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イルミンスールの迷宮!?

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イルミンスールの迷宮!?

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2.寄生虫バトル

 こちらは世界樹イルミンスールの根の中。

 メンバーたちは、少々不気味ながらも、初めて見る不思議な世界に冒険心をそそられていた。

 シャーロット・マウザーは、周りを警戒しながらも、その光景に感嘆の声を漏らしていた。

「わぁ、すごいですぅ…。
イルミンスールの根って、とっても複雑ですねぇ。迷子になってしまいそうですぅ〜」

 日紫喜 あづまも、パートナーのローランド・シェフィールドとともに、世界樹の大きさを感じていた。

「樹齢5000年ですって? 地球のブリッスルコーンパインを彷彿とさせるわね。
ここまで大きくて力強い樹なら、きっと世界一の世界一の世界樹になれそうね。そのためにも、今ここで枯らせるわけにはいかないわ。
行きましょう、ローランド。その寄生虫とやらをさっさと駆除するわよ。」

「確かに大きな樹ですねぇ〜…。あづまさんの言うとおり、きっと世界樹になれますよ!
うん、その為にボク等ができる、最大限のことをしましょう〜!」


 一行は、慎重に進んでいった。
 根の曲がり角や小さな穴から、突然寄生虫が飛び出してくるかもしれないからだ。

 リリサイズ・エプシマティオは、みんなに自信を持たせようと明るくふるまっていた。

「おーっほっほっほ! 安心なさい、イルミンスール。
わたくし自らが栄養剤を運ぶのですから!」

 そういいつつも、根の小さい穴など、死角になりそうな場所を杖でコンコンと叩いていた。
 言葉は高飛車だが、意外に慎重なのだ。

 チェルシー・ニールも、同じようにみんなを鼓舞している。

「寄生虫を退治しちゃいますわ。近くに目に付いた所からガンガンいっちゃいますわよ〜。
世界樹さんは傷つけないように注意しますわ〜。飛び道具などを使用しなければ問題ないですわよね?」

 ナナ・ノルデンは、周囲の音に耳を傾けつつ、羽音などを察知したらすぐに周知できるよう備えていた。


 狭山 珠樹は、虫をいぶりだすための煙を焚きながら進んでいく。

 すると、エル・ウィンドが思いついたようにこう言った。

「なぁ、実は俺、煙の殺虫剤持ってきたんだよ。これを焚きながら進めば寄生虫をやっつけられるんじゃないかな?」

 だが、すぐにパートナーのホワイト・カラーに
「ダメでしょ! そんなもの使ったらイルミンスールがかわいそう」
と止められてしまった。

 提案をバッサリやられたエル・ウィンドは少しぶすっとしていたが、すぐに近くを歩いているユニ・ウェスペルタティアにナンパ口調で話し始めた。

「あ、そのドレスの大きいリボン、似合うね〜。さっきから見とれちゃってさ〜」

「えへへ〜、そうですかぁ?」

 こんなときにナンパとは・・・・・・と、ホワイト・カラーは半ば呆れながら聞いていた。でも、ちょっと嫉妬もあったのは否めないようだ。


 一行が進んでいくと、突然アルフレッド・スペンサーと御宮 万宗の禁猟区が発動した!
 御宮 万宗の禁猟区は「箒の先に付けたカンテラ」の形だ。

「おお、来たぞ。ココで俺様の出番だー〜ッ!!」

 デズモンド・バロウズがそう言い終わらないうちに、根の穴から、気味の悪い寄生虫たちがわらわらと出てきた。

 さあ、戦闘だ! 寄生虫撃破メンバーはサッと陣形を組む。

 まず前衛を固めるのは、エル・ウィンド、瓜生 コウ、周藤 鈴花、白波 理沙、ブレイズ・カーマイクル、ラッセ・ハールス、御影 春菜、水神 樹、クルード・フォルスマイヤー、デズモンド・バロウズの面々。

 後衛は、ソア・ウェンボリス、生琉里 一葉、篠月 流玖、ファタ・オルガナ、日紫喜 あづま。


 リヴァーヌ・ペプトミナは、寄生虫たちに向かって叫んだ。

「HEY! リリサイズ様に足一本触れることは許さねーZeでございます」

 しかし、飛来してくる寄生虫からリリサイズ・エプシマティオをかばったときの衝撃で、栄養剤をこぼしてしまった。
 でも、リヴァーヌに後悔はない。リリサイズさえ無事でいればいいのだ。

 和原 樹は、根から飛び出してくる虫を警戒し、なるべく空間の真ん中を飛んでいた。

「あ、フォルクス。火術使うなよ。攻撃手段なら吸精幻夜があるだろ。
虫に噛み付くのは嫌…? 別にいいじゃないか。」

 これに対して、意地でも吸精幻夜を使いたくないフォルクス・カーネリアは切り返した。

「待て樹、我にあのようなものに口付けろというのか。冗談ではない。
…そのようなことを言っていると虫を噛んだ牙でお前も噛むことになるが、構わんのだな?」

「…それはやめてくれ。わかったよ、虫はなるべく無視してさっさと奥目指そう。
…今の、駄洒落じゃないからな?」

「何がだ?」

 フォルクス・カーネリアはわかってないようだ・・・・・・。


 戦いたくてうずうずしていたブレイズ・カーマイクルは、箒に乗って寄生虫の群れに突っ込んでいった。

「フン…羽虫如きが、僕の行くてを阻もうとは片腹痛い。
……焼き尽くしてくれる!
落ちろ蚊トンボ!!」

 パートナーのロージー・テレジアは、ブレイズの箒につけたワイヤーにつかまりながら指示を出す。

「ブレイズ、12時の方向に寄生虫の集団よ!」

「フフハハハハ!おととい来るがいい!」

 ブレイズは華麗に火術を放ち、彼が撃ち漏らした寄生虫をロージーが剣でバッサリ始末していく。
 ロージーが落下してもブレイズの箒がキャッチするなど、見事なコンビネーションに、一同は賞賛の声をあげた。


 生琉里 一葉も、パートナーのラッセ・ハールスが倒し損ねて穴の中に逃げようとする虫を火術で追撃していた。

「あのイルミンスールが寄生虫ごときに倒されるなんて、そんなの嫌じゃん!
一人だったらちょっと尻込みするところだけど…皆とラッセがいるなら大丈夫、やれる…筈!
怖いけど〜!」


 ラッセ・ハールスが前衛、生琉里 一葉は後衛を担当し、必ずお互いが視界に入るよう位置取りに気をつけながら戦っている。
 こちらも息の合ったふたりの素晴らしい連携プレーが繰り広げられていた。

 と、そこへ寄生虫が一葉に接近!

「きゃあっ」

「一葉…!無事ですか!?」

 ラッセは、寄生虫を気持ち悪がる一葉を担いで逃げだした。


 日紫喜 あづまとローランド・シェフィールドも寄生虫が苦手のようだ。

「虫ってあんまり好きじゃないのよね………。まぁ、そんなことも言ってられる状況じゃないんだけど。」

「ボク、どうも虫って苦手で……。
え、あづまさんもなんですか? 仲間ですね〜(にこにこ)
…あれ、コメカミ抑えてどうしたんですか?」

「……ローランド…。あなたも苦手なの?全く、頼りにならない守護天使ね。ハァ〜」

 と、そこへ寄生虫が襲ってきた。

 日紫喜 あづまは、ワンドを振り回しながら
「ちょ、こっちこないでよっ…!」

 ここは、ローランドの加勢で無事だった。

 今度はローランド・シェフィールドが襲われる!
 すると、日紫喜 あづまが火術でフォロー。

「それくらい、自分で何とかして欲しいんだけどね。」
とあづまが毒づきながらも、息の合ったコンビネーションを見せるふたりであった。


 メイドの篠月 流玖は、根に入ったときから頼りなさげだった。
 足手まといにならないように、ちょこちょこついてきたという程度でしかない。

 パートナーのミル・テーアも、常日頃から流玖を
「どこか危なっかしいんだからー」
と思っていた。

 今回だって、ロクに戦闘もできないくせに、寄生虫退治についていくというので、慌てて付き添ったのだ。

 流玖は、寄生虫相手に仕込み竹箒を振り回している。
 ・・・が、当たらない。

 ミルはとうとう見かねて助け舟を出した。

 さすがはミル! 集中的な火術で、寄生虫の群れを怯ませた。


 乱戦の中、ひときわ目だった活躍を見せているのは、デズモンド・バロウズだ。
 彼は八面六臂の活躍をみせ、多くの寄生虫をなぎ倒していった。

「これならレベルアップもできるぜ!」

 彼の真の狙いはそこにあるようだ。


 デズモンドに負けず劣らず元気なのが、御影 春菜だ。

 御影 春菜は、自分の周囲に炎を発生させて道を切り開く戦法をとっている。

「燃え上がる炎よ、我が身にを守る楯となれ!フレイムアサルト!!」
と唱えると、猛スピードで一気に駆け抜けていった。

 それはまるで、火の玉が駆け抜けているように見えた。

 春菜は、箒に乗ると普段のおっとりした性格から一転、峠を攻めるライダーのような性格に変わるのだ。

「邪魔する者は轢き殺す!」
とばかりに、寄生虫たちをなぎ倒していった。


 撃破班はすばらしい活躍を見せていたが、それでも寄生虫たちは、彼らの攻撃かいくぐって運搬班に向かってきた。

 これに対して、エーファ・フトゥヌシエルはホーリーメイスで、近寄る敵を追い払っている。

「ケイ!ここは私が抑えますから先へ!」

 エーファの呼びかけに峰谷 恵はうなずき、先を急いだ。

 ナナ・ノルデンも、ランドリーで応戦している。
 ナナが取りこぼした寄生虫どもは、ズィーベン・ズューデンが雷術で止めを刺した。


 ソア・ウェンボリスも、小さい穴から飛び出してくる寄生虫たちを雷術で攻撃していた。
 これは、世界樹の根を燃やさないように、火術の使用は控えての攻撃だ。

 パートナーの雪国 ベアは、必死に戦っているソア・ウェンボリスをみてつぶやいた。

「う〜む……ご主人、燃えてるな。
『強い絆』とか『大切に想ってる』とか、俺様なら恥ずかし過ぎて絶対言えない様なこと喋ってるし。純粋ってある意味怖ぇ!
……まあそんなご主人だからこそ、俺様は契約したんだけどな。
とりあえず俺様も、ご主人とその他の大勢のために、できるだけイルミンスールの根を傷付けないように寄生虫を退治するぜ!」

 そういうと、雪国 ベアは、シャープシューターでソアを援護。
 ベアの射撃は正確で、飛んでくる虫たちを見事に射落としていた。


 フィッツ・ビンゲンは戦わず、必死で寄生虫をよけ続けていた。

 ファタ・オルガナは、火術を中心に、状況に応じて変幻自在に戦っていた。

 近接攻撃メンバーへは、後方からの支援攻撃。
 後方支援メンバーに接近する虫がいれば、その撃退。
 そして、穴からでてくる寄生虫への遠距離攻撃と、いい感じで味方の援護に徹していた。

 仲間たちからはその都度
「サンキュー」
「ありがとう、助かったわ」
と感謝され、本人はうれしそうだ。

 ファタは今回、かなり株を上げたようだ。

 パートナーのジェーン・ドゥは、ファタと一緒に後方支援メンバーの護衛にあたっており、また、「SPチャージ」でファタ本人へのフォローも忘れなかった。


 激しい死闘が繰り広げられたが、メンバーたちの活躍によって勝利が濃厚になってきた。

 寄生虫たちは、適わないとみて逃げ始めたのだ。

 これをみて、周藤 鈴花は、追撃の火術を見舞った。それらは狙いあやまたず、正確に命中していった。
 鈴花も虫、特に体液が苦手だったのだ。

 しかし、あまりに近接して攻撃したため、寄生虫の体液が飛び散り、一部が鈴花につきそうになった。

「いやあぁぁぁ!」

 そのとき、ルーツィンデ・クラウジウスが身を挺して体液から鈴花を守った。

「ありがとうルーツィンデ。当たったら精神的に終わるとこだったわ…っ!」


 やがて、敵はいなくなった。

 エル・ウィンドは辺りを見回して言った。

「よーし、これでようやく一段落したかな?
俺たち寄生虫撃破班は、後に残ってまだ敵が出ないかどうか確かめるから、運搬班と護衛班は先に行ってくれよ」

「わかった。じゃあ後はよろしく頼む。さぁ行こう!」

 御剣 カズマはそう答え、運搬班と護衛班は奥へ進んでいった。