リアクション
15. 一日目 エーテル館 えつ子の部屋 午前九時十五分
V:古森あまね。ナガンは、調査参加者全員ショック死確実の超絶捜査法を思いついたぜ。
V:黙ってなさい。
探偵たちはいるのに、部屋に、えつ子の姿はない。十畳の広さの和室は、きれいに片付いていて、生活のにおいは、なかった。
「逃げた」
トライブ・ロックスターは畳を次々と持ち上げ、えつ子の姿を探しはじめる。
「隠れてるのは、わかってるんだ。えつ子、見つかる前に自分からでてこい。あなたの街の便利屋さん、ロックスター商会は、掃除は主要営業品目なんだよ。俺の大掃除から、逃げられると思うなよ」
「トライブ。なにしてるんです」
物静かな感じの少女、ジョウ・パプリチェンコは、パートナーのトライブに手を貸さず、やたらと手際のいい、掃除というか部屋の解体作業を眺めている。
「あのな、見てわからないのか。俺は、えつ子を探してるんだ。ジョウも、他のみんなも手伝ってくれよ。およ? 他のみんなは、どこだ」
トライブは、部屋にジョウと自分、あまね、くると、ナガンしかいないのに気づいた。
「みんな、えつ子さんの部屋へ行きました」
「どういう意味だ」
ジョウは、部屋の壁に張られていた紙をトライブに突きつけた。
今日は、こちらの部屋にいます。えつ子
手書きの地図つきのそれを見つけた他のみんなは、すでに移動をはじめており、解体に夢中だったトライブは、取り残されたのだった。
「ボク、先に行きます。ここを片付けてから迷わずにきてください」
ジョウは、トライブに背中をむける。
V:ナガンさん。あたし行くから、トライブさんを助けてあげてね。
V:! ナガンに断る権利はないのか?
V:あなた聖人でしょ。迷える子羊を救いなさいよ。
V:どうしてこうなるんだかなァ・・・。