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【なななにおまかせ☆】スパ施設を救う法

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【なななにおまかせ☆】スパ施設を救う法

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第六章

――数日が経った。
 スパ施設の集客率は、他の施設と比べたら弱いものの、少し前とは比べ物にならないくらいの上昇を遂げていた。

「あー疲れたー……」
「疲れたですぅ……」
 従業員休憩場所で、エイミー・サンダース(えいみー・さんだーす)パティ・パナシェ(ぱてぃ・ぱなしぇ)が溜息を漏らす。
「お疲れ様です、どうぞ」
 そんな二人にセシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)が飲み物と菓子を差し出す。
「あーさんきゅー……けど、脅かし役がこうも大変だとは思わなかった……パティが羨ましいぜ」
 セシルから貰った飲み物を飲みつつ、エイミーが言う。彼女はお化け屋敷で来客を脅かす役をやっている。
「案内役だって楽じゃないですよぉ。神経使うんですから」
 頬を膨らませつつパティが反論する。
 お化け屋敷は老朽化した場所を使っているため、本格的に危ない場所もある。そこに客が入らないようにするのが彼女の役目だ。
「まぁ、ハンスに比べればいいか」
「ハンスさん、大変そうですからねぇ」
 二人が言う。噂のお陰か、結構なカップルの来客があり、その度にハンス・ティーレマン(はんす・てぃーれまん)の出番となる。
「あっちぃー……俺にも何かくれー……」
 事務所に朝霧 垂(あさぎり・しづり)が入ってくるなりセシルに言う。
「はい、お疲れ様です……暑そうですね?」
 セシルが飲み物を渡すと、垂はそれを一気に飲み干した。
「あー……やっぱ着ぐるみって暑いからなー」
 そして項垂れつつ言う。現在、彼女はパンダの着ぐるみを来て土産物販売所に立っている。この暑い時期、着ぐるみの中は相当な温度になる。
「けど、随分とお客様が増えましたねぇ」
 セシルがしみじみと呟いた。
――あれから、スパ施設には客が来るようになっていた。
 連日満員、と言うほどでもないが、来客数は安定している。
「そうだなー……何にもなきゃいいけどよ」
 エイミーがぽつりと漏らす。
「何にも、とは?」
「借金取りだよ。今の所何もしてきてないけどな」
「ああ、そのために見回りはしてるぜ?」
 シァンティエ・エーデルシュタイン(しぁんてぃえ・えーでるしゅたいん)フィオン・オルブライト(ふぃおん・おるぶらいと)が事務所へ入ってきた。
「ホントは遊びたいのを我慢してるネ……」
 少し残念そうに、フィオンが呟く。
「……本当に、何も無ければいいんですけどね」
 ぽつりと、セシルが呟いた。

 大岡 永谷(おおおか・とと)は大勢の来客を隙無く眺めている。
 来客は増えたが、こうなることで借金取りからのアクションがあるかもしれない。そう永谷は考えていた。
「ん?」
 一人、客として違和感ある者がいた。
 周囲をやたら見回し、何かを警戒しているようにも見える。挙動不審で怪しい。
 特徴も、ボニーに聞いた者に酷似している。
「あの……」
と話しかけた瞬間、
「!?」
その男は突然走り出した。
「あ! くそ、しまった!」
 永谷は急いで後を追いかけた。

「ふぅー……疲れたー」
「お疲れ様です」
 なななとボニーが、休憩時間に歩いていた。
「なななさん、従業員姿が板についてきたじゃないですか。よければうちで働きます?」
「お誘いは嬉しいけど、なななは宇宙刑事としての使命が……ん?」
 なななが何かに気づき、振り返るとそこには男を追いかける永谷の姿があった。
「捕まえたぞ!」
 追いついた永谷が男を押し倒し、捕獲する。
「いてててて!」
 男は苦悶の表情を浮かべている。
「どうしたの……あ!」
「知っているのか?」
「うん! 借金取りの人だよ!」
「やっぱり……! さあ何をしに来た! 妨害活動か!?」
「そ、そんなことするわけねぇだろ!」
「と、とりあえず離してあげて下さい」
 ボニーが言うと、永谷が渋々解放する。
「あの……どうしてここへ?」
 ボニーが恐る恐る言うと、借金取りは睨みながら言った。
「どうしても何も、今日が返済の期日だろうが!
「「……あー」」
 ボニーとなななが思い出したように言った。
「もうあれから一ヶ月経つのかぁ」
「早いものですねぇ」
「お前ら、忘れてただろ」
 借金取りのじとっとした視線に、ななな達は眼を逸らす。
「まあ、いいとして返済はできるのか?」
「……はい」
 ボニーが頷く。
「それではこちらに」
 そう言って、ボニーが借金取りを連れて歩き出す。事務所へ連れて行くのだろう。
「……大丈夫なのか?」
 ボニー達の後姿を見て永谷がぽつりと言った。
「うん、大丈夫だと思う」
 なななが言う。その言葉には、自身が籠められていた。

「……じゃあ、確かに受け取った」
 事務所から出てきた借金取りは、そう言うと足早にスパを去っていった。
「完済できたんだね」
「はい、お陰さまで」
 なななの言葉に、ボニーは笑顔で答える。何処かスッキリした表情だった。
「これで一つ、問題は無くなったね」
「ええ……でも、まだまだ問題は山積みなんですよねぇ……」
 苦笑しつつボニーが呟く。確かに、今解決したのは借金問題だけだ。交通の便、老朽化……挙げれば色々とある。
「でも、まだこの施設で喜んでくれる方がいるってわかったのも、大きな収穫ですから」
「そっか。もう大丈夫みたいだね」
「はい、頑張っていけます。色々とありがとうございました」
 ボニーがなななに頭を下げた。
「また何時でもいらしてください」
「うん、そうさせてもらうよ」
 そう言って、なななとボニーは握手を交わした。

担当マスターより

▼担当マスター

高久 高久

▼マスターコメント

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。今回担当しました高久高久です。
この度はご参加頂き誠にありがとうございます。
今回は公開が遅くなり、お待たせして大変申し訳ありませんでした。

スパ施設はいかがだったでしょうか。楽しんでいただけたならば幸いです。
今回スパ施設は何とか危機を乗り越えてくれました。しかしまだ第二、第三の問題が……と続きがありそうな感じで書いていますが、予定は全くありません。

毎回アクションを読ませていただき、楽しく読ませていただいてます。
毎回勉強させられる事も多く、自らの未熟さを痛感させられています。

それではまた次の機会、皆様と御一緒できる事を楽しみにしております。