リアクション
* オークの本陣から、オーク兵らが、繰り出されてきている。 「ここは俺達がおさえる!」 走りこんで、切りかかっていく葉月。押し寄せてきたオークの兵らがどっ、と倒れる。 そのまま切りつける、一匹、二匹、…… 葉月に殺到するオークを、シャープシューターで確実に仕留めていく、影野。 彼の射撃もかなり定まってきた。それは、普段の頼りない彼ではない。 切り合う葉月の脇あいからも、なだれ込んでくるオークの兵。 篠北も、それに向かっていく。 「危険だよ、姉貴は後ろへっ」 「あたしだって、これしきのこと、……おのれら、覚悟せんかぃ、おらぁ!!」 「姉貴が引かないっていうのなら、姉貴の体はあたしが守るっ」 そんな中、ばりばりとオークを殺戮に酔いしれているのは、東條カガチだ。 「はっはぁー!!」 教室でぽけーとしていた彼の姿は今どこにもない。 ……所詮自分は寄せ集められた傭兵、ただ一つの舞い踊るただ一つの剣に過ぎない。そしてそれを振るうは雇用主である教導団、ならば存分に振るわれよう。 一本の剣として……!! そう思う彼であるが、その剣の舞は自由自在だ。 「面白えぇぜぇ」 が、 「ウガァァァァァァァ」 「ダリァァァァァァァ」 「ゴルァァァァァァァ」 ドゴーン 突進してくるオークチャリオット。 葉月、篠北、ジェニス、東條一斉に飛んで、避ける。 続ける影野の射撃も、装甲が通さない。 「陽太ちゃん、危ないぜっ」 ドゴーン すんでで避ける、影野。 「こいつ、何とかならないのか……」 「ムゥ。ならば……」 向かい合う、村雨。 しかし、本陣から、どん。どん、歩いてくるあの巨大な影は…… 「あ、焔、どこへ?」 * 「待ちな、このやろ!!」 暴走するオーク戦車をボロボロになって追いまわす国頭、ヒールをかけながら国頭を追うシーリル。 ギチギチギチ……再び向きを変え、国頭に襲い来る。 「ウガァァァァァァァ」 「ダリァァァァァァァ」 「ゴルァァァァァァァ」 「……南無八幡台菩薩。願わくばあのオークのドタマを射させてください、……ってな!」 ドン! ぎりぎりまで引きつけ、一匹を撃ち落した。 「ダリァァァァァァァ」 「ゴルァァァァァァァ」 そのまま蹂躙しようとするオークの操舵を、シーリルが光条銃で目くらましして、国頭を助ける。 「武尊さんっ」 「あぶねぇ。シーリル、大丈夫か?!」 ダン、ダンッ そのとき、 森の奥から、狙撃し、チャリオットを引き付ける者があった。 「ダリァァァァァァァ?」 「ゴルァァァァァァァ?」 木陰より姿を現したのは、星野 勇(ほしの・ゆう)。 忍の一族「星野家」の末裔として、教導団へ送り込まれたのが、彼だ。 「なるほど……今まで俺達の近くでオークの伏兵を討ってくれてたのは、やつか。」 「こいつは俺にやらせろ」 チャッ、銃を上げてオークを睨みつける星野。その目は冷徹だ。 ギチギチギチ……チャリオットが、星野に向きを変える。 「ダリァァァァァァァ」 「ゴルァァァァァァァ」 ドゴーン ダン、ダンッ 銃撃しつつ、森の奥の方へ、そのまま戦車を引き離していく、星野。 「あの忍び、一人で戦うつもりだ」「いいだろ。ここはあいつにまかせるぜ」 * 「はっ」 即座に避ける、風森。スウェーにも、限界が来る。 凄まじいランスの一撃。それを盾で防いで、ナイトのウェイルが加勢に入った。 「風森さん! 防御は俺にまかせて!」 「了解しました! ティア、今のうちに」 「巽!」 ティアのパワーブレスが、戦う者の力を再び高める。 そして風森は、制服のポケットから鋭いそれを取り出すと、ひそかに左手に隠し持った。 (ここへ来る前、空京で…… 来る戦に向けて、その準備に町を歩いていた風森とティアの二人。 「遭遇戦の話を聞いたら、なんか豪華な装備したのもいるみたいだし、保険ね。投げて牽制とかもありだし……十本くらい買っておこっか!」 「なるほど。さすがだな、ティア…… …… ……) 「巽! 気を付けて」 「し、しまった」 ウェイルの脇を抜けてきたランスの攻撃に、剣を取り落とす風森。 ニタ。 モラッタ、とばかりにランスを後ろに大きく振りかぶるオーク騎士。 だが、笑ったのは、風森の方だった。 風森はその一瞬を狙って、相手の間合いに一気に入り込んだ。オークの体に飛びついて、兜の隙間から目を突き刺した。彼の手にあったのは、日用品のアイスピック。であったが、それを見事凶器に変えてみせた。 「!!」 オークの兜から血が噴出する。 ティアが彼に剣を投げて遣した。 「豪華な装備も体の中までは守れまい。轟雷閃!」 鎧の隙間に、剣の一撃。とどめの電流を走らせた。 * 「もう少し近付けないものかしら……」 飛びかかってくるハーフオークを振り払いながら、魔道師との間合いを詰めたい十六夜。 光学迷彩で隠れた如月が、火術でハーフオークを牽制しつつ近付こうとするも、魔道師には察知されるらしく、すぐに兵を壁に回してくる。 魔力は温存しつつ、ドラゴンアーツでハーフオークと格闘する十六夜、 「くっ。間合いを詰めれるなら、私の魔闘拳術で……!」 だが、ハーフオークが、邪魔だ。 「やむを得ないわ。こうなれば、ハーフオークもろとも」 「僕にやらせてみて」 そこへ、清泉北都。 「魔術師のせいだとしたら、できれば殺さずに済ませたいと思うよ」 「あの者達、操られているのでありますれば」 クナイが、キュアポイゾンを試みる。 「どうか正気に戻って頂きたい」 クナイの術効が一帯に広がると、ハーフオークの動きが、徐々にだが鈍ってきているようだ。 「この浮かび上がっている紋章が原因ならっ!」 泥を塗りつけて、ハーフオークの体の模様を消そうとする北都。 「エエィ、コシャクな!」 魔術師から、邪気の魔法がクナイに発せられる。 「クナイ!」 「……何これしきのこと」 十六夜が、頭をかかえたり、ふらつくハーフオークの合い間を縫って、一気に距離を詰めた。すでに詠唱は始まっている。魔術師が邪気を十六夜に向ける。 「我が一撃は龍の咆哮!!」 火術と雷術を拳に纏い、ドラゴンアーツの右ストレートで、撃ち抜く! どさっ、魔力を使い果たし、ひざをつくクナイ。 「クナイ」 「北都様……やりましたかな」 が、再び、立ち上がってくるハーフオーク。 「?!」 「そうか、魔術師は、もう一体……どこだ?」 近くの茂みに、雷術が落ちた。 そこから、どっと倒れ出てくる魔術師。すでに、剣が突き立っている。 「助太刀するのじゃ!」 姿を現したのは、セシリア・ファフレータ。そして、レイディス・アルフェイン。魔術師にとどめを刺す。 突き立てた剣を抜き、機晶姫のファルチェ、 「皆さん。あちらです! 村雨さん達が、今」 皆、森の奥の方へと走る。 * ギチギチギチ…… 「ダリァァァァァァァ」 「ゴルァァァァァァァ」 ドゴーン ダン、ダンッ 木から木へと移り、戦車の突進を交わす星野。 銃弾を受けたオークの操手が、ぐらりと車体から引き剥がれる。 「ゴルァァァァァァァ」 「あと一匹」 突っ込んで来る車体にふっと飛び乗る、星野。頭に銃口。 「ゴルァ、ゴ、ゴ、ゴメンナサ」 引き金を引いて、戦車から飛び降りる。 「…………こんなものか」 * ドーン!! 近くで、オークチャリオットの大破する音が響く。 森奥の焼け跡に集ったチェックIIの戦士達。 東條、葉月、影野の周囲で、あらかたのオーク兵は討ち果たされている。 その前方、村雨焔と向かい合うのは…… 「やはり、貴様だったか……キング」 次々駆けつけてくる、ウェイル、フェリシア、風森、ティア。篠北、ジェニス。 セシーにレイ、十六夜、如月、清泉、クナイ。 そして後方の森からも…… 「あら。皆様」 藤原優梨子。手に、女王の首をぶら下げている。 後ろに、永谷達。チェックIの者達も、片が着いたようだ。 「チェックメイト……」 村雨が、剣を構えた。 「ってことだな!」 クレアも銃を向ける。 |
||