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リアクション
【3】SUPER【1】
天御柱学院、格納庫。
整備科の笠置 生駒(かさぎ・いこま)は、愛機のジェファルコン特務仕様に改造を施していた。
外付けロケットエンジンと大型パワーブースター、イコン用アクセラレータ。全身を覆う強化装甲局地戦対応用パワードユニット。そしてグレートスタビライザー。超好感度パラボラレーダー(地デジ対応)。大型ハードディスクレコーダーで録画もバッチリ。高速接続スーパーWi-Fiでネットも快適に。コクピット用5.1chミニステレオも良い感じだ。
「なんじゃこりゃ……」
ゴテゴテと見た事もないパーツの付いた機体に、ジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)は唖然とした。
「へへっ、いいだろー。西区の粗大ゴミ置き場にさ、ごっそり捨てられてたんだ」
「す、捨てられ?」
「そうそう、研究用に作られた試作パーツだと思うんだ。まだ市場に出てない奴だからラッキーだよ、ほんと」
「捨てるには理由があると思うんじゃが……」
生駒は無視して、遠隔装置でイコンを起動させる。
その途端、本体から流れる機晶エネルギーをパーツが処理しきれず、ロケットエンジンから爆発が起こった。
「ひええええええーーーっ!!」
ジョージは頭を抱えて身を伏せた。
消化に駆けつけた教官達は、生駒を見るなり、熱したやかんよりも顔を真っ赤にして怒鳴りつけた。
「何やってんだ、コラー!! てめーコラッ! 遊んでんじゃねーぞ!!」
「あ、ごめん。なんかミスったくさい」
「ミスったで済むかスカポンタン! 今月入って何回目だ! 何回格納庫の壁を吹き飛ばしたら気が済むんだ!」
それでも能天気な彼女は、はぁ、とか、へぇ、とか言って気にしてない。
「……改造の仕方がなってないな」
「ん……ああ、大文字先生じゃないか。あんた普通科に行ったんじゃないのか、珍しいなこっちに来るなんて」
「たまには古巣が恋しくなるものだ。普通科の校舎はオイルの匂いがしなくて落ち着かんからな」
そう言うと、大文字はパワーアームを動かして、ジェファルコンの改造を始めた。
「いいか、改造はバランスが重要なんだ。ここをこう繋いで出力を調整してだな。ここはこう。ここをこうこうこう」
「……改造に迷いがない。流石は元整備科の名物教師だ」
「さぁ出来たぞ! 動かしてみろ!」
「よし、行くぞ」
スイッチを入れたその瞬間、先ほどとは比べ物にならない大爆発が、格納庫を震撼させた。
「うぎゃああーーーー!!」
爆発に巻き込まれたジョージが格納庫の外に吹っ飛ばされた。
それもそのはず、これは外部パーツの爆発ではなく、パーツの負荷によるイコン本体の爆発だからだ。
「うむ、やはり爆発はこれぐらい派手でないとな、ワッハッハ!」
「そっち? そっちの強化だったの!? てか、ワタシのジェファルコン!!」
「お前ら、いい加減にせんかーっ!」
完全にブチ切れた教官達が、鉄パイプを振り回して走ってきた。
「……あれが噂の大文字先生?」
イコン整備中だった整備科新米教官長谷川 真琴(はせがわ・まこと)は、爆発に目をしばたかせた。
「あまり会う機会はありませんでしたけど、噂通りの破天荒な先生のようですねぇ……」
「あたいも整備科に生徒として在籍してた時に、あの教授の理論を聞いたけど、凄く興味深いものだよ」
爆発で飛んできた破片を片付けながら、クリスチーナ・アーヴィン(くりすちーな・あーう゛ぃん)は言う。
「そんなに凄い先生なのか?」
上で整備をしていた真田 恵美(さなだ・めぐみ)がタラップを降りてきた。
「学会じゃトンデモ理論って言われてるし、実際トンデモなんだけど。でも、イコンの変形機構や巨大武装を取り扱う方法とか、非常識な発想なりに上手くこっち側に取り込めれば応用の利きそうな事もやってるんだよ、あの人」
「へぇ、まぁあの短時間でイコンをスクラップに出来るんだから大したもんだけど」
「真琴もさ、イコン整備のプロなんだから意見交換してみたらどうだい? 案外いい刺激になると思うよ」
「ちょっと会うには勇気のいる人なんですが……」
「なに、心配ないさ。話を聞きに行くなら、あたいも一緒に行ってやるよ」
「あ、じゃあオレも。そんなに凄い人なら勉強になりそうだからな」
「……うーん、そうですね。一度、ちゃんとお話を伺ってみるのもいいかもしれません」
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