波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

リアクション公開中!

【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

リアクション

 同時刻 ???

 どこかの空間で、歌菜は一人立ちつくしていた。
 いったいどれだけこうしていたのかはわかららない。
 だが、他に誰かがいるわけでも、その誰かが入ってくるような出入り口も見当たらないのだから。
 
 しかし、その状況にも変化が訪れた。
 
「……!」
 
 今まで歌菜しかいなかったこの空間に、こころが現れたのだ。

「歌菜さん。ようやく会えたわね」
「こころさん!?」
「みんな、あなたのことを待っているわ」
「……!?」
 
 こころが話しかけてきたことに驚きはない。
 無口なように見えて、その実、彼女は意外と話好きだ。
 けれど、いつもは念話でしか話さない彼女が、この空間では口を開いて声を出しているのが妙におかしくて。
 歌菜はついクスリと笑っていた。
 
「ふふ……ごめんなさい。来てくれたの? 私の為に」
「ええ」
「迎えにきたわ。みんなが、待っているから」
 
 するとこころは軽く手をかざす。
 一瞬、彼女の手が暖かな光を放ったかと思うと、歌菜を待つ様々な人々の想いが溢れ出す。
 
「みんな……羽純くん……!」
 
 そして歌菜は、こころに差し出された手を取った。