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リアクション
第4章 創造主に服従する放たれた亡者
-PM19:00-
「ずっと見張っているけど来ないな。いや・・・奇襲しにくるなら深夜かもしれないか?」
せっかく採掘した材料を奪われないように、見張りをしている七枷 陣(ななかせ・じん)はオペラグラスを覗き込み、襲撃されないように警戒する。
「どうしようか?交代で見張りした方がいいと思うんだけど?休む順番も決めないとね」
リーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)が陣に見張りの順番を決めようかと提案する。
「全員寝ずに番をしてはいざという時、動けない可能性がありますご主人様」
「んーっ・・・そうだな、そうすっか」
小尾田 真奈(おびた・まな)にも言われ、交代する順番を考える。
「最低でも2人は起きていませんと」
先にメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)が見張りをすると片手を上げる。
「そんじゃ次の日はオレたちか。眠くなったらいつでも交代するから適当に起こしてくれ」
交代して欲しい時は必ず起こすように言う。
「私たちはその次ですね」
5日目は島村 幸(しまむら・さち)たちが番をする。
「後数日ありますから、お互い無理ないようしましょう」
見張りのメイベルたち以外、陣たちは寝袋に入って睡眠をとる。
3Day
-AM2:10-
「静かですね・・・今のところ異常はないようです」
「―・・・・・・はふ・・・」
眠たそうにセシリア・ライト(せしりあ・らいと)が欠伸をする。
「大丈夫ですのセシリアさん。少しお休みになったほうがいいんじゃありません?」
フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)は彼女に仮眠をとるように言う。
「あっ、ごめんね。大丈夫・・・、―・・・はふっ」
「能力が減退していたんですからあまり無理しないほうがいいですわ」
「ううん大丈夫。それに・・・2人が頑張ってるのに、ボクだけ眠ることなんて出来ないよ!」
首を左右に振りフィリッパたちが起きて見張りをしているのに、自分だけ眠ることなんて出来ないと寝ずの番をする。
「―・・・。(とはいったもののやっぱり眠いなぁ)」
カランカランッ。
うとうとしかけたその時、鳴子が聞こえてきた。
「やつらが来たの!?」
眠りかけていたセリシアは驚きのあまり眠気が吹っ飛んでしまった。
「どうしますのメイベル様。わたくしたちで片付けられないようなら皆さんを起こしますわ」
「陣さんたちだけ起こしてください。2人はこの後のことがありますから・・・」
「そうですわね・・・。起きてください敵が来ましたわ」
寝床へ行きフィリッパはそっと陣たち3人を起こす。
「―・・・なっ!?」
「しーっ!2人は起こさないであげてください」
「そうだな・・・んじゃオレらだけで片付けるとするかっ。おいリーズ、真奈・・・起きろ」
「あいつらが来たの?」
「ぁあそうみたいだ。せっかく苦労して運んできたやつを奪われてたまるかっつーの」
「どの辺りにいますか?」
機晶キャノンで倒そうと真奈はメイベルの方に顔を向ける。
「気配を感じるのはあの辺りです」
「分かりました、撃ちます・・・っ」
彼女が指差す方向にエネルギーを凝縮した弾丸を撃ち込む。
ズズドォオンッ。
爆風に巻き込まれた数体の兵が吹き飛ぶ。
「やぁああっ!」
バーストダッシュの加速でゴースト兵との間合いをいっきに詰め、リーズは爆炎波の炎で焼き斬る。
亡者の胴体がドタンッと地面へ崩れ落ち、断面から固まった血液がドロリと流れ出る。
「失せろガキどもっ」
兵がリーズたちに向けて機関銃を撃ち鳴らす。
「動かないでっ」
セシリアはリーズを抱えて地面へ転ぶ。
「へっ、そんなところへわざわざ転ぶとはな。どうぞ撃ってくださいといっているようなもんだ」
「どこを見ているですか?こっちですよ」
ウォーハンマーを握りメイベルが兵にニコッと微笑みかける。
「―・・・くっ、そっちか!」
「もう手遅れですぅ」
ベシャッと頭部を殴り潰す。
「背中ががら空きですわね」
メイベルを狙う兵の肩かた腹にかけてフィリッパがザシュゥッと斬り落とす。
「封神台を完成させてたまるかっ」
「そちらに何人か行ってしましましたわ!」
「奪えるものならやってみなさいっ」
材料の前でノートが立ちはだかる。
「どけぇえ!―・・・うぁああっ!?」
兵たちはノートに掴みかかろうとするが、トラップの落とし穴に落ちてしまう。
「結構深く掘りましたし、痛覚がないにしても落ちて頭に剣山が刺さって、死体に戻ってしまうかもしれませんわよ」
「なめやがって・・・こんなチープな落とし穴で倒せると思っているのか」
「さぁどうでしょう?こういう使い方もアリだと思いますの、クスッ♪」
這い上がろうとする兵を蹴り飛ばし再び穴に落とす。
「んがっ。―・・・」
落とされた彼は後頭部に剣山が刺さり、ぐったりと倒れてただの死体へ戻る。
「上がってくんなっ」
陣はファイアストームの炎を放ち、穴に落ちた兵を焼き尽くす。
「あぁあーっ逃げていくよ!」
死体になった者を兵たちが抱えて逃げていく姿を見つけたリーズが声を上げる。
「この、逃げんなっ」
「ご主人様・・・深追いは禁物です。敵がトラップを仕掛けて、こちらに反撃してくる可能性があります」
「仕方ない・・・・・・今度きたら炭にしてやんぞ」
逃がしてしまったことに陣は舌打ちをする。
「いなくなったようですけど私たちは見張りを続けますから、陣さんたちはゆっくり休んでください」
「ん、あぁそうするか。逃げたもんを追い掛け回しても、手薄になったここを襲撃されるかもしれないしな」
「お休みー」
リーズは片手をフリ寝袋の中へ潜り混む。
「それにしても深夜に襲撃が来るなんて・・・」
「油断出来ませんわね」
3人が眠ったのを見てフィリッパたちはシートに座り見張りを続ける。
-PM13:00-
「しっかり乾いてますわね。少し鉋で削る必要がありますわね。それで削りなさい陽太」
時刻は午後1時を回り木材が乾いているか確認したエリシアは、削る位置をチョークで印しをつける。
「はいっ」
日曜大工セットを道具箱から取り出して陽太は木材に鉋をかけ、シュッシュルッと表面を平らにしていく。
「足場を組み立てますわよ。細かい作業は小人、力仕事の担当はゴーレムに任せますわ」
エリシアはゴーレムと小人の小鞄に組立作業を命じる。
「どちらも作業に向かないようですわね・・・」
トンカチで力いっぱい釘をうちつけてしまい釘を折ってしまうゴーレムと、釘を支えている小人がトンカチに潰されそうになっている光景を見てため息をつく。
「仕方ありませんわね、落ちないように木材を支えてなさい。小人は道具箱を持ってきて」
ふぅとため息をつき別の作業を命じる。
打ち合わせ通りにトンカチで木材に釘を打ち固定する。
「地味な作業だけどこれもあの十天君を葬るため・・・。そう思えばこの作業も楽しくて仕方ありませんわ」
「エリシア・・・危ない」
「えっ・・・?きゃぁあ!」
彼の声を聞き振り返った瞬間、銃弾が身体スレスレに通過した。
「この弾はライフル・・・近くに敵がいるぞ」
グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)は柵に入ってきた弾を拾い上げ、敵襲だと仲間たちに知らせようと叫ぶ。
「深夜に材料を奪いにきたようです」
リカーブボウを構え上杉 菊(うえすぎ・きく)は柵の内側から敵が潜んでいる方向を探す。
「幸い失敗に終わったようですが。今後はこっちを狙ってきましたね」
「見つけたら知らせるから狙って!」
森の方へ走り清泉 北都(いずみ・ほくと)は禁猟区で敵の位置を探る。
「こっちの方から飛んできたと思うんですけど・・・」
北都から離れないようにクナイ・アヤシ(くない・あやし)が小声で言う。
「いたよ・・・」
ライフルで封神台を狙うゴースト兵の姿を見つけ、草陰に身を潜める。
「孤島にいたほどの数じゃないけど」
雷術の雷光をターゲットに放つと同時に、敵を見つけたと菊たちに位置を知らせる。
「そこですねっ」
菊が知らせてもらった位置へ矢を放ち、木の傍に潜んでいる兵の頭部に命中させる。
「まだいるはずだよね、禁猟区に反応があるから」
北都はタレ犬耳をぴくつかせ、他の兵がいる場所を探る。
「風で揺れた音じゃないね・・・」
カサカサッと微かな葉音を聞く。
「死角を狙ったようですけど無駄だったようですね」
亡者の気配を察知したクナイはディフェンスシフトで北都の前に立ち、彼を狙う刃をクレセントアックスでガードする。
ランスバレストの一撃で刀を叩き折り、頭部を突き破壊する。
「兵が退いていきましたね」
遺体を回収して退いていく兵の姿を見る。
「銃で狙ってくるかもしれないから追っていくのはやめておこうか。封神台の方へ戻ろう」
深追いするのはやめようと北都たちは仲間たちがいる建築現場へ戻る。
封神台の方へ戻るとほとんど足場が出来上がっていた。
「20段目の上の支えはこう釘を斜めに・・・。コツさえつかめれば、なんとか出来るものですわね」
エリシアは小人から釘を受け取り、釘を土台の柱に打ちつける。
トントンッと釘を打つ音が静かな現場に響く。
「こっちは出来ましたよ」
担当作業分が終わったと陽太がエシリアに片手を振って知らせる。
「生徒たちが建築作業を始めるようです、フィックいったんワイヤートラップの反応を切ってください」
「分かったママ」
作業する生徒たちがトラップにかからないように、メタモーフィックはノートパソコンを操作して反応を切る。
「それじゃあボクたちの出番だね」
レキたちはシートから立ち上がり、出来立ての足場に登った。
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