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リアクション
■□■4■□■「その時、俯きかげんに頬を染めるのを忘れないでくださいね?」
「オーッホッホッホッホッホッホッホ!!」
青い髪にスレンダーボディの美女が高笑いとともに現れた。
「冬の女王」であった。
「「冬の女王」さん、コメディだからと遠慮してると忘れ去られますわよ!
先輩NPCとして存在感を示しましょう!」
狭山 珠樹(さやま・たまき)が第4勢力として連れてきたのであった。
「珠樹の言うとおりぞよ。
このシナリオの基本フォーマットは
わらわの出ている「夏休みを取り戻せ!」と、
その次に発表された「幻のダイエット草を探せ!」をあわせたものぞよ。
ワレンティヌスちゃんは、わらわの正統後継者たるヒロインぞよ!」
「わー!
女王、ひさしぶりー!」
三笠 のぞみ(みかさ・のぞみ)が、「冬の女王」との再会を喜ぶ。
「イルミン一影の薄いNPCとしてこれからも頑張ってもらうために、
あたし、「冬の女王」にチョコを持ってきたんだよー!
学校のどこにいるかわかんないんだもん!」
のぞみは、自分のイルミン講師へのスカウトが、
「冬の女王」をルクオールの町から引っ張りだすきっかけになっていると思っているので、
気にかけていたのであった。
「ひさしぶりぞよ!
ひたすら地味に氷術の講師をしていたぞよ!
本当はクリスマスに、わらわがサンタの格好をしてエリザベートちゃんの寝室に合法的に入って、
イルミンの寮でサンタの格好での夜這いが流行するっていうシナリオに出たかったぞよ!」
「夜這いって……蒼フロは全年齢対象のゲームなんだよ?」
「もちろん、全年齢対象は……」
「『貴族のたしなみ』だよね!」
のぞみが、「冬の女王」の言葉を笑顔で引き継ぐ。
白いバラを差し出しながら、珠樹が言う。
「例のシナリオ、
グレートマシンガンでさえ名前がありますのに、
やはりインパクトが足りません。このままでは、忘れ去られてしまいますわよっ。
「冬の女王」新バージョンですわ!
我も丁度、クラスチェンジして『必殺お掃除人 修行編』を
自分で勝手にはじめましたわ。
メイド修行として衣装を用意しましょう」
ラブセンサー、ゴスロリ眼帯、キメラの翼を、ソーイングセットで「冬の女王」の服に縫い付けて、
珠樹がテコ入れを提案する。
「あとは、再デビューに使いたい名前はあります?
『ざ・ぐれーと白雪』とか言って白雪姫の英霊を名乗る手もありますけど?」
「えー、わらわは「女王」と呼ばれていたのに、いまさら姫とか名乗れないぞよ」
「あー! もしかして、そこが問題なんじゃないの?
今、シャンバラ女王を決めようっていうことになってるから、
名前が微妙なのかもしれないよ!」
「のぞっちの言うとおりですわ!」
のぞみの指摘に、珠樹がうなずく。
こうして、「冬の女王」のテコ入れをしていると、
譲葉 大和(ゆずりは・やまと)が現れた。
「良いですか?
確かに聖ワレンティヌスは偉大かも知れませんが、
知名度としてはどうでしょう?
昨今、バレンタインとして有名になっている以上、
もっと、男子受けする名前にする必要があるのです!」
「はあ!?」
お茶会モードに突入していたワレンティヌスが驚く。
「黒髪! ロング! 俺様っ娘!
それでもてないはずが無い!
よろしい! ならばプロデュースだ!
この聖モテルティヌスこと【イルにゃんスールのプロデューサー】たる
譲葉大和が目にモノ見せてくれますぞ!
「一日5分」
「すぐに実感」
「お試し無料セール中」です!」
大和が、そのまま勢いでワレンティヌスに命名する。
「ショコラ・ノイハウス……通称ショコたん!
それが貴方の芸名です!
や、別に森永明治(モリナガ・アキハル)でもいいんですけどね?」
「よくねえよ!」
ワレンティヌスのツッコミは、大和は聞いていない。
「貴方は素材は悪くありません!
俺、俺上等!
俺様上等!
しかしです、後は魅せ方の問題なのです!
いいですか?
男というナマモノはですね、ギャップに弱いんです。
普段強気に振舞っていても、
例えば貴方が奪ったチョコをシュンとしながら返すだけで……。
それだけで好感度が上がるんです!
その時、俯きかげんに頬を染めるのを忘れないでくださいね?」
「そんなこと言ったってなあ……」
それまでなかったパターンに動揺するワレンティヌスだが、珠樹が畳み掛ける。
「そうですわ! 「冬の女王」とワレンティヌスがユニットを組めばいいのですわ!」
それを聞き、ワレンティヌスは、決意したように「冬の女王」を見て言う。
「そうだな……。
俺達、季節ものNPCとして、
キャラクエとか、別の場所で出演できるかもしれないもんな!」
「かもしれないぞよ!」
ワレンティヌスと「冬の女王」が手を取り合って再起を誓う。
「かもしれないなんだね」
のぞみが言う。
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