う?」
 アルクラントは気掛かりを言葉にした。今は楽しい時を過ごしているがこの先も続くとは限らないから。
「ふふ、前に誰かに呼ばれてたけど何だかアル君、ペトラのお父さんみたい」
 シルフィアはくすりと笑いをこぼした。
「おいおい、私がお父さんならシルフィアはお母さんだ」
 アルクラントはからかいも含めて言った。
「お母さんって……私まだペトラみたいなおっきい子がいるような歳じゃないわ」
 とシルフィア。
 そうしてぶらぶらと歩いている内にアルクラント達はポチの助のパートナー達に出会った。