リアクション
第5章 「カンナ様……僕が思ってた以上にエグいな……」
そして、イルミンスール魔法学校に戻り、チョコの交換会が始まった。
水神 樹(みなかみ・いつき)が佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)にビターチョコのトリュフを渡す。
「弥十郎さんの作られるものにはかなわないかもしれないですけど……」
「そんなことないよ。どうもありがとう♪」
佐々木が樹を抱きしめる。
「うむ、ハードボイルドだ!」
物陰から、佐々木のパートナーの熊谷 直実(くまがや・なおざね)が見守る。
鬼崎 朔(きざき・さく)は本命チョコを椎堂 紗月(しどう・さつき)に渡そうとしていた。
「……これ……紗月のために作ったチョコ……受け取って!」
ワレンティヌスの前で見せていた姿とはかけ離れた、
恋する乙女として、朔が恥ずかしそうにチョコを差し出す。
「え? 俺に?
どうもありがとう!」
自分の好意には鈍感なため、まったくこの事態を想定していなかった紗月が笑顔で言う。
「よ、よろこんでくれて……よかった……」
朔が両手で顔を覆う。
朔のパートナーのブラッドクロス・カリン(ぶらっどくろす・かりん)は、
紗月のパートナーの有栖川 凪沙(ありすがわ・なぎさ)に、友チョコと、
以前のプレゼントのお返しのマフラーをあげる。
「凪沙ちゃん! はい! 友チョコ!! アヤメくんにもあげてね!!」
えへへ。こっちは、この前の帽子のお返しだよ!」
「わーい、ありがとうっ!」
カリンと凪沙も、笑顔で友チョコを交換しあうのであった。
筑摩 彩(ちくま・いろどり)も、影野 陽太(かげの・ようた)に友チョコを渡す。
「はい、いつもありがとう!」
「ありがとうございます……って、これ、トラップと同じ包装ですね?」
「中身は普通のチョコなんだよ?」
陽太のツッコミに、彩がいたずらっぽく笑う。
「じゃあ、俺からは妖精スイーツを差し上げますね」
「わーい、どうもありがとう!」
陽太のお返しを、彩は受け取るのであった。
そんな陽太の本命は環菜であったのだが。
「はい、よくがんばったわね」
環菜が、協力したものに義理チョコを配布していた。
「環菜会長……!」
まさかもらえるとは思っていなかったので、陽太は感激した。
陽太はカンナ様スキーなので彼女に認めてもらう為に、
こっそり「英雄」を目指しているのは、周りには内緒の本人だけの秘密なのである。
湯島 茜(ゆしま・あかね)の
パートナー、エミリー・グラフトン(えみりー・ぐらふとん)と、
ミヒャエル・ゲルデラー博士(みひゃえる・げるでらー)の
パートナー、ロドリーゴ・ボルジア(ろどりーご・ぼるじあ)も、
ワレンティヌスに呼び止められていた。
「こういう習慣なんだろ?
世話になった奴にチョコ配るとか……あ、違う!
別にお礼とかじゃねえぞ!!」
「うれしいであります」
エミリーがチョコを抱きしめる。
「おお、ワレンティヌス様……!!」
ロドリーゴが涙を流して喜ぶ。
「そ、そんな喜ばれることしてねーぞ!
別の奴らにも配ってくるからな!」
ワレンティヌスは顔を赤くして走り去った。
こうして、ワレンティヌスは、バレンタインデーを楽しむ人々を祝福した。
「じゃあ、来てもらおうかしら」
「え?」
しかし、環菜が、容赦なくワレンティヌスを捕らえて、空京に連行する。
「わー!?
なんでだよー!?
イルミンスールの奴らにはチョコ返したし、
皆のこと祝福してやっただろー!?」
「私は関係ないもの。さあ、とっとと来なさい!」
かくして、空京で「聖ワレンティヌスにチョコレートを贈ろう!」キャンペーンが開催された。
「ワレンティヌスが売って、ワレンティヌスがもらって、別の客にまた同じチョコを売る」
というキャンペーンに、無理やり参加させられるワレンティヌスであった。
「この状況で連行するとは……カンナ様……僕が思ってた以上にエグいな……」
キャンペーン原案者の湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)が遠くから様子を見ながら言う。
「うぇーん、デパートのチョコレート展に
また並ぶはめになっちゃったよー。
買えたからいいけど。
「メッ」しにいったつもりのるるの「無限ループ」をあんなに完璧に活用するなんて……。
本当、カンナさんはエグいよねー」
通りかかった立川 るる(たちかわ・るる)も、お星様包装紙のチョコレートを持って、同意する。
ケイラ・ジェシータ(けいら・じぇしーた)は、ワレンティヌスとお揃いの衣装で、
キャンペーンを手伝っていたが、やがて販売が終了する。
(あー、自分はとうとうチョコもらえなかったなー……)
そんなことをケイラが考えていると、
目の前にさっきまで販売していたチョコの包みが突き出される。
「環菜が給料現物支給とか言いやがってチョコしかくれねーからしかたなくだ!
チョコばっかもらっても食いきれねーし、
たくさん食えそうなやつが持って帰れよ!
……おまえは俺の身代わりとかやってくれたしなっ!」
「ワレンティヌスさん、ありがとうっ!」
「だーっ! うるせーよ!!」
一方、ザンスカールの森では。
ウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)が、森のはずれにざんすかを呼び出していた。
隠してあったチョコ一箱と、布の被った包みがあり、ウィルネストが布を取る。
「ああ、えーと、チョコはオマケな。
食べ物とそうじゃないものと、迷ったんだけどさ……」
「木の苗とか花ざんす!」
「これをザンスカールの森に……とかそういうのどう? うれしくない?」
「よくやったざんす、ウィル!
さすがミーの舎弟ざんす!」
恋愛面はまったく意識していないというか、
そもそも人間とは価値観が違いすぎるのだが、
ざんすかは、とてもうれしそうであった。
「え? お、俺、舎弟なんだ!?
……ん、ちょっと待った。
今、俺のこと、ウィルっつった!?」
「早く植えるざんす!
これでミーの森がまた広がるざんす!」
「ちょっと、待って、今、俺のこと……」
「じゃたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
「ぎゃああああああ!? チョコなんか持ってるからざんすー!!」
「うわああああゴハアッ!?」
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ショコラティエのチョコ
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