リアクション
【19】
天御柱学院、グランガクイン司令部は2023年と同じ姿だった。
正面にある巨大な立体モニターから、たくさんのコクピットが段々に配置され、一番上には司令席がある。ただ同じなのは見た目だけのようだ。
桂輔は適当な席に座り、システムを起動させる。すると立体モニターにイコンの姿が映し出された。
”地球圏絶対防衛用超弩級決戦兵器グランガクイン”
「また会えたな、グランガクイン……」
それから、グランガクインの状態をチェックする。主にジェネレーター等のエネルギーまわりを調べると、モニターにたくさんの数字とグラフが表示された。
「……すげえ。ほとんど完成間近じゃないか」
完成度は80%に達していた。機晶タキオンエネルギーを生み出す”ビッグバンジェネレーター”は実用化に至り、グランガクインを起動させるのに十分なエネルギーを賄うことが可能となっている。
海京での教団との戦いの時、無理矢理爆弾から動力源を確保したビッグバンジェネレーターと違って、完成したこちらのジェネレーターはあの数百倍のエネルギーを有しているようだ。
「スーパーロボットを造る先生の夢は叶ったんだな……!」
「完成しているのは、エネルギーまわりだけではなさそうですよ」
横の座席でアルマは制御システムのチェックを行う。
大文字博士が提唱した意志の力を、イコンのパワーにフィードバックさせるシステム。それは既に実用化に至っていた。その名は”タマムスビドライブ”。名前の通り、人の魂と機械を結ぶシステムだ。
「あ!」
桂輔は素っ頓狂な声を出した。
「どうしたんです?」
「いや、武器だよ、武器。グランガクインの武装情報を見つけたんだ」
現状、グランガクインには四つの武器が搭載されているようだ。
モニターに表示されたグランガクインの全身図、まず胸の部分が光った。
胸の”テンガクハート”というクリスタルから発射される、機晶タキオンエネルギーを超絶収束させた必殺光線”ガクインビーム”。
続いて、手の部分が光った。これは指先から発射される小型ミサイル”ミサイルフィンガー”。
次に腕の部分。脅威の切れ味を誇る百烈手裏剣”アイアンスラスト”。
最後に腹のところに、空間そのものにダメージを与える”時空断裂砲”だ。
「うわぁ……かっこいいなぁ……」
その時だった。喧噪を破るように自動ドアが開いた。
桂輔は、はっと振り返った。
そこに立っていたのは、初老ながら、大柄で若々しく、逆立った白い髪は炎のような、ラップアラウンド型のサングラスを装着し、店名の入ったエプロンを身に付けた男。時を経ても、彼から放たれる情熱は何一つとして変わらない。
「……だ、大文字先生!!」
黒崎天音とブルーズ・アッシュワース、輝石ライスとミリシャ・スパロウズ、荒井雅香、新風燕馬と新風颯馬とリューグナー・ベトルーガーも彼と一緒だ。
大文字は司令部にいる皆を見つめ、怪訝な顔をした。
「な、なんだお前達。教団の手先……には……見えんが」
大文字と一緒に来た仲間のおかげで、戸惑う彼に状況を説明するのに、そう時間はかからなかった。
「……なるほど。レジスタンスと救國軍の反攻作戦か。私の知らぬところでそんな組織が動いていたとはな……」
「立ち上がるなら今しかないと思うわ。レジスタンスと救國軍、そしてグランガクインが繋がったのはたぶん奇跡だと思うから」
ルカルカは先ほどの怪物を思い出した。危機的状況を回避出来たのは、自惚れではないが、きっと自分達がいたからだ。未来とは無数にある可能性の内の一つ、ほんの些細なきっかけで可能性は無限に生まれるのだ。
「例えば、私達みたいなイレギュラーの存在でね」
「大文字博士、俺達の時代……2023年の脅威を回避するためにも、グランガクインの力はどうしても必要だ。力を貸して欲しい」
ダリルは言った。
「……力になってくれるよな、先生?」
桂輔は言った。すると大文字は桂輔の頭をガシガシと撫でた。
ここにいる大文字は、桂輔の知っている大文字ではないけれど、きっとこの大文字という男はどこの時空でも変わらないのだろう。ただひたすらに自分の信念に忠実に生きているのだ。
「グランガクインは平和を守るために造ったマシーン! 今、使わんでいつ使うと言うんだ!」
「……先生!」
・
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サルベージ組合本社の一室にメルキオールの姿があった。
メルキオールはメルキオールでも、ここにいるのは2023年からどういう因果か、この時代に来てしまったメルキオールだ。
ここに閉じ込められてから、特務隊の人間も同じくこの時代に送り込まれた皆も、誰も会いに来なかった。もしかしたら忘れられてるのかもしれない。
「お腹空きマシタ……」
窓の外に見える夜景を眺めた。第9地区は色とりどりの光に飾られている。
「もう祝祭の季節なのデスネ。なんと懐かしい……ン? 祝祭……?」
何かを思い出し、みるみるその顔が青ざめていった。
「今、一体何年の祝祭なのデショウ。もし”2046”年の祝祭だったら……」
天を引き裂く雷鳴と、降り注ぐ炎の雨、そして身も凍るような叫び。
それは彼が司教となってから、最も恐ろしい体験だった。
「この都市を壊滅させたあの怪物が、また……!!」
To Be Continued.
マスターの梅村象山です。
リアクションの公開が遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。
そして、本シナリオに参加して下さった皆さま、ありがとうございます。
第6地区での情報収集、サルベージ関連、グランガクインまわり、それぞれ大きな収穫があったと思います。
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グランガクインに搭載される装備の一覧です。
自爆装置
イコンドック
スパイラルブレイヴァー(流体金属製の変幻自在の武器)
PTAフィールド(超高出力バリアー)
ガクインアンカー(無数のワイヤークローを放出する)
ガクインキャノン(両肩に百連装のショルダーキャノン)
火事場のガクインブースター(一定時間グランガクインの出力大幅アップ)
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アクションの結果、クルセイダーに追跡されている状態になったPCがいます。
次回以降、行動をクルセイダーに妨害される確率が高まりますので、お気をつけ下さい。
また、追跡状態のPCと行動を共にするアクションをかけた場合、その方も追跡状態となります。
追跡状態となったPC一覧
遠藤 寿子(NPC)
雷霆 リナリエッタ
リカイン・フェルマータ
七枷 陣
柊 真司
柚木 桂輔
十文字 宵一
桜月 舞香
エッツェル・アザトース
レン・オズワルド
御神楽 舞花
宇都宮 祥子
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次回シナリオガイド公開日は決まり次第、マスターページで告知させて頂こうと思います。
それではまた、お会い出来る事を楽しみにしております。