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●第13章 歌はわたしの吐息のごとく

「はぁ…今日は暑いね」
 クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)は言った。
 見上げる空京の空は見事に晴れ上がっている。今日は遊びにやって来ていたのだが、着ている格好はワンピースだった。
 本日、異性化した人物は数知れず。クリストファーもクリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)もその中に含まれた。
「ねぇ…この先どうしよう?」
 クリスティーの言葉に、クリストファーは肩を竦めてみせた。
「今、どーにかできることじゃないんじゃない? 楽しめば?」
 ずっと女に戻れないかとクリストファーは思っていた。それが朝起きたら女になっていたのだ。この先のことは明日考えるとして、今は現在何ができるかを考えるべきだろう。
 それが一番建設的じゃないかと思う。
「とりあえずは、歌、じゃない?」
「え?」
「だから、久しぶりに全く違うパートを歌えるチャンスが来たんだからさ。歌わないとね」
「まあ、ね。で、どこに行くの?」
「カラオケ」
「え? カラオケ行くの?」
「そう、オペラ歌うのに、オケはすぐ用意できないだろ? だったら、カラオケが一番さ。曲数多いし、最近のは音も綺麗なんだよ」
「確かに…それが手っ取り早いかも」
「でもね…」
「ん?」
「これが先さッ!!」
 そう言うなり、クリストファーはクリスティーの股間を、思いっきり蹴り上げた。
「ふぁッ!!!!」
「去年の仕返しっ! 痛かったんだからな」
「う゛ぁああああ〜〜〜」
「ふんッ!」
 クリストファーはツンっと横を向いた。
 一年前に男性として仕草が無防備だと、実地で教えられた過去を思い出しての仕返しだった。
 クリスティーは呻きつつ、クリストファーの方を向いた。そしてナプキンを差し出す。
「生理があるかも、しれないし…」
「ばっかだなあ」
 そう言って、クリストファーはクリストファーは笑った。
 それはありがたく受け取った
「じゃぁ、カラオケに行こう!」
 とりあえずスッキリしたクリストファーは、ひとしきり笑ってから歩き出す。
 カラオケに入ったら、まず、オペラの基本である、『ノルマ』、『恋に生き 歌に生き』など古典を歌い始める。
 自分の高い歌声に酔いしれながら、クリストファーは久しぶりに昔のパートを心から歌った。