リアクション
57. 三日目 レンドルシャム島 午後七時四十九分
V:ノンちゃんはね、伊月ちゃんのパートナーでノゥン・ネィームって言うんだよ。
楽しいことは大好きで、ドロドログログロどんとこーい! だから、月明りの下、丘のお墓を掘り返すよ。
島についた巫丞伊月は、パートナーのノゥン・ネィームとラシェル・グリーズを連れ、船上でクリスティー・モーガンから聞いた、かわいみのるの墓を目指した。
そして、誰よりも早くそこにたどりつき墓荒らし! を開始したのである。
だが、実際、墓を掘っているのは、ノゥンだけで、ラシェルはこの暗い中でもメモをとるのに必死で、伊月自身もノゥンをたまに手伝いつつ、大半は、一人で、おしゃべりをしている。
「船で、レンドルシャムの森の話を聞いて思ったんですけど、これは「天人女房」のお話なんじゃありませぇん〜。
ぅんふふふ〜。日本では、わりと有名なんですけど、竹林からでてきた天女が星へ帰るお話や、星からきた女人が人間の男性の女房になって、でも、いつかは帰ってしまうっていう。
かわい家の家業がはやったのは、星からきた女房が、異星の技術を教えたから? 女房は、星へ帰ってしまったけど、残した子供が二十才になったら、戻ってくる。そのための装置を用意して欲しいって、旦那さんに頼んでいったの? 彼女のことを忘れられない旦那は、その日を信じて待ってたの?
あらあら。私の想像通りなら、御伽噺みたいなロマンチックなお話ねー。
旦那は、死んだフリして、ここで女房を待ってるのかしら〜」
「伊月ちゃん。なんか、ここらへんの空だけ、すっごく明るくなってきたけど、どうする?」
ノゥンがスコップを持った手をとめた。
「まぶしすぎて、メモがとりにくいです」
ラシェルが空を見上げる。