波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

パラ実分校種もみ&若葉合同クリスマスパーティ!

リアクション公開中!

パラ実分校種もみ&若葉合同クリスマスパーティ!

リアクション

 妖精の姿で会場を飛び回り、異常や不備不足の対応に当たっていたレナリィ・クエーサー(れなりぃ・くえーさー)は、木の枝を杖に会場に入ってきた不審者を発見した。
「パラ実の人? 怪我人も大歓迎だけどぉ、皆がびっくりするから、治療してから入ってね〜」
「いや、俺だよ、俺!」
 ぷっくり膨れ、擦り傷切り傷だらけになっていたが、その人物は主催者でもあるブラヌ・ラスダーだった。
「どうしたの〜? 喧嘩はダメだよぉ?」
「喧嘩じゃねぇ、一方的にやられたんだ。俺、悪いことなんて何もしてねぇのに!
「……」
「……」
 そんな主張をするブラヌに、一部の女子が冷たい目を向けてきた。
「ええっと、ブラヌさん」
 苦笑しながら、スタッフとして働いていた佐々布 牡丹(さそう・ぼたん)が近づいてきた。
「サンタさん、やられるのですよね? カンゾーさんがお待ちですよ」
「お、おお!」
「はい、こちらはプレゼントです」
 牡丹は個包装した星形のクッキーが入った袋を、ブラヌに渡した。
「サンキュー。そういや、皆に配るプレゼントのこと考えてなかったぜ」
 笑いながら、ブラヌは牡丹が用意してくれたプレゼントを受け取った。
「それから、これはブラヌさんへ」
「……え!?」
「動機はどうあれ、本人的にはいつも真面目に働いてらっしゃいますから。ご褒美です」
 それは、上手く契約が達せられるよう祈りが込められたお守りアクセサリーだった。
「あとは良いお相手を見つけるだけですよ」
 そう言って、牡丹は微笑みを浮かべた。
「お、おう。ありがと! こんな顔じゃ今日は無理かもだけど、バレンタインまでには契約してくれる可愛い女の子、見つけるぜー!!」
 そう叫ぶと、ブラヌは牡丹が用意してくれた袋を担いで、カンゾーの元に走っていった。

「行くぞ、ブラヌ」
「おお! 頼むぜ、カンゾー!」
 カンゾーは、弁天屋 菊(べんてんや・きく)から借りた、自走式人間大砲の砲塔に乗っていた。
 ブラヌは大砲の外でソリに乗り、カンゾーに括り付けた手綱を手にしている。
 ドーン
 ブラヌが大砲を発射し、カンゾーが空に撃ち出された。
「うおおおおおおおおおーーーーー」
 打上げ華美よりもすっごいスピードで流れ星のように2人は空を飛び、ブラヌの袋から皆へのプレゼントが落される。
「カンゾー、ところでどうやって着地するんだ」
「着地のことは考えてねぇ!」
「…………うおおおおおおおおおおーーーーー」
 ブラヌの雄叫びは悲鳴となり夜空に響いて消えた……。
 
「派手なプレゼント散布だったな〜!」
 空を見上げながら大谷地 康之(おおやち・やすゆき)が言った。
「康之さんもやりそうですよね」
 ミニスカサンタ姿のアレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)がくすっと笑う。
「そんなこと、俺がやらないわけないだろう!」
 康之はサンタの格好でサンタのトナカイに乗って訪れていた。
 笑いながらアレナの手を引いて、彼女をサンタのトナカイが引くソリへと連れて行く。
「サンタ康之のプレゼント配りも、手伝ってくれるか?」
「はいっ」
 アレナは嬉しそうに微笑んで、康之と一緒にソリに乗った。
「俺が用意してきたのはこれだー!」
 康之が持ってきたのは、雪だるまの頭の形をしたマシュマロだった。1個1個、ビニールで包装してある。
「光術で光らせるから、それをソリから降らせてほしいんだ!」
「はい」
 康之は光術を発動し、アレナが落すマシュマロを光らせる。
 更に風術を使い、落ちる場所をコントロールしていく。
「ふわふわ、ぴかぴか、です。綺麗ですね」
「だろ! 名付けて『光るホワイトクリスマス作戦』だ!」
 会場の人達が空を見上げて手を伸ばしている。
「アレナは何か下ろした物ってあるか? 軽い物だったら大丈夫だし、誰かに届けたいのならその人のところへ行くように調整もできるぜ!」
「……あっ、えっと……」
 アレナは鞄の中から、抹茶のシフォンケーキを取り出した。1切れ1切れラッピングされている。
「全員分はないんですけれど、葵さんと、ユノさんと、今日お世話になった人と、優子さんと、ゼスタさんに」
「了解〜」
 康之はソリを走らせて、アレナの友人達と、優子、ゼスタの元に彼女からのプレゼントをゆっくりと落した。
「ふふ……っ」
 手を振ってくれる友人達や優子に、とても嬉しそうな笑顔を浮かべてアレナは手を振り返していた。
 そして最後に。
「康之さんの分、です」
「さんきゅ!」
 康之の分は直接手渡しして、微笑み合った。
「俺からも、頑張ったアレナに!」
 プレゼントを全て配布し終わった後で、康之はアレナに『2023クリスマススノードーム』を贈った。
「ありがとうございます。
 綺麗で不思議なお花――。なんだか、嬉しくて楽しい気持ちになります」
 贈り物を両手で包み込み、アレナは康之と共に幸せそうな笑みを浮かべた。
「メリークリスマス! さぁ、最後は給仕やってる子とかも、皆一緒に楽しもうぜ!!」
 それから、康之はアレナの手を引いて、皆の中へと戻り。
 最後まで騒いで、笑い、明るく楽しい時間を過ごした。