リアクション
62. 二つのはじまり 二
V:橘舞です。継承式が無事に終わって本当によかったですね。麻美さんの舞が終わった後、感動してじんとしちゃいました。
式の後は、ラズィーヤ・ヴァイシャリー様ファンクラブ代表のイルマさんが、ラズィーヤ様とのお茶会をはじめたり、桜井静香様の撮影会が開催されたりと、正直、撮影会は私も参加したかったんですけど、ブリジットがそんなのよりも現場百回よ、まだ事件は終わってないわ、って言うので、隅々まで探索した春美さんに、ガイドを頼んでエーテル館にやってきました。
私たち百合園推理研究会と、事件調査の共同戦線を張りたいっていう、レストレイドさんも一緒です。
「麻美のあの舞であったら、わらわが踊った方が、目の保養にもなるし、見ているみなのために、よかったのではないか」
舞のもう一人であるパートナーの金仙姫は、清流の舞への批評を式の後、エーテル館にきても、ずっと続けている。
「じゃあ、レストレイドさんは、私たちと事件捜査の時に協力しあいたいんですね」
「ああ。ロウがいても、俺単独の捜査では、限界があるからな。君らと協力関係を結びたい」
「話しあいや協力は大切ですよね。私はいいと思います。他のメンバーにも話してみますね」
舞に快諾され、レストレイドは照れた感じで笑った。
「あんた、こんなとこで、なにしてるのよ」
一行の先頭を春美と歩いていたブリジットは、一日目に阿久の死体が発見された部屋のドアを開け、そこにいた人物に尋ねた。
「あら。みなさん、遅かったですね。はい。これ、どうぞ」
部屋にいた先客、シャーロット・モリアーティは、携帯を春美に手渡す。
通話中の表示がでている。
春美は、おずおずと携帯を耳にあてた。
「教授と呼ばれた男は、前菜だ。彼のやり方に合わせた。思った通りに気づいてくれて、よかったよ。役者も揃ってきたし、これから、パラミタに、地球に負けない犯罪の歴史を作る。パラミタ ミステリ クロニクル。過去の偉大な同志も英霊として呼べるのだし。伝説の名演の再現も期待できる。魔術も使えるし、楽しめそうだね。少年探偵によろしく伝えてくれ。では、また次の事件であおう」
通話は終わった。
春美は、この声の主に、心あたりがあった。
墨死館に行った者は、誰もが忘れられないはずの声だ。
「シャーロット・モリアーティ。あなたは、彼の仲間なの?」
「なんのことです。私は、みなさんと同じく、まだ解明されていない謎を調べにここにきたのです。携帯は、通路で見つけました。リン太郎氏の持ち物かもしれませんね」
「あなたは、なんでこれを私に、渡したの?」
「質問ばかりですね。マジカル・ホームズ。偶然ですが、私の名前はシャーロット。かのシャーロックや私のシャーロットは、アイルランド系の闘争心をあらわす名のはずですよ。そんな様では、あなたは、シャーロックの称号を汚します」
シャーロットは、春美を挑発するように、小さく首を横に振った。
「シャーロット。あんたは、悪の一味の一員よ。そのモリアーティの姓が、なによりの証拠だわ」
ブリジットは、シャーロットをビシッ。と指をさした。続いて春美も、
「シャーロットさん、モリアーティが数学の教授だったのは、ご存知かしら。教授と呼ばれていた人間は、リン太郎さんだけでは、ないのかもしれないわね。私の名前は霧島春美。人の知らないことを知るのが仕事。マジカル・ホームズの名にかけて、あなたには負けない!」
「威勢だけはいい探偵さんたちですね。ニセ刑事さんも御一緒ですか。みなさん、仲良しでうらやましいです。私のことは、シャルと呼んでください。
あなたたち流に言うと、私は、
She is the Napoleon of crime,Watson.」
シャーロックとモリアーティ。
ミステリ史に永遠に名を残す両雄の化身となった二人の少女が、見つめあう。
闇の眷族が演出する事件は、すでにここで第三章の幕を上げようとしていた。
Q.E.D.
「かわい家事件」お疲れ様でした。かわい家(かわいや)です。
みなさん、ご参加ありがとうございました。
前回、今回と続けて参加してくださった方が、けっこういらっしゃって驚きました。
おなじみの(まだ二度めですが)PCたちにまた会えて、うれしかったです。
また、わかりにくいシナリオガイドだったにもかかわらず、「少年探偵」シナリオに今回から来てくださった方、歓迎いたします。
どちらの方たちも、今後ともよろしくお願いいたします。
私は、みなさんの熱意のあるアクションに励まされて、リアクションを書いています。
今回のリアクションの感想は、ブログ「かわい家 広報部」に書きます。興味のある方は、ご覧ください。
それでは、またお会いできる時を、少年探偵とともに楽しみにしております。失礼します。
* 5月16日。呼び名の間違い修正させていだきました。御迷惑をおかけしました。