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首狩りウサギを捕まえろ!!

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首狩りウサギを捕まえろ!!

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昼休みの全校放送

 ガサ・ゴソ・・・・・・

 草むらを踏みしだく足音がふたつ。

「おっさん、そっちにはあったかい?」

「おう、いっぱい生えてる! パラミタフクロダケはこの辺に多く自生しているんだなあ」

「ホント、蒼空学園の間近だというのに、いいところがみつかったよ。今日の分布調査は大きな成果があったねぇ」

 佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は笑みを浮かべて、パートナーの熊谷 直実(くまがや・なおざね)に向き直った。

 彼らは、ツァンダ地方に自生するパラミタフクロダケの分布調査をおこなうため、蒼空学園のすぐ裏にある山に来ていたのだ。

 目と鼻の先には、蒼空学園の校舎が見える。

「さて、じゃあ別のところを探してみますか」

 佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)がそうつぶやいたとき、蒼空学園から切迫した女性の声で全校放送が聞こえてきた。

「緊急事態発生! ただいま、校内のウサギ小屋から首狩りウサギが逃げました。パラミタヴォーパルバニーという名前の種類です。これは、非常に危険です。十分に注意してください。なお、これより首狩りウサギの捕獲作戦を敢行します! 志ある者は、校庭のウサギ小屋まで集まってください! 以上」

「おっさん、今の声、ルミーナ・レバレッジ(るみーな・ればれっじ)だよなぁ」

「うん、確かにそうだ」

「確か、パラミタヴォーパルバニーとかいったな、ちょっと調べてみるか・・・・・・」

 佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は、携帯電話を取り出すと、ネットで検索をはじめた。

「なになに、パラミタヴォーパルバニーは、白い体毛をしており、鋭い前歯が特徴的。気配を殺して相手に近づき、獲物が油断した隙にその首を狩る・・・・・・だって。これは、ウサギというより、まるで虎のようですねぇ・・・・・・」

 と、熊谷 直実(くまがや・なおざね)がニヤリとした。

「よし、佐々木、ウサギを捕まえに行くぞ。これも修行だ!」

「げ、マジで!? ・・・・・・修行って、おっさん、なんかたくらんでない?」

「いいから行くぞ」

「お、おい、ちょっと。引っ張らないで・・・・・・」

 こうして佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)熊谷 直実(くまがや・なおざね)は早足で蒼空学園に向かった。

※ ※ ※


 一方、こちらは蒼空学園校門前。

 ブラックコートを纏った、怪しげな男がうろついている。

「ふっふっふ・・・・・・いつも全裸では芸がないというもの・・・・・・」

 そのいでたちは・・・・・・いや、いでたちというよりは、全裸にブラックコートと赤い羽根マスクをしただけ・・・・・・

 そう、もう彼が誰であるかはいうまでもない。変熊 仮面(へんくま・かめん)だ。

 彼は、今日も女子生徒を前に、自慢の肉体美を披露している。

「お嬢さん・・・・・・私の完全なる肉体美の前のひれ伏せっ!」

 びろ〜ん!!!

「キャーッッ!!!!!」

 変熊 仮面(へんくま・かめん)がコートを広げると、湯島 茜(ゆしま・あかね)エミリー・グラフトン(えみりー・ぐらふとん)は悲鳴を上げた。

「はっはっはっはっ」

 高笑いをする変熊 仮面(へんくま・かめん)の耳に、全校放送を通じてルミーナ・レバレッジ(るみーな・ればれっじ)の声が聞こえてきた。

 首狩りウサギ、パラミタヴォーパルバニーが逃げ出したというのだ。

「むぅ、これは・・・・・・うさちゃんをモフらねばなるまいっ!」

 そういうと、変熊 仮面(へんくま・かめん)はブラックコートをひらりとさせ、蒼空学園の校内に駆け急いだ。