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【2019修学旅行】闇夜の肝試し大会!?

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【2019修学旅行】闇夜の肝試し大会!?

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鳥居脇 〜ヒメゴト〜
 がさっ。
 鳥居の脇の茂みが、秘めやかに揺れた。
「……んっ」
 イリーナは、レオンハルトの首に腕を回して、背伸びしながら口付ける。
 レオンハルトもそれを拒まず、顔を傾けてそれに応じた。
 二人は鎮護の森に入ってすぐ、周囲に気づかれないよう道をはずれて、手近な茂みに隠れたのである。
 そうして、人の目を心配しなくても良くなった瞬間、イリーナはレオンハルトにすがりついたのだった。
「やっと……二人きりになれた……」
「だな。スタート早々、邪魔が入ってしまったし」
「そうじゃないよ。もっとずっと前から、二人きりになりたかった……んっ」
 今度は、レオンハルトからの口付け。イリーナは迎え入れるように唇を近づける。
 唇をなぞるレオンハルトの舌に、イリーナは恐る恐る口を開いて答える。少しばかり強引に押し入ってきた舌に、イリーナの舌が触れた。
 最初はおずおずと触れ合うだけ、やがてむさぼるように絡ませあう。
 熱い吐息が、二人の間で言葉の変わり交わされた。
「――……はっ」
 唇が、つ……と唾液の糸を引きながら離れる。
 脱力し、潤んだ瞳で見上げるイリーナを、レオンハルトは両手で支えてやりながら、真紅の隻眼で見下ろす。
「今日は誘いに応じてくれてありがとうな。こんな夜更けでは、抜け出してくるのも大変だったろうに」
「ううん、いいの。レオンに会うためなら」
 ふっと笑って、レオンハルトはイリーナの身体を抱き寄せた。
「普段は二人きりになれる時間など、まったくといっていいほど取れんからな……。よほど、我慢させていたのだな。……すまない」
「うん……」
 ぎゅっと、イリーナもレオンの首にすがりつく。
「……学校へ戻れば、また氷の仮面をかぶり直して、鋼の刃になりきるわ。だからレオン、今夜だけは」
 イリーナは、レオンの首筋に優しく歯を立てた。
「今夜だけは、剣でも弾丸でもない、あなた自身で私を傷つけて」
「……無論だ」
 レオンハルトはイリーナを抱く腕に力を込めた。
「……イリーナ? 今日は、珍しく私服なのだな。……綺麗だ」
「そうよ。氷の仮面は、宿を出るとき置いてきたの」