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蒼空ヒーロー大戦・歌姫アイドルRimix☆

リアクション公開中!

蒼空ヒーロー大戦・歌姫アイドルRimix☆

リアクション



〜 蒼空ヒーロー大戦・2nd Siene 3 後編その3 〜
 
 
高まる興奮をそのままに下川 忍(しもかわ・しのぶ)扮する【放浪剣士ブラインドストーム】達が姿を消す中
合図と共に琳 鳳明(りん・ほうめい)が楽器をダブルネックのギターに持ち替え、一気に弦を鳴らす
 
 (この日のために特訓した成果を見せないとね)
 (ヤクモの出番を成功させよう、いくよ!)
 
鳳明の演奏にタイミングをあわせ、打ち込み音源を再生させる藤谷 天樹(ふじたに・あまぎ)
テクノサウウンドにギターを加えた前奏と共に小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)扮する【魔法少女マジカル美羽】
そしてルカルカ・ルー(るかるか・るー)こと【キャプテン・ルカルカ】が現れ
続けて登場した【オーガ】こと河上 利秋(かわかみ・としあき)と戦闘を繰り広げる
 
そんな中アイビス・エメラルド(あいびす・えめらるど)演じる【水晶の戦士アイビス】に連れられ彼女と対の衣装に着替えた
【ヤクモ】こと瀬織津 ヤクモ(せおりつ・やくも)が姿を見せる
 
 「私のリードにあわせて歌って!大丈夫……あなたなら歌えるから!」
 「わかりました!ヤクモ……歌います!」
 
二人の歌声が鳳明の演奏にあわせてステージに響き渡る中、【水晶の戦士アイビス】も戦闘に加わる
【オーガ】の容赦ない攻撃を【キャプテン・ルカルカ】の【水晶の戦士アイビス】の援護を受け【マジカル美羽】の蹴りが迎撃
巧みな蹴りのリズムがルカルカの投げる【スローイングトライ】の旋律とアイビスとヤクモの歌、鳳明の演奏と織り交ざり
一つのパフォーマンスを形成していく
そんなステージに一層客席が盛り上がるが、不意に響き渡る声とともに一気に音楽が掻き消えた
 
 『楽しい音楽の時間は終わりだ……音の戦士達よ』
 
声の主……天神山 清明(てんじんやま・せいめい)こと【ドクター・セイメイ】の登場と共にステージ袖から飛び出した鎖がヤクモを襲い
同時に【ショックウェーブ】の衝撃が【マジカル美羽】達を襲う
 
 「クスクス…ギルティ・ドールと遊びましょ♪」
 
鎖である【蛇骨】ごとヤクモを引き上げながら斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)扮する【ギルティ・ドール】が姿を見せる
だがその衣装と装飾は微妙にマイナーアップしており、それに気がついた客席に向け【ドクター・セイメイ】が口を開いた
 
 「我が支配の真髄は研究と改造!どうだ?我がアイテム【神農】で強化された部下の力は?
  それにおかげで、どうやら探していた者も見つけられたらしい……【希望の歌姫】をな」
 
囚われたヤクモの傍まで歩み寄る【ドクター・セイメイ】
衝撃波で態勢が崩れたところを【オーガ】の攻撃を喰らい、正義の仲間は手も足も出ない
その一瞬の逆転を楽しむように【神農】こと巨大な注射器の先をヤクモに向ける
 
 「まさか最後に捕らえた娘が【希望の歌姫】だったとは……だがこれで我が野望も完成する
  貴様も洗脳し、その歌声を使って【光のプリンセス】をも凌駕する支配の力を手に入れるのだ!」
 
【ドクター・セイメイ】の(演技による一生懸命な)笑いと共に【蛇骨】の拘束が強まる
それにより切り刻まれていく衣装に思わず素になりそうなヤクモだが、演技しながら見守る仲間のまなざしを確認し
演技を貫き台詞を紡ぐ
 
 「【希望の歌姫】なんて知りません……あたしにできるのはこの子供達と一緒に歌を届けること
  戦いを見守る子供達と共に応援を……戦うみなさんに届ける事だけです
  たとえ体が動かなくても……諦めない心と、歌と音楽がある限り!あたしも戦うのをやめません!」
 
ヤクモの言葉に押されるように、子供達一人ひとりが応援の言葉をヤクモたちに投げかけていく
登場人物に促されない、自らの応援の声が客席とステージを包み込む中、忌々しげに【ドクター・セイメイ】が舌打ちする
 
 「忌々しい!ならそんな連中を絶望に染めるためまずはお前から始末して……」
 『おっと、そうはさせないぜ!』
 「な……この期に及んで何者っ!」
 
一層ヤクモを締め上げる【ギルティ・ドール】の【蛇骨】
だがそこに割って響き渡る声と共に、禍々しい鎖が断ち切られ、飛び出した影がヤクモを抱きかかえて舞台上まで跳躍する
ヤクモをそっと降ろした後……影こと安芸宮 和輝(あきみや・かずき)が言葉と共に見得を切る
 
 「マスクドエース!颯爽登場!!この世界の希望は無くさせない!
  ヤクモ、今の君なら眠った力を呼び覚ますことができるはず……今こそ真の姿を取り戻せ」
 「真の姿?」
 「そう、いま自分が言葉にした想いと共に、希望の歌を歌って!」
 
和輝こと【マスクドエース】、そして【キャプテン・ルカルカ】の言葉に促され
ヤクモは手を胸の前に組んで目を閉じながら、再び歌を歌う
静かに、そして会場にゆっくりと広がるソロヴォーカルに包まれながら、ヤクモの姿が光に包まれる
 
多くの視線が彼女に集まる中……衣装も新たに【希望の歌姫ヤクモ】が姿を現した

 (本当は彼女と静かを守る守護騎士って設定だったんだけどね……流れちゃったけど
  こんなに一人でも持っていっちゃうなら大丈夫か)

その歌声と姿に会場が沸き立つ中、自分の初期案を思い出し内心苦笑するルカルカ
そんな中、最後の決戦の準備とばかりに【オーガ】が忌々しげに声を荒げる
 
 「フン、正義など所詮は偽善者の戯言だ……偽善の名の下に大切な者を奪われた痛みを知れ
  俺は悪魔に魂を売り、怪人に堕ちてでも斬る!【復讐鬼(オーガ)】の真の力を思い知れ!」
 
【ドクター・セイメイ】の持つ注射器の小型版を取り出し、胸に打ち込むとどういう特殊効果か体が巨大化した
全ての登場人物を見下ろせる大きさのまま【希望の歌姫ヤクモ】を睨み付ける
だがその時【マスクドエース】の隣から今まで姿を見せなかった【光のプリンセス】桜井 静香(さくらい・しずか)が現れ
両手を広げながらヤクモに語りかけた
 
 「希望の歌姫!今こそ全ての歌声を一つにして想いを一つに!諦めない心が集まれば軌跡が起こります!」
 
頷くヤクモが一つのフレーズを歌いはじめる
それは開演前から会場に流れていた歌、チケットにも歌詞が乗っていたので読めば歌える設定で
客席に移動していた佐野 ルーシェリア(さの・るーしぇりあ)杜守 柚(ともり・ゆず)高円寺 海(こうえんじ・かい)の三人が
会場に歌うことを促す、すでに練習は前説で説明済みである
 
 「みなさん!今こそ彼女達と一緒に歌を!」
 「歌えない人は手拍子でもかまいません!」
 「みんなの気持ちと元気を一つにするんだ!いくぞ!」
 
三人のMCの呼びかけで、一つの歌が会場に溢れる
それにあわせて【光のプリンセス】と【希望の歌姫】が両手を広げると、会場のあらゆる所から
最後の戦士達が姿を現した

 「俺は暁の王子!ケンリュウガー・ソール!希望の朝を齎す。新たな姿だ!」
 「【大『シャーウッドの森』空賊団】リネンそしてヘリワード……今ここに!」
 「勇気を以て、奇跡を必然に変える者!パラミティール・ネクサー!」
 「運命を切り拓く者!ザ・デスティニーここに!……さぁ、フィナーレだ」
 「ピンチになっても、歌と子供らの声援でマックスパワー!ウルトラニャンコ復活!」

衣装も新たに(ちゃんと魔鎧を装着し)復活した武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)の【ケンリュウガー・ソール】を筆頭に
リネン・エルフト(りねん・えるふと)ヘリワード・ザ・ウェイク(へりわーど・ざうぇいく)
そして超 娘子(うるとら・にゃんこ)の【ウルトラニャンコ】だけでなく
エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)匿名 某(とくな・なにがし)まで正義の姿で復活した光景に沸き立つ会場
 
そのままステージに駆けつけながらエヴァルト扮する【パラミティール・ネクサー】と某の【ザ・デスティニー】が
【キャプテン・ルカルカ】達に声をかける
 
 「すまない、暴走していた…救ってくれたこと、恩に着る!俺も手伝うぞ!」
 「俺達がチャンスを作る!出でよ我が剣よ!いくぞケンリュウガー・ソール!」
 「わかってる!俺達も負けてられないぜ!」
 「さぁここからが本当のクライマックスよ、大空賊団、強襲……ヒーロー軍団、アターック!」
 「轟け怒濤のファイヤーキック」
 
【ケンリュウガー・ソール】の言葉と共に【パラミティール・ネクサー】の【パラテッカ】
そして【ザ・デスティニー】の【フェニックスアヴァターラ・ブレイド】だけでなく
【ウルトラニャンコ】の【ファイヤーキック】そして【マスクドエース】の高速斬撃【青の詩】が炸裂し
【大『シャーウッドの森』空賊団】の援護攻撃が巨大化した【オーガ】の【斬剣演舞(剣の舞)】を打ち返す
その姿に歯噛みした【ドクター・セイメイ】が巨大な注射器を掲げ【オーガ】に向ける

 「調子に乗るな!ならばこれで決着をつけてやる、全ての暗黒の力を吸収し、オーガよ!全ての敵を殲滅せよ!」
 「おおおおおおおおおおおおおお!」
 
エネルギーを受け、巨大化した【オーガ】の剣が漆黒の輝きを増す中、二人の歌姫の合図と共に
【ケンリュウガー・ソール】が会場そして全てのヒーローに向けて叫ぶ

 「ならば今こそ全ての力を集める時だっ!悪を倒すために皆の力を合わせる時、会場の子供達も力を貸してくれ!
  輝け、魂の光を集める神秘の【サン・ストーン】愛と勇気と希望の太陽となれ!」
 「集めた力とみんなの歌声のパワーを美羽のマジカル☆シャイニングウィザードと」
 「俺、ネクサーの重力レンズの力で…一点集中し、内部で爆発させるのだッ!」
 「こいつぁすげぇぜ!みんな!信じてヒーローたちを応援してやってくれ。それがヒーローたちの何よりの力になるんだ!」
 「みんなの歌声と応援をよろしくお願いします!みんな右手を前に出して!」
 
【マジカル美羽】と【パラミティール・ネクサー】の言葉を聴きながら
実況のシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)とMCの【柚お姉さん】が会場に協力を促し観衆の手がステージに向けられる

それにあわせ先程まで逆転の布石で戦っていた【仮面ツァンダーソークー1】達も表れ同様に手をかざす
その全ての力を一箇所に集めるように、虹色の光の玉が上空に浮かびあがり大きさを増していく中
輝きが最高潮に高まった瞬間、ヤクモと静香が頷き、二人の声が重なった
 
 「「輝け!全ての希望の力」」
 『『ファイナルフロンティアアタァァァァァァァァァック!』』
 
全ての戦士の声が重なった叫びと共に、虹色の輝きが【オーガ】を包み込む
必死の力で抗うも、圧倒的な輝きに決死の闇の輝きは飲み込まれ……ついには叫びと共に彼の姿をかき消した
 
 「おのれ……これが希望の力……ぐ、ぐあああああああああああああああああ!!」
 
 
絶対的な悪を消し去り、虹色の光が消えた後残されたのはヒーローだけのステージだった
しかし安堵するまもなく【ドクター・セイメイ】の声が響き渡るとともに、上空にホログラムが投影される
そこには【ギルティ・ドール】に寄り添うように守られた悪の首領の姿があった
 
 「流石だな光のプリンセスとその戦士達
  だが、この世に心を持つ生命がある限り、闇も絶望もなくなりはしない
  お前達がそれを忘れたころに、我々はまた姿を見せることにしよう……それまで束の間の平和を味わうがいい
  さらばだ、忌々しい正義の戦士達よ!」
 
言葉と共に映像が消え、こんどこそ悪のいないステージでシリウスがガッツポーズと共に叫ぶ
 
 『やったぜ!ヒーローの大勝利!みんな!大きな拍手ぅぅぅぅぅぅっ!』
 
途端に会場から大きな歓声と拍手がステージに鳴り響く、それを受けながら【光のプリンセス】と【希望の歌姫】が
会場に向かって最後の言葉と述べた
 
 「会場のみなさん、今日は私達の応援、本当にありがとうございました
  悪を倒し、この世界を救ったのはこの頼もしい仲間達ですが、それだけではありません
  みなさんの力強い声援と諦めない心、そして詩を愛する心があったから戦えたんです」
 「音楽は希望……どんなに辛く、苦しいときでも歌があればいつでも希望はそこにあります
  諦めない心で、がんばる心……今日皆さんが一つになったその想いを忘れないでくださいね
  この物語は終わりますけど、私達は音楽がある限りいつでも一緒です……だから」
 「「これからも全ての世界のヒーローの応援……よろしくお願いします!」」

二人の声に拍手喝采がより一層の盛大さを増す
オールキャストのヒーローが登場し、ポーズと共にその拍手を受ける中、徐々にホログラムの緞帳が下りていく


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その光景をみながら雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)達オペレータールームのスタッフも安堵のハイタッチを交わす
深く息をつく雅羅に、苦笑する林田 樹(はやしだ・いつき)

 「ずいぶんとぐったりな様子じゃないか?まだ2回あるんだぞ、まぁ最初体験したときは誰もがそうだったけどな」
 「ホント、ここまで大規模だと疲れるわぁ〜〜〜、でも確かにすぐ握手会だもんね……キャストは大変そうだし
  こっちでアナウンス入れますか……樹、マイク用意してたでしょ?貸して」
 「ああ、わかった………ん?あれ?」
 「??どうしたの」
 
音響ミキサーに用意しておいたマイクを取り出し、固まっている樹に声をかける雅羅
不思議そうに彼女に向けて差し出されたマイクは、なぜかコードが切断されていた
 
 「おかしいなぁ?開演前にチェックしたんだけど、いつの間に?」
 
首をかしげる樹と雅羅の影で、さりげなく緒方 章(おがた・あきら)が部屋を出て行ったのはここだけの話である