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第一章 伝説を追う者
岩壁に、波が当たっては砕ける。
そんな海辺の崖の上にいたのは、セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)。
強い決意を込めた瞳で空を見つめ、自転車のハンドルを握りしめる。
そしてその荷台には、なぜかノエル・マスターシード(のえる・ますたーしーど)が乗っていた。
「さあ、ニルヴァーナを目指すっス!」
「ええ」
ノエルの言葉にそう応え、セシルは力強く自転車をこぎだした。
(良雄先輩だけでなく、ポッと出の宇宙人にさえできたこと……なら、私にもできないことはないはずですわ!)
自転車はどんどんスピードを上げ、崖に向かって一直線に突き進む。
それは、チキンレースのようで、チキンレースではなく。
セシルには恐れも、迷いも、そしてそもそも止まるつもりもなかった。
「伝説達成! I can fly、ですわ!!」
日の光を浴びた自転車が、勢いよく崖を飛び出し、空へ舞い上がる。
ニルヴァーナへと続く光の道が、その時のセシルとノエルにははっきりと見えていた。
もちろん、その数秒後には「待ちたまえ君たち」とばかりに地球の重力が仕事をし、flyではなく結果的にdiveになったことは、わざわざ説明するまでもないだろう。
御人 良雄(おひと・よしお)がすごかったのか、ゲルバッキーがすごかったのか、エリュシオン帝国の用意した自転車がすごかったのか。
その辺りは今もって不明なのだが、なんにしても良雄のママチャリによるニルヴァーナ行きはプロの指導のもと、安全を確認して行っております。
くれぐれも他の皆様方は真似をしないようにお願いいたします、ということで一つ。
「ちょっ、そういうことは先に言いなさい!!」
いや、まあ、それもごもっともな意見であるが、まさか真似する人が出るとは思わなかった。今は反省している。
「危うく違う意味で涅槃に直行するところだったっス!」
――おあとがよろしいようで。
「全然よろしくありませんっ!!」
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