葦原明倫館

リアクション

＜part8　蛍の光＞


　深夜零時。店を閉めたアユナは、バイトや関係者を集めてミーティングをしていた。
「今日はお疲れ様。売り上げはなかなかだったわ。メダルゲームのコーナー、ブラッディグラップル３とプリント棍棒は売り上げ１０％アップ。大型モニタを使ったのがお客さんの興味を惹いたのかしら、フラワシの達人は２０％アップよ。なぜかさくらんぼキャッチャーが３５％もアップして、山葉涼司さんの抱き枕シーツがなくなってたわ。誰が取ったのかしらね」
　アユナはくすっと笑った。
「特に新しい筐体のコーナーは素晴らしかったわ。なんと、他のコーナーを全部合わせた額の三倍。筐体を持ってきてくれた人たち、本当にありがとう。意見をくれた人も、バイトさんたちもありがとうございました」
　深々とお辞儀する。
「この調子なら、なんとか店を続けていけそうだわ。もう遅い時間だけど、今から打ち上げをしようかと思うから、良かったら参加してね。ご飯奢るわ」
　皆の目の色が変わった。はいはいっ、と手を挙げて口々に言う。
「俺、焼肉がいい！」「私イタリアン！」「フランス料理！」「フォアグラのソテーと、鴨肉のトリュフソース和えが食べたい！」
「あ、あんまり高いメニューは勘弁してね……。まだ借金残ってるし」
　アユナは少々たじろぐ。
　とりあえず、これで『プレーランドツァンダ』の経営難は、なんとかなる見通しが立ったのだった。