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リアクション
「よし来いっ! 俺が相手になってやる!」
弐識 太郎(にしき・たろう)がセスタスを装備した両手を掲げ、叫んだ。マンゴラドラが頭を傾け、とてとてとやってくる。
確認して小走りで進む。校内に入り込んだ幼コカトリスに向け足を速める。
「ていっ!」
セスタスで殴る。いきなり殴られた幼コカトリスは怒って追ってくる。数匹の仲間も一緒だ。
「お前も来い!」
通りすがりに見つけたサハギンも殴って駆け出す。八匹の形様々な魔物が弐識太郎の後に続く。弐識太郎は砂煙が上がる中をひたすら走る。
「こぉおおおおお!」
素早い幼コカトリスの足による攻撃が腕を掠める。
「……効かねぇよ」
攻撃の当たったあたりを手で払う。【女王の加護】を使用しているため、背後からの攻撃も軽々と避けられる。
魔物の様々な鳴き声を背中に聞きながら、目的の場所へ。クラーク 波音(くらーく・はのん)とアンナ・アシュボード(あんな・あしゅぼーど)の姿を確認し、緊急回避。
「太郎お兄ちゃん、お疲れ様!」
クラーク波音のねぎらいの言葉に、魔物の集団から離れた弐識太郎は静かに頷いた。瞬間、アンナ・アシュボードの赤い瞳が光った。
「さぁ、濡れてしまいなさい!」
紡いでいた【アシッドミスト】が集まった魔物達に炸裂。酸の魔法が全体に広がり絶叫が響き動きが止まった。
「波音ちゃん、よろしくね!」
アンナ・アシュボードが満足げに振り返ったその先に、クラーク波音が両手を上げて微笑んでいた。
「んふふ〜、これぞ合体攻撃その名もスーパーミラクルびりびりアタックだぞ〜!」
手を上げた先から雷がいくつも降り注ぐ。【サンダーブラスト】によりサハギンも、幼コカトリスも、マンゴラドラも……全てが雷電による攻撃で倒れた。
未だ立ち上がろうとしている幼コカトリスへと弐識太郎は駆け寄りセスタスで頬に連続して打撃を加える。
「こぉおおおぉおおおっ!」
悲鳴に近い鳴き声を上げ、白目を剥いた幼コカトリスが倒れた。
派手な攻撃や、悲痛な声に反応したのか散らばっていた魔物達が、寄ってきた。
「来たっ! 【魔物駆除隊】の作戦成功だねっ!」
「ああ」
「油断禁物です。次が来ますよ!」
やや後退し身構えるアンナ・アシュボードとクラーク波音。その逆に弐識太郎は前進する。
「俺はまた注意をひく。待ってろ」
再び【女王の加護】を発動し【魔物駆除隊】の仲間である二人に攻撃が向かないよう、仕掛ける。
「おぉおおおお!」
気合を入れ、拳に力を込め体を丸めた大ダンゴムシを殴る。固い背が歪み大ダンゴムシが伸びた。
「力を入れすぎたか?」
小首を傾げてから、二人に近付こうとするマンゴラドラに素早く近付き頭を殴った。小さな身体がよろめく。
「そろそろいいかな。アンナ、お願いね!」
「はいっ!」
アンナ・アシュボードが再び【アシッドミスト】を使用。酸の霧が再び現れ、敵全体を包む。
「んっふっふ〜合体攻撃その二、いっちゃうよっ!」
ビシッと敵を指しクラーク波音が【サンダーブラスト】を発動。複数の雷は集まった魔物達を撃つ。
「! 波音ちゃん、危ない!」
アンナ・アシュボードの叫びに反射的に身を翻す。攻撃範囲外にいたサハギンの泡が鼻先を掠めていった。
「わ、あっぶなーい……」
鼻をこすり、クラーク波音は首をぶんぶんと振った。攻撃の間があくとそれだけ近付かれるリスクもあるのだ。
「どんどんやろう!」
「はい!」
生徒達のため、そしてリスクを少しでも減らすため、二人は素早く魔法を組み合わせて集まった魔物達に放った。
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