リアクション
カップル用のスペースに、数組の夫婦が集まっている。その中の一組、博季・アシュリング(ひろき・あしゅりんぐ)とリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)夫婦は、そのスペースの一画にレジャーシートを敷いて夕焼けを待っていた。
「このカレーパン、甘くて美味しいですね」
「うん、ハーブティーも美味しい! 正解だったね」
屋台で買ってきた甘いカレーパンを食べながら、博季は、今度は甘いカレーを使ったレシピを考えていた。色々な料理を作って、リンネに喜んでもらうためだ。
徐々に夕日が傾いてきた。丘がオレンジ色に染まって行く。博季はリンネを膝の上に乗せて、後ろから抱きしめる。
「夕焼けって、ロマンチックだよね」
リンネは沈んでいく夕日を眺めながら、そう呟いた。博季はリンネの鼓動と体温を感じながら、徐々に地平線へと降りて行く太陽をじっと見つめていた。
「……」
「……」
何も言わなくても、二人で同じ景色を見ているだけで心が通じ合っているのを感じられる。
そんな気がして、博季は自分の指をリンネの指に絡めた。リンネも、絡めた指をぎゅっと握り返した。
地平線の向こうに日が沈んでも、二人はしばらく何も言わず、そのまま余韻に浸っていた。
博季はぎゅっとリンネを抱きしめる手に力を込めて、
「好き」
と、リンネの耳元で囁いた。
「どうしたの、突然?」
「夕焼けが本当に綺麗だったから……」
「えへへ。リンネちゃんも、大好きだよ」
夕日が沈んで、何故だか博季は少しだけ寂しい気持ちになった。
もう少しだけ、甘えさせてもらおう。博季は、リンネの首元に顔を埋めた。
「くすぐったいよ?」
リンネが幸せそうに、優しく微笑むのを感じながら、博季は目蓋を閉じた。
そうすると、先ほどまでよりもはっきりとリンネの体温を感じられる。
「愛してます。リンネさん。誰よりも貴女を。何よりもただ貴女だけを」
リンネは、博季にとっての太陽だ。絶対に沈ませたりしない。博季は胸の中で、そう決意する。
「絶対に、幸せにするからね」
「えへへ、今でも充分に幸せだよ。でも、もっともっと一緒に幸せを感じていたいな」
そう言って笑うリンネ。博季は、リンネを抱きしめる腕に力を込めた。