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【エピローグ】


 ウィングは一週間前に携帯電話を買い換えたらしくまだ使い方を把握していなかった。そのため彼はデスクエストがダウンロードされているのに気付かなかったのだ。
 クリア時にログインしていなかったウィングの携帯電話にはまだデスクエストが残ったままになっている。
 一同は蒼空学園の時計台広場へと移動した。どうせ死ぬなら青空の下でというウィングの要望だった。ちなみに時計台に吊るされている妨害班は持ち前の図太い神経で全員熟睡しており静かになっている。
「ウィング……」
 一同が肩を落とし複雑な表情でウィングを見つめる。
「どうしたんですか、みなさん? 私なら大丈夫ですよ。こんなに大勢の友人に最後を看取ってもらえるんだ。幸せ者ですよ!」
 夜が明け朝日が昇り始める。
「うっ」
 ウィングが肩膝を付いて自分の制服の胸元を鷲掴みにした。苦しそうに顔を歪める。
「ふっ……どうやらお別れの時間がきたようですね」
『ウィング!』
 一同がざわめきたつ。そのとき、一枚の紙切れがウィングのもとへと落ちた。
「ん?」
 何気なく拾ったウィングが目を見開いた。それは写真だった。しかもウィングが髪をツインテールにし、女物のフリルの付いた服を着て、まんざらでもない表情で鏡にポーズを決めている写真だ。
「なんでこれが!?」
 実は一週間でクリアできなかったときの呪いとは、恥ずかしい写真をばら撒かれるというものだったのだ。ちなみにウィングが先ほど胸を痛がっていたのはただの気のせいだ。
 女装の写真は序の口だ。他にも○○○なものや×××なものまで恥ずかしい写真がばらばら降ってくる。
「あっ! 駄目、見ないで! お婿にいけなくなる〜!」


「なんだよ。呪いって死ぬんじゃないのか。しかし恐ろしいことにはかわりないな……」
 泣きそうになりながら写真を回収しているウィングの姿を見て涼司が呟いた。
「涼司さんの恥ずかしい写真……欲しかったなぁ。ちょっともったいないことをしたなぁ」
「おい、花音。さっきからなにぶつぶつ言ってるんだ?」
「い、いえ! なんでもありませんよ! えへ、えへへへ」
 疑いの眼差しを向ける涼司に、胸の前で両手をふるふるとして花音がごまかした。
 ピピピピピ。
 涼司の携帯電話が鳴った。この着信音はメールだ。彼が開いて確認する。
「……マジかよ」
 涼司の顔から血の気が引いて青ざめる。そのメールは『デスクエスト2』鋭意製作中を知らせるものだったのだ。
 月並みかもしれないがあえて言わせていただこう。
 俺たちの戦いはこれからだ!

担当マスターより

▼担当マスター

九辺ケンジ

▼マスターコメント

 こんにちは、九辺ケンジです。今シナリオへの参加、誠にありがとうございました。
 全員が葉山涼司の邪魔をするだったらどうしようとビクビクしていたのですが、そんなことはなくてほっとしております。みなさまのおかげでデスクエストを無事(?)クリアすることができました。妨害にまわった方もお疲れさまでした。
 『欺瞞の冠』の情報についてですが、実はキャラクター検索で「市川まこと」を探していただければ自由設定の欄に載っていたりします。分かりにくい謎だったかもしれませんが、昔のゲームにあったちょっとした閃きで見つけられる裏技を再現した次第ですのでご容赦を。
 これからも皆様にもっともっと楽しんでいただけるシナリオを目指していきたいと思います。それではまた機会があればまた新しいシナリオでお会いしましょう。