リアクション
あれが憑依された人の姿か…… 楽しみにしていた体力測定(フッフー) 垂直跳びで頑張った!(ジャンプ) ボクは結構飛べたけど!気付いてしまった幼児体型(ザンネン) ちびっこたちも結構いたけど、なぜかボクより大きかった!(よく見てるわね) 牛乳を毎日飲んでも、自分で揉んでみても変化なし(かなしいわぁ) 追加装甲つけてもいいけど哀れみの視線で自分がみじめ(哀れねぇ) お百度参りでお願いしてみた!(ここまで来ると病気よね) 起きたら大きくなってたよ!(嘘っ!?) もちろんそれは夢だった!その日はベッドの上で泣いた!(…………) YEAH成長しない、希望がない!だけど希望は持つよ明日に向かって! 円が歌い、オリヴィアが相槌を打つ。 ノリノリで二人は歌い続ける。 この惨状をまるで煽ってでもいるかのように見えたのは、気のせいではないだろう。 アピスは、半ば呆れ眼でケイとミーナの二人の様子を伺っていた。 なんて滑稽な…… 「あ〜あ〜……!」 一瞬、二人と目が合った。 ケイとミーナは狼狽しながら、目をせわしなく泳がせる。 が、すぐさま立て直し、平静を装った。 「……あ、あ〜あ〜」 徹底した役者ぶり──恐れ入るわ。 本当に取り憑かれている女生徒が、二人に近づいていく。 二人はそれに気付いて、憑依の真似をし続けたまま慌てて少しだけ離れる。 近づく、離れる、近づく、離れる。 明らかに憑依されていないのが、ばればれである。 (お目当てはパートナーか。スキンシップでもしたいのかな?) アピスは小さく微笑むと、見て見ぬ振りをしてあげることに決めた。 「──なんて良い人なんだ」 「本当ね」 二人は小声で話し合う。 さてと、ここからが本番だ。 目の前のカナタに視線を向ける。あれ? なんか……変な顔してる? ケイは不思議に思いながらも近づく。 「……可哀想に。骨は拾ってあげます」 「え??」 言うが早いか、みぞおちにカナタの拳がめりこんだ。 「ぐふっ!」 自分の声が頭の中で反響する。 (…右……すと…れぃ…と………?) ケイの目の前が暗くなった。 スローモーション、ゆっくり倒れていく…… 遠くなりかける意識の中で、ケイは心底思った。 カナタの前で、おかしな行動は……とるものじゃ…な…い…… ケイの倒れていく姿を見て、ミーナは後ずさりをした。 葉月の視線は、ミーナにしっかり注がれている。ロックオン。 (や、やばい……) 葉月が前に出る。ミーナはじりじりと後ろに下がる。 「……」 頬に、汗が伝い、流れ落ちる。ばれてる! ミーナは慌てて逃げ出した。 「あ、こら!」 葉月は大きく溜息をついた。 「しっかしすごいなぁ……」 鮪が感心した声をもらした。 ニニだけを潜入させるために変装までしたというのに、何故か自分もすんなり入れてしまった特殊講堂。 そして、やろうとしていた『モヒカンお嬢様!』が、霞んでしまいそうなこの状況…… 「──い、いいや! 弱気になっては駄目だ!」 鮪は自分を奮い立たせた。 「ニニ! モヒカンだっ!!」 「うんっ!」 モヒカン頭全開にして、その場に立つニニ。 「…………あれ?」 騒ぎまくる周囲は、ニニの存在を誰も意識しない。 注視しない。 「ニニ、走れ! 走って来るんだ!!」 鮪の命令に従順に従い、座敷部屋をぐるりと一周。更にもう一周。 憑依されている女生徒すら、相手にしてくれない…… 「……ただいま」 「おかえり……」 「……」 「座ろうか」 二人は壁に背中をつけて、喧騒をぼんやり眺めた。 |
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