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リアクション
ネフェルティティ女王をあやせ! 3
「わあー、女王、かわいくなったねー!」
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)が、
ネフェルティティの顔を覗き込んで笑顔で言う。
「あう?」
「安心してね。ボクたちが一緒だから」
レキは優しくネフェルティティを抱き上げる。
「よーし、じゃあ、一緒に遊ぼうか。
高い高ーい!」
「って、本当に高くないか、レキ!?」
ミア・マハ(みあ・まは)が、
空中高く放り上げられたネフェルティティを見て、ツッコミを入れる。
「きゃっきゃ!」
しかし、ネフェルティティは喜んでいた。
そこに、キャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)が現れる。
今日も、パートナーの茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)は留守番である。
「お子様と言えば、ゆる族!
デパートの屋上のお子様イベントでつちかった、ミーの力が炸裂するワヨ!」
キャンディスが、レキに対抗して、
空飛ぶ魔法で「高い高い」を行う。
「今からろくりんくんを好きになってもらえば、
ネフェルティティ女王に、
ろくりんピックのことも気にかけてもらえるはずヨ!」
「きゃっきゃっ」
キャンディスの思惑はともかく、ネフェルティティは喜んでいた。
「あと、お子様の相手で大事なのはトークの技術ヨネ。
これは、保護者の方々にも同様で、
たまに、大人にしかわからないジョークを入れて、気を引くのも、この手のイベントの……って、
落ちるワー!?」
キャスリングで身代わりとなり、
キャンディスは、ネフェルティティの身代わりとなった。
「ムギュウ……でも、女王様に踏まれるという栄誉をえることができたワ」
「女王、大丈夫?
ほら、ボクの心臓の音、聞いて」
レキが、ネフェルティティを抱き上げる。
「あー……」
ネフェルティティは安心している様子だった。
「おのれ、やはり、赤ちゃんも胸か、大きい胸がいいのか!?」
ミアが、その様子を見て嫉妬している。
「いろんな人に抱っこされた方がいいよ。
ミアもどう?」
「よし、わらわが親代わりとなってやろう!」
レキに代わってもらい、ミアがネフェルティティを抱っこする。
「あうー」
「おお、笑っておる。よし、わらわのことも好きなのか?」
ミアが、ネフェルティティに笑顔を返す。
「ミーナにも抱っこさせて!」
ミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)も、順番に、
ネフェルティティを抱っこする。
「あう、あ……?」
「ふぇ、ごめんね、ミーナお胸小さいし、おっぱいは出ないよぉ」
「あう、あー」
「や、くすぐったい、あはは、やめてー」
ミーナが、パートナーのリスの獣人、立木 胡桃(たつき・くるみ)を呼んで、
ふわふわのリスの尻尾でネフェルティティをあやし始める。
「きゅ? きゅ〜」
ゆっくり振られるしっぽに、ネフェルティティが興味を示す。
「あうあー!」
「!?」
しかし、尻尾をつかまれたり、口に入れられたりしてしまう。
「ネフェルティティちゃん、優しくね、優しく!」
ミーナが言うが、ネフェルティティは加減がわからないらしい。
「きゃっきゃ」
「喜んでるよ。よかったね!」
「……」
しかし、胡桃の尻尾は、ネフェルティティにより、
つかまれたり、よだれでべとべとになったりして、ぼろぼろになってしまった。
(パラミタでも5本の指に入るボクの尻尾が……)
胡桃はしょんぼりしていた。
「遊び疲れたようですね、ネフェルティティ女王。
そろそろおねむではないですか?」
姫宮 みこと(ひめみや・みこと)が、
早乙女 蘭丸(さおとめ・らんまる)とともに、やってくる。
(こうして見ていると……可愛そうですね、女王さまは。
過酷な運命に翻弄され、今までひと時でも心休まることがあったのでしょうか)
これまでのネフェルティティの人生を想い、
せめて、赤ちゃんの姿の時だけでも、心安らかにあってほしいと、
みことは思った。
「さあ、ネフェルティティ女王。おやすみなさい……」
「ああん、みことの腕の中、うらやましい……って、
そうじゃなくて。
一緒に子守歌、歌いましょう」
みことと蘭丸は声を合わせ、
日本で有名な子守歌を歌い始めた。
みことは、歌いながら、優しくネフェルティティをゆすり、寝かしつける。
ネフェルティティは、
日本の伝統的な子守歌にも気持ちが安心するらしく、
とろとろとして、やがて、眠りはじめた。
「かわいいわね、女王さま。
安心して眠っているみたいね」
「はい、こんな時間が、いつまでも続いてくれるといいですね」
蘭丸に、みことは微笑を返したのであった。