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リアクション
第3章 アウェイ気分を味わえ・・・迎え撃つトラップ設置
「どうせなら他のトラップも容易しておきたいところね」
台の周囲を歩き回りながら、いいアイデアはないかローザマリアが考え込む。
「柵の内側に鳴子をつけて、切ったりひっかかったりしたら、ワイヤーが飛び出す仕掛けとかどうかしら」
メタモーフィック・ウイルスデータ(めたもーふぃっく・ういるすでーた)の方を振り返り意見を求める。
「うーん・・・それに警報を加えてみるといいかもしれないね。揺れると鳴る仕組みにしておくよ」
「ワイヤーの端は鳴子につけて・・・と。これじゃあ分かるかしらね・・・」
土に埋めたワイヤーを見下ろし、昼間だとばれてしまうのではと思い、ローザマリアは片手を口元に当てていいアイデアがないか再び考える。
「何かお困りですか?」
他の場所でトラップを仕掛けようと場所を探している風森 望(かぜもり・のぞみ)が声をかける。
「ちょっとね・・・これを敵に分からなくするには、どうしたらいいかと考えていたところなのよ」
「―・・・そうですね、もうちょっと土をこう自然的に被せて。ここだけ草がないと不自然ですから、こんな風にしてみてはいいかがでしょう」
ローザマリアが仕掛けたワイヤーに土を被せ、トラッパーの知識で草を植えて分からないようにしておく。
「ありがとう、やってみるわ」
「では私はこれで」
簡単に説明すると望は彼女から離れていく。
「落とし穴のところも、草がないと不自然よね。明らかに掘り返したところがバレてしまうし・・・。そこもやっておきましょう」
堀の外の草を掴み取り、掘り返したことが分からないように植える。
「これでたぶんバレないと思うけど・・・。アウェイ気分を楽しんでもらうためには、これくらい容易してあげないとね」
手についた土を払い、仕掛けたトラップを見つめて口元を笑わせる。
「相手が無理やり飛びこえようとしてきた時、そっちで発動出来るようにしておいてくれる?2段階の高さで仕掛けておいたから」
「分かった、それもやっておくね」
ノートパソコンに最先端テクノロジーで、鳴子につけた端末が揺れた瞬間に、ワイヤーが反応するようにセットしておく。
「破壊出来るならやってみるがいいわ。その前にトラップ地獄を味わうことになるでしょうけど」
ローザマリアは掘った穴に入りシートを被せ姿を隠し、スナイパーライフルを構えて待ち構える。
「かなり本格的に向かえ撃つようだな」
封神台を囲むように仕掛けられたトラップを見て、瓜生 コウ(うりゅう・こう)も襲撃に備えて遮蔽物を作ろうかと考える。
「簡単なものだが・・・ないよりかはいい、30mくらい離れたところに作っておくか」
死角から返り討ちにしてやろうと、スコップで土を積み上げ隠れる場所を作る。
「逆に利用されてしまうかもしれないからな、木屑を袋に入れておこう。そこへ来たやつが近づいた瞬間に袋を燃やして相手を炭にしてやる」
麻袋に木屑を詰めて積み上げた土の前にドンッと置く。
「やつらを倒すためにはこれくらいはやらないとな・・・」
ブラックコートを羽織り土壁を背に襲撃を待つ。
「ちょっといいかしら」
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が落魂陣について話そうと、コウの傍へやってくる。
「あなたは十天君を直接倒そうと思っているの?」
「できればそのつもりだ」
「じゃあ落魂陣について話しておくわ。その陣の中にはSPを吸い取る悪霊や、墓石が沢山あるの。そこから以前、姚天君が仕掛けてて負けてしまったのだけど・・・」
「墓石か・・・使えるかもな」
コウは美羽から聞いた情報を元に、その墓石を逆に利用出来るかと考える。
-AM10:20-
「誰も見てませんよね」
望はシートを抱えて周囲をキョロキョロと見回す。
「これが例の物ですわ」
ノート・シュヴェルトライテ(のーと・しゅう゛るとらいて)が何やらトラップ用に使うアイテムを望に手渡す。
「んー・・・採掘してきたやつがツルツルだと不自然ですし。やっぱりごつごつした感じがないとバレますよね」
受け取ったひび割れた装甲板と光条石を使い、望は本物の材料の石を参考に日曜大工セットでそれらしく見せる。
「もっと形を荒く・・・」
鑿を握り力いっぱい石をガッガリガリッと削る。
「それにしても2つだけでひっかかりますの?わたくしなら大量にある方を確実に狙いますわ」
本当にひっかかるのかどうかよりも、数的に不安だとノートは眉を潜める。
「―・・・はっ!」
顔を青ざめさせた望の手から鑿が滑り落ちる。
「そっそうです。2つじゃ・・・」
「足りないのでしたらその辺の石ころで代用すればいいんじゃないのですの?」
「うぅっ・・・そうですね」
明らかに足りないと突っ込みを入れられた望は、泣きそうになりながらも必死に石ころを拾い集める。
「むむっ・・・・・・もっと色合いを調整して・・・。光る石は蛍光ペンで誤魔化しましょう」
「(だいぶ夢中になってますわね)」
拾い集めた石の色つけに夢中になっている望の姿をシートに座って眺める。
「落とし穴も作っておきましょう」
「とりあえず、周りに穴を掘っておけばいいんですのね?」
偽物を作り終えた望は、今度はトラップを仕掛けようと、ノートと一緒にスコップでザクッザクッと土を掘る。
「穴の中に乾山を入れておきましょう。後は木屑を乗せて・・・土を被せってと。草も植えておきましょうか」
望は剣山を放り込みトラップだとバレないように細工しておく。
「細工は上々、後はお嬢様次第ですね」
偽物を本物があるシートの傍へ並べる。
「では“本物”の材料置き場の警護は任されましたわ!」
「ええ、よろしくお願いします。(えっと封神台を作る人には教えませんと・・・)」
ノートが守る“本物”と勘違いしないよう、建築を担当する生徒たちの姿を探す。
敵を欺くためにわざとらしく大声で言っただけで、そうではないからだ。
「見つけました!」
そのことをメモに書き、3人の生徒の元へ駆け寄る。
「紙・・・?うん、分かった」
「チムチムも了解したアル〜」
望から受け取ったメモを見たレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)とチムチム・リー(ちむちむ・りー)は、どっちが本物の材料がある位置か把握する。
「歌菜さんも見ておいてください。封神台を作る方には言わないようにお願いしますわ」
遠野 歌菜(とおの・かな)にはノートが渡す。
「―・・・分かりました!」
メモに書かれている内容を見て歌菜も把握する。
「そろそろお昼になりますから、弥十郎様が用意してくださる食事を、皆さんもいただきに行きましょう」
「もうそんな時間なんだね」
望に言われてレキは携帯の時間を見る。
昼食をとろうと生徒たちは弥十郎がいる方へ向かう。
-AM11:30-
「お腹が減ってたら士気も低くなっちゃうからね」
生徒たちのために昼食を作ろうと、弥十郎は熊の肉とウサギの肉を包丁で一口サイズに切る。
「油の温度は・・・。うん、ちょうどいいみたい」
菜箸で温度を確認し、切り分けた肉を熊の油でさっと炒めていく。
鍋に水を加えて塩で味付けをして熊汁にする。
「丁度いい塩加減だね」
スプーンで汁をすくい味見をする。
「美味しそう!」
「いい匂いがするアル〜」
「器によそってあげるから待っててね。はい、どうぞ」
レキとチムチムに熊汁をよそった器を渡す。
「私たちにもください」
「3人分だね」
人数を確認して弥十郎は、お盆に3人分の器を乗せて望に渡した。
「ありがとうございます、美味しいですね」
「本当、温まりますわ」
「美味しいですっ」
「そうかな、ありがとう」
喜んで料理を食べている望とノート、歌菜たちの姿を嬉しそうに見つめる。
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