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第17試合

 
 
『第17試合は、組み合わせの結果、プラヴァー(重火力パック仕様)ヤークトヴァラヌスのAI対決となりました。
 ヒラニプラ山岳部での激しい砲撃戦の末、共に大破する結果となっております』
 
 
第18試合

 
 
『では、第18試合に参りましょう。
 イーブンサイドは、ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)パイロットとバーバーモヒカン シャンバラ大荒野店(ばーばーもひかん・しゃんばらだいこうやてん)サブパイロットの操るキング・王・ゲブー喪悲漢です。
 対するオッドサイドは、AI制御の流星です』
 キング・王・ゲブー喪悲漢は、ジャックオ喪悲漢をベースとした機体だ。はっきり言って色物機体のはずなのだが、なかなかどうして、喪悲漢ブーメランやソニックブラスターなどで攻撃力を強化し、なおかつ格闘性能や飛行性能まで付加されている。イメージ的には、モヒカン姿のカボチャインプというところだろうか。
 対する流星は、大型の新イコンである。大きさだけを見れば、キング・王・ゲブー喪悲漢の二倍近くある。メイン武装は、両肩に装備された羅刹大筒という大型砲である。
「がはははは、AIだとぉ。もっちろん、女性型だろうなあ。なにぃ、揉めるおっぱいも、格好いい喪悲漢もついていないだとぉ。ファッキン! 叩き潰すぅ!!」
 相手が、胸も喪悲漢もないプログラムだと分かると、ゲブー・オブインがもの凄く不満そうに中指をおっ立てた。
「よっ、ピンクモヒカン兄貴、最高です。あんなの一撃です。あのイコンも、バーバーモヒカンでモヒカン狩りにしてやりやしょう」
 バーバーモヒカンシャンバラ大荒野店がゲブー・オブインを持ちあげた。
オラオラオラオラァ! どついたるぜ!!」
 格納庫代わりのテントを飛び出すと、そこは見渡す限りの氷原であった。ツルツルと足許がすべる。
 強風が、敵のテントを吹き飛ばした。見あげるような流星の姿が現れる。
オラオラオラオラァ!
 問答無用で突っ込んでくるキング・王・ゲブー喪悲漢に、流星が羅刹大筒をむけた。両肩に装備された巨大なランチャーが起きあがって照準をつける。両足のアウトリガーが展開して体勢を安定させた。
「おらおらお……ありゃ!?」
 キング・王・ゲブー喪悲漢がつまずいて転けた。まん丸い機体が災いして、コロコロと転がっていく。
やめてとめてやめるれろ!
 流星が砲撃を開始するが、キング・王・ゲブー喪悲漢の転がるスピードが速すぎて追いつかない。
 背後から激しい氷の爆発に追いかけられながら、キング・王・ゲブー喪悲漢が流星に近づいていった。
「ピンクモヒカン兄貴、最高っ……あっ!?」
 地面のちっちゃな出っ張りに引っ掛かって、キング・王・ゲブー喪悲漢がポンと跳ねた。そのまま、のばした腕が機神拳となって流星の胴体に炸裂する。さらに回転のせいで流星の表面をさかのぼっていったキング・王・ゲブー喪悲漢の脚が旋風回し蹴り崩れとなって流星の頭部を破壊した。
 コントロールを失った流星があおむけに倒れる。
 その上に、真っ逆さまにキング・王・ゲブー喪悲漢が落ちていった。流星の胸部に、喪悲漢ブーメランを突き立てて止めを刺す。
へっ! まあざっとこんなもんだぜ
 コックピットの中で逆さ吊りになりながらゲブー・オブインが言った。
 
    ★    ★    ★
 
『勝者、キング・王・ゲブー喪悲漢です!』