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■□■2■□■ 花と緑のふれあい教室にて

一方、
花と緑のパラミタ(植物園)の
イベント「花と緑のふれあい教室」では。

源 鉄心(みなもと・てっしん)のパートナー、
ティー・ティー(てぃー・てぃー)が、
ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)
ユマ・ユウヅキをゲストとして呼んでいた。

イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)は、
お茶やおやつの準備に忙しく走り回る。

そんな中、
クローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)
セリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)が、
ユマを連れてやってくる。
クローラは、監視役として、教導団の保護下にあるユマに同伴しているのだ。

コトノハ・リナファ(ことのは・りなふぁ)も、
ランジェリー・ラボ運営の合間にかけつけてきた。
そのため、
セクシーな衣装のままである。
パートナーの蒼天の巫女 夜魅(そうてんのみこ・よみ)も一緒だ。

「ティーさん、お願いを聞いて頂きありがとうございます。
この様な素敵な場所にユマさんを呼ぶことが出来て、とても嬉しいです」
コトノハが、挨拶を述べる。

「お招きありがとうございました。
花がこれほどに美しく、また、優しいものであることを、
私は塵殺寺院から離れて初めて知ることができました。
こうして近くで観察すると、その感慨もひとしおですね」

「ありがとう。花のこと褒めてくれて、とても嬉しいです!
……良かったら、コトノハさんやユマさんたちも、ご一緒にお茶しませんか?」

そう言って、ティーはお茶会を開催した。

「なるほど、いろいろな草花にそれぞれ花言葉があるんですね。
私たちの誕生花を教えていただけますか?」
「いいですよ。
コトノハさんのお誕生日は?」
「10月15日です」
「では、バジル(目箒)ですね。花言葉は、好意・好感などの意味があります」
「あたしは? 4月4日よ!」
「夜魅さんは麦仙翁です」
お菓子を頬張りながら聞いてくる夜魅にも、ティーが優しく答える。
「ティーさんのお誕生日は?」
「1月11日です。誕生花は、胡蝶草ですよ」
「クローラさんは?」
「10月10日ですか? 月桂樹ですね」
コトノハに次々に問われるティーは、
誕生花にも花言葉にも諸説あって、
一つとは限らないんですよ、と告げた。

「ユマさんは?」
「私の誕生日、ですか?」
そんなことを聞かれたのは初めてだったのだろう。
コトノハに問われたユマは目をぱちくりとさせていたが、
やがて、穏やかに言った。

「11月30日です」

「11月30日は、そうですね……ワビスケ。
花言葉は控えめ、です」
「ユマさんにぴったりですね!」
ティーに、コトノハが笑顔で言う。

コトノハは、ワビスケのブーケをユマにプレゼントする。
「このままだといずれ枯れてしまいますが、ドライフラワーにすれば長持ちします。
作り方は……ティーさん、ユマさんに教えて頂けますか?」
教導団に帰ってから、ユマが作れるようにという配慮だった。
「はい、もちろんです」
ティーが笑顔で言う。
「このようにしていただいて、誠に……ありがとうございます」
ユマが、丁寧に礼を言った。

お菓子を食べながら、
皆でワイワイする中、夜魅は、ふと、クローラの方を見て言う。
「クローラはユマのことが好きなの?
あたしはユマのことが大好きだよ!」
そう言って、夜魅がユマに抱きつく。

花の写真を撮っていたクローラだが、カメラを取り落としそうになる。
「な……俺は、軍人だ。
そのような……」
「じゃあ、嫌いなの?」
「そ、そんなことがあるわけがない!」
平静を装おうとあわてるクローラの様子に、
セリオスがくすくす笑う。

「ありがとうございます」
ユマは、目を細めて応じた。
透き通る声が、クローラの胸を切なく打った。

★☆★

そうして、
しばらくすると、そこに、
緋桜 ケイ(ひおう・けい)と、
ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)が姿を現す。
「よー、やってるみたいだな。調子はどうだ?」
「ティー・ティーさん、こんにちは。遊びに来ましたっ!」
「ケイさん、ソアさん!
来てくださったんですね。うれしいです!」
ティーが、ケイとソアを歓迎する。

「この前は私の個人展示の準備のお手伝い、ありがとうございました。
こちらの植物園も素敵ですねっ」
ソアが、植物園を見渡しながら言う。
「こちらこそ。
さあ、一緒にお茶を召し上がりませんか?」
ティーが椅子を勧め、ほのぼのと談笑が始まる。

そこへ、
ざんすかもやってくる。
「ざんすかさん、ありがとうございました!
おやつあるから、良かったら召し上がっていってくださいね」
ティーが言い、
「ミーにお菓子を用意するとはいい心がけざんす!」
喜ぶざんすかが、おやつを食べ始める。

そこに。
「……ざ、ざんすかー! 無事だったんだなー!」
ケイが感涙してざんすかにハグする。
「グハッ!?」
お菓子を吐き出してしまい、ざんすかがケイを殴る。

「何しやがるざんす!」
「いたたた……。
イルミンスールが飛んだときは、
セレスティアーナのスフィアのおかげで
ザンスカールは無事だったみたいだけど……。
さすがに今回ばかりはそうはいかなかったみたいだし、ちょっと心配してたんだぜ?」
涙目になったケイは、
ザンスカールの森の精であるざんすかが、どうなっていたかと案じていたのだ。

「あ、ざんすかさんじゃないですか!? なんだかお久しぶりですねー」
ソアも、ざんすかを見てうれしそうに言う。

「お久しぶりですねー、じゃないざんす!
ユー達とは過去の新百合ヶ丘や
殺禍(サッカー)の試合ですれ違った気がすごくするざんすよ!」

「そういえば、殺禍(サッカー)の試合のときに、
ざんすかさんの話題が出ていたような……」
泥悶新監督に就任したソアが、思い出して言う。

「そうだっけ? とにかくよかった!」
「ええい、放すざんす!
お菓子食べるの邪魔すんなざんす!」
ケイになおも抱きつかれて、ざんすかが、げしげしする。

一方。
「なでなでなで」
「……何してるざんすか?」
「いえ、ちょっと」
ティーは、念のため、ざんすかの頭を撫でて禿げたりしてないか調べていたのだった。

「そういえば、なんとなく香ばしい香りがするような」
イコナも、ざんすかの香りをかいで言う。
「さっきまたざんすかザンギあげるのに使われたざんす!」
よく見ると、ざんすかはところどころ焦げている。

「ざんすかザンギ!? ぜひ作らせてほしいですわ!」
イコナは料理書の魔道書なので、がぜん興味をしめす。
「誰が二度と作らせるかざんす!」
「そう言いつつも、揚げ物になってしまうざんすかさんが目に浮かびますわー」
「ふざけんなざんす!」
ざんすかがキレて暴れるのを、扱いに慣れているケイやソアがなだめる。

★☆★

そして、
クローラは、飾り瓶入りのポプリを購入し、
自分のイベント、「エキスポウイング」にユマを誘った。
「見せたい景色があるんだ」
「景色、ですか?」
ユマを促して、クローラは2人でそっと立ち去ろうとする。

おみやげにティーは花を一輪ずつ渡す。
男性は青か紫のアスター、
女性は白やピンクのダイアンサス(ナデシコ)、
子どもには、お日様みたいに明るくてあったかい色のガーベラ。

「今日は、本当にありがとうございました」
「また、お会いできるのを楽しみにしています」
たおやかにお辞儀するユマを、ティーもまた、穏やかな微笑で見送るのだった。