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【4周年SP】初夏の川原パーティ

リアクション公開中!

【4周年SP】初夏の川原パーティ

リアクション

「タコ! イカ! ナイス……!」
 怖いパートナーに聞こえないよう、声を落としてこっそりガッツポーズを作るアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)
 彼のデジタルビデオカメラは、連れてきたかわいいミャンルー達ではなく、巨大タコやイカと格闘する女の子達のほうを向いていた。
 いや、ミャンルー達を隠れ蓑に解放的な姿の女の子達を撮っているといったところか。
 イングリットの衝撃的な十年後も見てしまったが、それもしっかり収めている。
「こんな時じゃなきゃ見れないよな。女の子達の、生! 水! 着! とか、ポロリとか! ロイヤルガード隊長もいつもより薄着だし! 来てよかった……!」
 アキラは幸せを噛みしめた。
 しかし、その幸せは長くは続かなかった。
 何故なら、アキラを叱る係が目を光らせていたからだ。
 その係の人──ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)は、見ていないようでしっかり見ていた。
 セレスティア・レイン(せれすてぃあ・れいん)と共に時折襲いかかってくる巨大サバやアジを撃退しながら。
 現場を目撃した直後のルシェイメアの動きは素早かった。
 音もなくアキラの背後に立つと、ひんやりとした声を落とす。
「貴様、何をしておるのじゃ」
 アキラの肩がビクッと震えた。
 そして、こわごわ振り返る。
 対応の選択肢はいくつかあったが、アキラはごまかすことを選んだ。
「何って、巨大魚にまっしぐらなうちのミャンルー達を……」
「そうか。わしにも見せてくれるかのう?」
 ルシェイメアはアキラの手からサッとデジタルビデオカメラを取り上げると、中身をチェックした。
 慌てたアキラが手を伸ばす。
「こらっ、勝手にいじるな!」
「……ふむ、かわいいミャンルー達とは関係のない映像があるようじゃ。とても不健全なので幼い子が目にする前に消しておこうかの」
「待て! 幼い子って誰のことだ! いないだろ!」
 お宝映像を削除されてたまるかと、アキラは目にも止まらぬ速さでデジタルビデオカメラを奪い返した。
「そのような不謹慎な映像、見逃せるはすがないじゃろう! そもそも盗撮は犯罪じゃ!」
 カッと目を見開いたルシェイメアから、金色の闘気が燃えるように沸き立った。
「ルーシェ殿、本気か……! ならばこっちも本気でこいつを守る!」
 アキラの手に光条兵器『ドウケシノタマシイ』が現れる。
 ハリセン型の光条兵器でルシェイメアを攻撃──と見せかけて、風術で彼女の周りに砂埃をあげると、アキラは全力で逃亡を図った。
「逃がすか!」
 ルシェイメアも全力で追いかける。
 その様子を、セレスティアが生温かく見守っている。
「二人は本当に仲良しですね」
 セレスティアは視線をミャンルー達に移した。
 大きなゴハン確保とばかりに巨大魚に襲いかかっている。
「水中戦は分が悪いですからね。ここから援護しましょう」
 セレスティアが掲げた統治の王錫から激しい雷撃が落ち、巨大魚を貫く。
「ミャンルーはやはりナマのほうが好きでしょうか? 私達もお刺身にしましょう。それから塩焼きにムニエルもいいですね。骨はだしとして使えそうですし……ふふ、残すところはなさそうです」
 セレスティアの頭の中は調理レシピでいっぱいになった。
 と、その時、アキラとルシェイメアの死力を尽くした戦いから、ポーンと問題のデジタルビデオカメラが弾き飛ばされた。
 それは、セレスティアの足元にポトリと落ちる。
「セレス殿、保護してくれ!」
「破壊するのじゃ!」
 同時に反対のことを叫んだ二人はボロボロだった。
 拾ったセレスティアは黙って中身を確認した。
 そして。
「ポロリは削除しておきますね」
 やさしげに微笑んで、アキラにとっては残酷な言葉を口にしたのだった。
 その後、セレスティアが腕によりをかけて作った魚料理を、アキラは泣きながら食べたのだとか。

「竜斗さん、助けて……!」
 ユリナの身体が、水の中へと沈んでいく。
「お父さん助けてぇ!」
 竜斗に手を伸ばす、麗も巨大タコの足と共に、水中へと消えた。
「ふえぇ……どうしましょうぅ……」
 川原で、史織は半泣き状態だった。
「史織! 怯えてる場合じゃないぞ!」
 竜斗が上着を脱ぎ放ち、史織に投げて預ける。
「2人を助ける為に、力を貸してくれ!」
「ご主人様……」
「援護は任せたぞ!」
 言うと、竜斗は水の中へと飛び込んだ。
「……そうですぅ! 私たちがやらないとですぅ!」
 史織は涙をぬぐって、竜斗の上着に勇気を貰いながら、川へと少し近づく。
「ユリナ様、麗ちゃん、今助けるですぅ!」
 叫びながら、氷術を発動。
 タコの現れた鋭い氷の塊が、タコの足を貫く。
「いい加減にしなさい! ええーいっ!」
 舞香が強烈な蹴りがタコの顔面を攻撃。
(俺のパートナーたちに手を出しやがって、許さねぇ!)
 水中で竜斗はナイフを振るう。
 思うように体は動かず、足で何度もたたかれるが、決して怯まず。
 絡みつく太い足を小さなナイフ一つで斬り落し、ユリナの許へ。
 地上からの攻撃で緩まったタコの足にナイフを突き立てて開放。
 続いて、麗を捕らえている足の根元を蹴り上げる。
 介抱されたユリナと麗を両腕に抱えて、水面へと急いだ。
「女の子ばかり狙うなんて、サイテー!」
 舞香の蹴りで、タコの身体が浮く。
「ぶはっ……はあ、はあ、はあ……史織、行けーっ!」
「はいっ!」
 2人を抱えて水中から戻った竜斗の言葉を受け、史織は雷術を放った。
 顔に衝撃を受けたタコの足が緩み、捕らえたれていた者全てが開放された。
「大丈夫? しっかり」
 舞香と綾乃が開放された女の子達を安全なところに誘導する。
「冗談じゃすまされねぇこと、やってくれたな」
 大切にユリナと麗を川原に届けると。
 ただ1本のナイフを手に、竜斗は再びタコに飛び掛かり、史織やイングリット、他の契約者と共に仕留めたのだった。
 そして巨大タコは美味しいたこ焼きになって皆のお腹を満たしてくれた。