リアクション
* 暗い坑道の奥に、眼下に開けた大穴のなかで、採石を続ける無数のオーク。その体には、奇妙な模様が彫られている。 地下を照らす灯りに伸び縮みし、のそのそと歩く影が行き来する。 ところどころでオークに指示を出す、魔術師の姿。その数は、四、五……見える限りでは、さほど多くはない。 「沙鈴さん……ねえ、どうする?」 オークスバレーの鉱山に入り込んでいるのは、シャンバラ教導団参謀科出の沙 鈴(しゃ・りん)と、そのパートナーの綺羅 瑠璃(きら・るー)。 沙鈴はもともと、支配地域への組み込みを念頭に、廃鉱の調査に出ている。それには、南西師団を預かり解放戦を指揮する旧友、騎凛 セイカ(きりん・せいか)に華を持たせたいとの意志もあった。 「とにかく、鉱山の現状はわかりましたわ。これを制圧できれば、わたくし達教導団の財源になることは間違いなさそうですね。 このままヘタに攻撃するのは下策。即時稼動できる状態は、維持したいですから……。一度戻り、信号弾を打つのがいいでしょう」 そのとき、近くに気配を感じるが…… 「はっ。……あなたは」 「メニエス・レイン(めにえす・れいん)よ。イルミンスールの魔法使。教導団の依頼に応じて、ここへ来た……まあ、独自に調査に赴いたのは認めるけれどね」 脇に侍っているのは、美しい面持ちの、やはりウィザードのようだ。 「わたくしはメニエス様の従者、ミストラル・フォーセット(みすとらる・ふぉーせっと)と申します。貴女は、そうですか、沙鈴様に、瑠璃様。ともあれ、この状況。わたくし達にも何かできることがございますなら、協力させて頂きたく」 至極丁寧な態度で申し出る。 「そう……ね。とても、ありがたいですわ。何れにしても、まずは一旦ここを出て、仲間に知らせておこうと思います」 先行する沙鈴と瑠璃の後ろに続くメニエス、ミストラル。二人の目が妖しく光る。そして、牙が。 『オークスバレー解放戦役』 ◆プロローグ ・・・・・・ p1 ◆第1章 戦い前夜までに起こったこと ・・・・・・ p2‐3 午前 01 しっぽ娘、犬猫を率い鉱山制圧へ一刻を争う/02 吸精幻夜/03 軍議/04 軍議のあとで 午後 05 鉱山に渦巻く不穏の影/06 使者/07 草薙、登場/08 作戦はチェックI、チェックII、……そして? ◆第2章 南西分校 ・・・・・・ p4 01 南西分校に来た面々 ◆第3章 出撃前 ・・・・・・p5 01 騎狼部隊/02 出陣に向けて/03 レーヂエと一緒/04 獅子とJOKER ◆第4章 前哨戦 ・・・・・・p6 01 黒炎砦攻め/02 古兵と新兵/03 南岸の戦い/04 チェック I ◆第5章 峡谷を巡る幾つの物語 ・・・・・・p7 01 垂は、ハーフオークの村で……/02 悪い魔法使い達/03 集落で/04 機晶石を狙う者達/05 ジャック・フリートの冒険/06 にゃんこの国の女の子 ◆第6章 開戦 ・・・・・・p8 01 ダブルトリガー/02 馳せる、騎狼部隊/03 チェック II /04 七日で落とせ ◆第7章 戦いの周辺で ・・・・・・p9 01 お城を作ろう/02 兵站と、これからのことと/03 古兵と新兵と、パートナーと/04 プリモ温泉へGO!/05 誰が為に戦うか/06 俺の名は ◆第8章 鉱山 ・・・・・・p10 01 草薙の賭け/02 牢獄の出会い/03 鉱山の戦い(1)/04 鉱山の戦い(2)/05 壊れた機晶石 ◆第9章 オークスバレー大攻防 ・・・・・・p11‐13 01 乱戦/02 チョコチップとハーフオーク達/03 一騎打ち/04 牙を剥く魔法使い/05 対火の機晶姫/06 新手/07 魔法使いとJOKER/08 焼け跡の死闘 ◆第10章 ハーフオークと共に ・・・・・・p14 01 異文化交流/02 本当の幸せとは何か、おまえは答えられるのか/03 正義の仮面と悪の仮面 ◆第11章 決戦 ・・・・・・p15 01 爺二人/02 涙のチェックメイト/03 そして鎮魂歌/04 迷宮班の冒険 ◆第12章 後鳥羽樹理の歌謡ショー ・・・・・・p16 ◆オークスバレー終章 ・・・・・・p17 01 ちょっとした後日譚?/02 第四師団の立ち上げとまとまらなかった峡谷最終日の会議/03 クルード・フォルスマイヤー伝説 ◆エピローグ ・・・・・・ p18 ◆あとがき(マスターコメント) ※各キャラの登場は、数章に渡っている場合がありますので、初登場シーンも、章立てを参考にチェックしてみてください。 個別コメント欄に登場・関連する章が記してあります。 |
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