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五機精の目覚め ――水晶に映りし琥珀色――

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五機精の目覚め ――水晶に映りし琥珀色――

リアクション


終章


「ガーナおねえちゃん、サフィーちゃん!」
 ヴァーナーは、空京大学で二人の姿を発見するなり、駆け寄り、サファイアにハグをした。
「ちょっと、びっくりしたじゃないの!」
 それでも、サファイアは特に困っている様子はなかった。
「ふたりのともだちをつれてきたです」
 ヴァーナーが視線を向けると、そこにはクリスタルの姿があった。
「おー、クリス! 久しぶりじゃねーか」
「むむ、ガーナです。相変わらずやかましい感じなのです」
 再会を喜ぶ二人の元に、さらにもう一人が加わる。
「アンバーさん、連れてきました」
 クライス達が、アンバーを彼女達に引き合わせる。
「おお、三人も揃っておるではないか! いやあ、サフィーがおるって聞いてわらわはびっくりしたものじゃ」
「なによ。前みたいに引きこもってろってわけ?」
「そんな事は言っとらん。あとは、エムが来れば全員じゃな」
 その時、パラミタ内海のルイ達から、PASDの情報管理部あてに、エメラルドを無事に救出したとの連絡が入った。
 その報せは、すぐに彼女達に届く。
「これで全員揃うのです」
「だな。うっし、再会記念にぱーっとやるか?」
「いいのう。わらわもずっと一人で彷徨っておったから、退屈してたのじゃ」
「エムに会えるなら、それでいいわ」
「あっまいもの、あっまいもの、です」
 会話が盛り上がる五機精の五人。
 もうじき、五千年ぶりに全員が揃う事になる。
 そして、彼女達の『親』も――

            * * *

「みんな、無事ですか?」
 パラミタ内海にいた者達は、皆脱出に成功した。
「よかった、誰一人欠けなくて……」
「なーにが、『よかった』よ。一人で皆に心配かけたの、誰だと思ってるの!」
 バシ、とエミカがリヴァルトを引っぱたく。
「それに、何で出た瞬間にまたいつものリヴァルトに戻ってるわけ?」
「いえ、さっきはちょっと熱くなってただけですから」
 はは、といつもの不敵な笑みを浮かべるリヴァルト。
「でも、こうやってみんな帰ってきたんだし、いいんじゃない?」
 アルメリアがエミカとリヴァルトのところへ歩み寄る。
「もう一人で抱え込んじゃダメよ、せめてパートナーのエミカちゃんくらいには相談しなさい。すごく心配してたのよ」
「はい、申し訳ありません」
「謝るのは、エミカちゃんに、でしょ?」
 リヴァルトとエミカが目を合わせる。
「エミカさん、本当にすいませんでした」
「別に、もういいよ。だけど、今度やったらこれでつつくからね?」
 紫電槍・改をバチバチと鳴らすエミカ。
「……それだけは、勘弁して下さい」
 そこへ、司城がゆっくりと歩いてくる。
「リヴァルト」
 司城が口を開こうとする。
「まだ、先生を許したわけじゃありません。ですが……」
 じっと司城と目を合わせる。
「もう一度、ちゃんと話して下さい。全ては、それからです」
 司城は黙って頷いた。

            * * *

「司城先生」
 刀真が、司城に声を掛ける。
「『灰色の花嫁』について、教えてください。なぜ、生きて……」
「『研究所』が消滅する時、転送術式に穴があった。そこをついて、彼女も外へ這い出たんだよ。もっとも、『無事』にとはいかなかったけどね。だから、ボクが彼女を保護した」
 『灰色』の事について、触れる。
「だけど、伊東がノーツ博士の仲間だなんて思わなかった。ボクがイルミンスールであんな目にあった後、連れ去っているとはね。おまけに博士の元で完治しているとは」
 だけど、刀真が気にしているのは、そこではなかった。
「なぜ、あの『灰色』が俺達を助けたのでしょう?」
 『研究所』で、腹部を貫かれた彼には、それが不可解だった。
「……ボクにも分からないよ」
 ただ、彼の中で一つだけ『灰色の花嫁』で分かった事がある。
 リヴァルト、アントウォールト、司城の三人は、皆リヴァルトの姉と何らかの繋がりがある。『灰色の花嫁』がリヴァルトの姉、ヘイゼル・ノーツに似ているのは、リヴァルトの波長を読み取ったのではなく、三人にとって彼女が大切な人であり、二人のワーズワースのいずれかが契約者だからだろう。
 だが、真実は海の底だ。

            * * *

「…………」
 しばらく呆然と佇むリヴァルト。
 そこへ、今度はにゃん丸がやってくる。
「リヴァルト……疲れた。飯おごれ……」
 その言葉で、エミカがポン、と手を叩いた。
「みんなー、リヴァルトが迷惑かけたからって、ご飯おごってくれるよー! タダ飯行きたい人、集まれー!」
「ちょ、え、エミカさん!!!!???」
 困惑するリヴァルトをよそに、PASDメンバーが殺到してきた。
 そして、改めて彼に向けて口を開く。


「――おかえり!」



Episode2 is over……