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■□■2■□■ スタジオ《プレシャスストーン》

伝統パビリオンの
「スタジオ《プレシャスストーン》」にて。

リア・レオニス(りあ・れおにす)は、
アイシャ・シュヴァーラ(あいしゃ・しゅう゛ぁーら)とともに、
ルビーを使ったストラップ作りをしていた。
夏のバイト代を全部使って、
精一杯透明度が高くカットの美麗なルースを用意したのだ。

リアはパラミタパビリオンの制服を着て
王宮にアイシャを迎えに行った。
帰りも責任を持って送るつもりである。

アイシャは、今日はパラミタパビリオンの制服ではなく、
夏らしい、すっきりとしたワンピースを着ている。
白地にピンクのリボンがアクセントになっている。
ノースリーブの白い腕が、リアにはとても眩しく感じられた。

「綺麗だよ」
美辞麗句を伝えても、リアは自分の気持ちの半分も伝えられないと思ったから。
それだけ言った。
あるいは、見とれてぼんやりしたというのが正確なところだろう。
「ありがとう。
今日は、参加者として遊ばせていただけるということだったから。
ひさしぶりに私服を着てみたの」
アイシャが、リアのシンプルな褒め言葉に礼を言う。


「どうやって作るの?」
「見て。俺も一緒に作るから」

リアが、工具を使ってストラップの部品を台座に止めていくのを、
アイシャが見守る。

「こうして、こう?」
「そうそう。上手だよ」

周りに、平らな紅蓮の鉱石を花弁のように配置して、
薔薇の花細工を作っていった。

「器用なのね、リア」
アイシャが目を丸くする。
その様子を、
レムテネル・オービス(れむてねる・おーびす)が、デジカメで撮影する。

「勝手に撮るなよー」
「もう撮ってしまいましたよ」
レムテネルが、リアにいたずらっぽく笑う。

他の生徒への指導も、
レムテネルが行っていたので、
リアはアイシャとだけのストラップ作りに集中できているのだった。

薔薇の細工が出来上がったら、
銀色に輝く細い鎖を留め、
先端に輪となる金具を付けて完成である。

「きれい……」
「楽しかった?」
ストラップを見つめるアイシャにリアが優しく問う。

「ええ、とても。
こんなにうまく作れたのも、リアが丁寧に教えてくれたからね。
ありがとう」
「どういたしまして」
八重歯を見せるアイシャへと、リアがやわらかな笑みを返した。


★☆★


他の参加者が帰った後は二人きりになった。
リアはアイシャに自分の想いを打ち明ける。

「戴冠式の前に告げたね。今も変わらず君を愛してる。
女王の君も、一人の女性の君も……」

複雑な表情を浮かべて黙ってしまうアイシャに、
「君を困らせたいわけじゃないんだ」
リアは続ける。
「もしそうなれても結べるのは心だけ。
だけど何より心が大切だし、君を想う気持ちは変わらない」

「ごめんなさい……」
リアは首を振る。
「君には笑顔で居てほしい」
微笑を浮かべるリアに、アイシャも微笑で返す。
「今日はとっても楽しかった。ストラップ、どうもありがとう。大切にするわ」