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冬のSSシナリオ

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■いつもの朝

シンクに水の流れる音がする。
パビェーダ・フィヴラーリ(ぱびぇーだ・ふぃぶらーり)は、
キッチンで、朝食の準備をしていた。

ぱたぱたとスリッパの音がする。
振り向いたパビェーダは、
キャミソール姿の茅野 菫(ちの・すみれ)を見とがめる。

「おはよう。菫。
……せめて顔くらい洗ってきなさいよ」

寝間着のままで何もしないで現れたパートナーは、
【右手を挙げて】適当に振りつつ。
「んー」
返事だか寝言だかわからない声を出しながら、
やかんでお湯を沸かし始めた。

「ちゃんと聞いてるの?」
「まあ、適当に」
「まったく……」
お湯が沸く間、椅子に座って珈琲豆を挽き始めた菫を、
姉のような母のような口調でたしなめながらも、
パビェーダは、てきぱきと朝食の準備を進める。

「……できたっと」
ペーパードリップで入れた珈琲に、菫はたっぷりの砂糖とほどほどのミルクをそそぎ、
【スプーン】でくるくるとかき混ぜる。
甘党な菫の、朝の目覚まし代わりだった。

珈琲と同時に、トースト、目玉焼き、サラダが完成し、
テーブルに並べられる。

「はい」
「ありがとう」
菫はブラックのままのコーヒーをパビェーダに渡す。
パビェーダは、自分の好みの量、適量の砂糖とミルクを入れる。

ゆっくり朝食を食べながら、
パビェーダが菫に言う。
「寝癖、ついてるわよ」
「え、ほんとに?」
「あとで梳かしてあげるから」
しょうがないなあ、と言う表情で、
パビェーダがくすりと笑う。

2人にとってのいつもの、変わらない日常。
普段通りの朝が、また、始まったのだ。