葦原明倫館へ

空京大学

校長室

天御柱学院へ

ミッドナイト・シャンバラ3

リアクション公開中!

ミッドナイト・シャンバラ3

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「ええと……。
 ペンネーム:ワイルドリリー
=================================
 今回投稿させていただくのは、パートナ−の『いしゅたん』についてです
 って今も頭にかじりついてますが(汗
 
 この子ってば、事あるごとに『暴れたい』『殴りたい』『いぢめたい』
 ばっかりで、結構危ない子なのかな?って思ってますが……やっぱりヤバいのかな?
 種族はアリスなんですけど、実は封印されてた子らしいんですよ。
 封印を解いちゃったときは「なんかコレ、ヤバいかも!?」って
 思っちゃたもんですけど、結構なんとかなるもんですね♪
 
 何か、将来なんになりたいか聞くと「天!」とか「過去の偉人でいうと…あどるふ?」
 だったり、たまに「どんどん戦乱になってくねぇ、たのしみだよ♪」とか
 不穏なこと言ってるけど、あたしと真奈(もう一人のパートナー)で
 チェックしてるんで、まぁ大丈夫かな?
=================================

 っと、こんなとこかなあ」
 一気に手紙を書き終えて、ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)がいったんペンをおいた。
「ねぇ、何書いてんの?」
 ふいにやってきたイシュタン・ルンクァークォン(いしゅたん・るんかーこん)が、ひょいと手紙をのぞき込んでミルディア・ディスティンに聞いた。
 あわててミルディア・ディスティンが手紙を隠そうとしたが間にあわない。
「あ〜! あたいの悪口書いてる〜! ってラジオに投稿!?」
「嘘じゃないからいいじゃない」
「嘘じゃないからいいって、それでも書かれると困るぅ〜! あたいの世界征服が! 永遠の戦争って夢がぁ〜!」
 ちょっと開きなおったミルディア・ディスティンに、イシュタン・ルンクァークォンが言った。
「ま、後々みるでぃの意識を変えてって、あたいの望みどおりにしてやるんだから! 今は能力のほとんどが出せないけど、そのうち力を取り戻してやる!」
「あいたたた……」
 そう宣言すると、イシュタン・ルンクァークォンがミルディア・ディスティンの頭にガジガジと囓りついた。
 
    ★    ★    ★
 
「最後のお便りは、ペンネーム、かよわい普通の女の子さんからです。
 シャレドーさんはセクハラってどう思う?
 あのね、私のパートナーったらセクハラなの。
 何がどうセクハラかっていうと、触るの。フトモモとか。
 この前も……

 ええと、修正液で消してあるけれど、読んでもいいのかな。一応名前は伏せますね。
 ほにゃららさんっていう女の子のフトモモやらモモやら触りまくり。
 しかも皆の目の前で、だよ?
 一応足の治療って理由はあったんだけど、もーちょっと隠すとか、躊躇うとか、
「さわるけどゴメンな」の一言とか、あってもいいのになーって。思わない?
 いきなりひん剥くとか、ありえなくない?
 せめて説明してからやろうよって話したんだけど、「治療内容の説明はしたぞ?」…って。…根本的に分かってもらえなかったの。
 無意識でもセクハラだよね?(意識してたらどうしよう…)
 どう説明したら、それもセクハラに入るんだよ、だからこうしようねって、分かってもらえるかなあ?

 セクハラ大魔王ですね。こういうのは成敗しなければいけません。
 かよわい普通の女の子さんも、黙っていないでやっつけるべきです」
 
    ★    ★    ★
 
「読まれた♪ けど……」
 鋼竜型イコン、レイのコックピットの中で、魔道レーダーの哨戒任務中のルカルカ・ルー(るかるか・るー)が、ラジオから流れてきた自分の投稿を聞いて顔を輝かせた。だが、直後に、背後のサブパイロットシートに乗っているダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)のことを思い出して顔を青ざめさせる。
 コックピット内には、ボリュームを絞ったラジオ番組の音と、ダリル・ガイザックが報告書を書いているノートパソコンのキーボードの音だけが静かに響いている。
「これは……お前か」
 唐突とも思えるタイミングで、ダリル・ガイザックが訊ねた。
「なんのこと……かな?」
 ルカルカ・ルーが軽くとぼけようとしたが無駄だった。
「あの時は、治療内容の説明はしたぞ。治療対象は、それ以上でも以下でもない」
 淡々とダリル・ガイザックが答える。
「でも、相手は女の子だよ」
「配慮はしたつもりだが。お前たちが過剰反応しているだけじゃないのか」
「でもでも……」
 無自覚でセクハラしている方が始末が悪いと言いかけて、ルカルカ・ルーが言葉を呑み込んだ。
「でも、なんだ? 言ってみろ」
「あうー、なんでもないです」
 背後から、こめかみをぐりぐりされて、ルカルカ・ルーはそう答えるのが精一杯だった。
「怖いよ〜、ああ〜ん、夜明けはまだか〜」