リアクション
◆ 「キロスくんデートみたいですね」 杜守 柚(ともり・ゆず)は、高円寺 海(こうえんじ・かい)と一緒に遠巻きにキロスとヴァレリアを見ながら、心の中でキロスたちを応援していた。 「こちらを見て何だか騒いでいるみたいだな……」 「お二人とも楽しそうですね。私たちもたくさん楽しみましょう」 柚は海と並んで、とりあえず歩き始めた。 「海くんはどのプールに行きたいですか?」 「……オレはどれでも」 海は施設をぐるりと見回しながら答えた。 「色々とまわってみたいですね。できれば、あんまり速くないのがいいですけど??あ、あの流れるプールとかどうですか?」 柚は、早速目についた流れるプールを指した。二人は流れるプールに入る。 「涼しいですねー」 「……そう言えばこれ、前より速さが増してるらしいぞ」 「えっ? そうなんですか!?」 プールに入ってから海に指摘されて気付く柚。途端、柚はふっと水の流れに足を取られた。 「ええっ、思ったより速いです!」 ふわふわと流されて行く柚の手を、海がぎゅっと握った。 「……これで大丈夫だろ」 海に手を引かれて、柚はゆっくりとプールサイドまで戻ってきた。 「びっくりしました……」 波に流されたことにも、海がすぐに助けてくれたことにも。柚は少し頬を染めて、海と次のアトラクションへ向かったのだった。 「海くん、ウォータースライダーに行ってきますか? そうしたら私は下で待っていますけど……」 ウォータースライダーの近くに来ると、柚がそう提案した。 「……いや、一緒に楽しめるものでいい」 「えっ?」 「あのプールなら、あまり速くなさそうだぞ」 海なりに気を使ってくれたのかもしれない。柚と海は、のんびりと色々なプールを回って楽しんだのだった。 「いっぱい泳ぎましたね」 ひとしきりプールで遊んだ柚と海は、プールサイドを歩いていた。 「ちょっと何か飲んで休みませんか?」 「そうだな」 柚たちはプールサイドにある売店に向かった。柚はオレンジジュースとイチゴのクレープを、海はアイスティーを頼んだ。 「いただきますっ」 おなかが空いていた柚は、美味しそうにクレープを食べ始めた。 「美味そうに食べるな」 「そうですか?」 笑顔を浮かべて、ニコニコと食べる柚。 「海くんも食べませんか? 美味しいですよ」 「じゃあ、一口」 「はいっ」 柚はフォークに一口サイズのクレープを乗せて、海に差し出す。 「……ん、甘いな」 「美味しいですね」 こうして柚は海と一緒に、プールでののんびりとした時間を過ごしたのだった。 |
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