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合コンしようよ

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告白タイム

 
 
「さあ、そろそろ時間となりました。フリータイムは終了です。皆さん、集まってください。これからは、告白タイムとなります!」
 会場にむかって、シャレード・ムーンが告げた。
 男女混合で一列に並ばされた参加者を、一人ずつ呼び出してお目当ての人の前に立って告白してもらうのである。
「それでは、誰から参りましょうか……」
 シャレード・ムーンが、一同を見回す。
 整列してと言ってはあるのだが、リリ・スノーウォーカーはマカロンを食べ続けていた。
 同様に、相手が見つからなかったり、いろいろの理由で告白を辞退する者も何人かいる。
 
    ★    ★    ★
 
『俺様の名は、ダーク・第六式・シュネーシュツルム!!』
 ダーク・スカルと第六式・シュネーシュツルムは、未だ合体したままであった。
「このカップルは、放っておきましょう」
 シャレード・ムーンが、二人をスルーした。
 
    ★    ★    ★
 
「それでは、トップ、土器土器はにわ茸さんから行ってみましょう。さあ、はたして、誰の前に立つのか……」
 シャレード・ムーンに指名されて、土器土器はにわ茸がトコトコと参加者の前を歩いて行く。
「おおっとお、吉井真理子さんの前で止まったあ!」
「最初から決めとったけん。一緒に旅にでようや。ひと夏のアヴァンチュールで恋心よ燃え上がれじゃ! 心が動けばラブアンドヘイトで一気に決めるようや」
「ええっと、よく分からない告白ですが、吉井真理子さんの返事は?」
 土器土器はにわ茸が、吉井真理子にむかって手を差しのばす。
「ごめんなさい」
 即座に、ぺこりと吉井真理子が頭を下げて手を引っ込めた。
「ふっ、また旅に出るときが来たようじゃのう。さらばぢゃ」
 そう言うと、キノコハットを被り直して土器土器はにわ茸が立ち去っていった。
「あっさりと断りましたが、どこが気に入らなかったんですか?」
「キノコは興味はありますが、ゲルバッキーといい、人間以外の生き物は、一応滅菌してからでないとどうも……」
 せめて、人の形をしていてと、切実に訴える吉井真理子であった。
 
    ★    ★    ★
 
「さあ、どんどん参りましょう。ファトラ・シャクティモーネさんの番です。これは、ダイヤモンドの騎士がお相手か?」
「ちょっと待ったあ!!」
「立川るるさん、飛び出してきたあ!」
「できれば、握手してもらって、写真もいいですかあ? お友達からお願いします!」
「もう一度確かめさせてくれない? もちろん、大人の関係からお願いよ」
 立川るるとファトラ・シャクティモーネが両手を差し出す。
 顔色の分からないフルヘルムの奧で、ダイヤモンドの騎士が何やら思案する。やがて、意を決すると、立川るるの手をとった。
「おおっと、ダイヤモンドの騎士が選んだのは、立川るるさんの方だ。やはり、ファトラ・シャクティモーネさんは積極的すぎたのか?」
「まだ諦めないからねー」
 そう叫ぶと、ファトラ・シャクティモーネが走り去っていった。
「で、どこが決め手だったんですか?」
「この私でも、サインだけははじき返せなかった。そこが決め手でした」
「わーい、このサイン家宝にしますね」
 ダイヤモンドの騎士の言葉に、立川るるがサイン色紙をだきしめた。これで、就職は滑り止め確保なのだろうか?
 
    ★    ★    ★
 
「さあ、続いての告白は、立川火星【びぃなす】さんです。なんと、織田信長さんの前に立ったあ」
「そなた、わらわの研究対象となってくれ。今度の休日は共に空京センター街へ出かけようではないか」
「ふむ、小姓としてであれば認めぬでもないが、今のわしには、大切にしたい方がいるのだ」
 そう言うと、織田信長が安徳天皇の前に進み出た」
「陛下に、悪い虫はつかせませぬ。今度我が居城に招待いたしましょうぞ」
「ちょっと待ったあ!!」
「おおっと、神崎優さんからちょっと待ったコールだ」
「他校なので気軽に会える立場じゃないが、何か困ったことや辛いことがあったら遠慮なく話してくれ。たとえどんなに離れた場所にいても必ず駆けつけてその手を掴むから。俺は君と縁で結ばれた絆を大切にしたい。この想いはこの場にいない俺のパートナーたちも同じ気持ちだ」
 神崎優が、安徳天皇に告げる。
「さあ、はたして、勝利するのはどっちだ?」
 シャレード・ムーンにうながされて、安徳天皇が二人の手を同時にとった。
「二人とも、我が供回りとしてであれば、両方とも許す。よく仕えよ」
 安徳天皇が、二人に言った。どうやら、使用人としてのOKらしい。
「ええと、恋人というわけではありませんでしたが、側仕えとしてお二人に許可がでたもようです。おめでとうございます。そうすると、立川火星【びぃなす】さんは、そのさらに下で織田信長さんに仕えることになるようです」
 
    ★    ★    ★
 
「続いては、ティー・ティーさんです。おおっと、リラード人形をギュッとだきしめた。やはり、リラードさんの前かあ? 予想通り、告白相手はリラードさんだ!」
「よかったら、お友達になってくださいうさ。お願いしますうさ!」
 右手を差し出して、ティー・ティーがうさみみのついた頭を下げる。
「友達か? よし、なら、俺に任せろ!」
 リラードが、両方の羽根でティー・ティーの手を掴んだ。
「おっと、本日何組目かのカップル成立です!」
 すでに、カップルなのかなんなのかよく分からない組み合わせも発生しているため、適当にシャレード・ムーンが言った。
 
    ★    ★    ★
 
「さあ、どんどん参りましょう。次は、戦部小次郎さんだ。お相手は、チャイ・セイロンさんだ」
「ちょっと待ったあ!!」
「おっと、これは意外か、ララ・サーズデイさんがちょっと待ったコールをかけたあ」
「私の想いなど届かなくてよいんだ。ただ、こんな……、男なんかに君を……とられたく……ない……」
 珍しくちょっと頬を染めながら、ララ・サーズデイが言った。
「よろしくお願いします」
 戦部小次郎の方は、これはもうシンプルにストレート勝負だった。
「さあ、はたしてどちらに……。チャイ・セイロンさん、戦部小次郎の手をとったあ。これは、大どんでん返〜しかあ!?」
「やっぱりい、貢ぐ君にするなら男の子の方があ」
 にこにことチャイ・セイロンが、身も蓋もないことを言う。
「やはりな。しかたがない。だが、それもまたいい」
 何か、独り合点すると、ララ・サーズデイがつかつかと会場を歩み去って行った。
 
    ★    ★    ★
 
「続いての登場は、南鮪さんだ。おおっと、一目散に魔威破魔三二一さんの前に駆けつけたあ」
「ちょっと待て!」
「ちょっと待ちやがれ!」
「おおっと、グンツ・カルバニリアンさんと浦安三鬼さんが割って入った! それでは、まずは南鮪さんから、告白いってみましょう」
「ヒャッハァ〜! これから視殺に愛と夢の環亜瑠土へ連れて行ってやるぜェ〜。作るならもっとでっかくいかねえとな!」
「ドージェランドは、絶対に採算がとれる。すでに出資者候補も想定済みだ。ついてくるなら、断然俺だぜ」
「とりあえず、パートナーとしては、こんな奴らに手は出させないぜ!」
 互いに張り合いながら、南鮪とグンツ・カルバニリアンと浦安三鬼がそれぞれ手を差し出した。
「ええっとお、保留でもいいかな? 実際に、テーマパークを作った方とお友達から始めるということで……」
 なんだか、都合のいい解答を魔威破魔三二一がする。
「よっしゃ、決まりだな。そうとなれば、さっそくツーリングだあ」
「きゃあ!?」
 勝手に勝利宣言した南鮪が、そのまま魔威破魔三二一を引っさらって逃げだそうとする。当然、グンツ・カルバニリアンと浦安三鬼がそうはさせじと立ち塞がった。
「あのー、対決はむこうの方でお願いいたします。とりあえず、現時点では全員ごめんなさい扱いですから、淋しく男同士で退場してください」
 そう言うと、シャレード・ムーンが浦安三鬼たちをさっさと追い出した。
 
    ★    ★    ★
 
「さあ、続いては、ドクター・ハデスさんです。なんと、御神楽舞花さんの前に立った。ホントか、本気なのか!?」
「よし、気に入った! 今後も、俺と世界征服について熱く語ろうではないか!」
「これは、大丈夫なのでしょうか」
 Trrrrrr……。
「おや、ここで御神楽舞花さんの携帯が鳴った。誰からでしょうか。ちょっと中断です」
「はいもしもし。あ、陽太様ですか。環菜様も!?」
『許しません!!』
 御神楽舞花がでた携帯のむこうから、御神楽陽太と御神楽環菜の怒鳴り声がユニゾンで聞こえてくる。
「ええっと、ごめんなさい。今は世界征服は興味ないです」
 かつて御神楽環菜が経済支配はほぼ実現しているので、世界征服は目標となり得ない御神楽舞花であった。
「ふ、やはり、俺の崇高な目的は理解できないようだな。帰るぞ、ダークスカル!」
 部下の名を呼ぶが、ダーク・スカルは第六式・シュネーシュツルムと合体を楽しんでいる最中である。
「どいつもこいつも……。いつか征服してやるからなあ!!」
 そう叫ぶと、ドクター・ハデスは走り去っていった。