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VSサイコイーター

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VSサイコイーター

リアクション

「出てきたらどうや? サイコイーター? いや、“鬼崎先生”」
 ブラウに言われて、鬼崎はその姿を路地の影から現した。2メートルを超える巨漢が現れる。
「よくわかったな……。いつから気づいていた?」
「さっきや。ほんの。絶対何かおかしいなとおモーてな。キュゥタはあんたのパートナーやけど、“学院の関係者やない”。それやのに、何故学院の備品をつこーてるのかと思うと、おかしいんや。パクったものとしても、パクられたものは学校側がチェックしとるはずや。つまりや……、あの銃はあんたが学校から借りたものやろ?」
「フハハッハ、流石は雷神! 操る電気も鋭いが、頭も鋭いか! そうさ、あれはオレがあいつに“勝手に持っていくように態と家に持ち帰った銃”だ! あいつが襲っていた強化人間のリストもオレが作ったものだ。お前ら管区長それぞれの名前に“危険”と印してな」
「やはり、共犯やないな……。パートナーを利用したんか」
「そうだ。だが、犯行に及んだのはあいつの意思だ。あいつは会う前から強化人間が嫌いだったようだ。何度も、『強化人間は存在してはならないんだ』て執拗に言っていた」
「ならおまえはどうなんや?」
「俺は強化人間が嫌いなわけじゃねぇ。俺はお前ら5人が憎いだけだ」
 鬼崎はその太い指を鳴らす。ブラウへと一歩近づく。それだけで異常なまでの威圧感が感じられた。彼はブラウを殺す気だ。
 筋肉の塊である鬼崎の腕から、繰り出される拳が、ブラウを捉える。
 が、その攻撃は当たらなかった。《神速》によりブラウは位置を変えられていた。
「何ぼっとーしているのです! ブラウ! 敵前ですよ!」
 夕条 媛花(せきじょう・ひめか)がブラウを叱った。彼女がブラウを助けたのだ。
「なんや! リーダーやん。何しとんねん! こっから俺が鬼ぃを痺れさせて、かっこ良く勝つところやったのに!」
「何をて、ずっとあなたを尾行していました。まったく、あなたはこの場に一人だけになるなんてどうかしてます。もっと注意したほうがいいですよ。前に単独行動は慎むように言ったはずです」
 媛花の説教に、眉を顰め「わかっとる」とブラウは答えた。
 鬼崎は再びブラウに向く。
「媛花か。仕方あるまい、お前も一緒に屠っていくとしよう――」
 再び殺気が空間に漂う。

「そこまでよ! 話は聞かせてもらったわ!」

 と、空気を読んでいないような登場をする女子がいた。声の主は民家の屋根の上に夕日をバックに立っていた。まあでも許してあげて欲しい。彼女らはこの為だけに、昼からずっとスタンバってたのだから。
「『怒涛のフラワシ使い』葛葉 杏(くずのは・あん)、参上!」目元で横ピース。
「こ、『木陰の強化人間』橘 早苗(たちばな・さなえ)、参上!」ヤレヤレですのポーズ。
「早苗! あなた間違っているわよ! 『モブ色の強化人間』か『木陰にいそうなモブ』が二つ名でしょう! 目の前にいるのは『雷神』のブラウに。『鬼の戦闘教官』こと『鬼ぃ』、鬼崎先生よ! 二つ名で負けているわよ!」
「そんなー、あんまりですよ杏さん!」
「何か、コント劇場はもーたけど、まあいいわ。序に皆出てこいや」
 ブラウの言葉で、隠れていた彼の護衛たちがブラウと鬼崎を取り囲んだ。
「なるほど、多勢に無勢で、俺を捕まえようってわけか……。いい案だ、妙案だ。だが――、甘い。お前ら全員甘い――ッ!」
 鬼崎は教師として最後の発言をした。
「――かかってこい、お前ら全員に戦闘の再指導だ――ッ!!」