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パンツ四天王は誰だ?

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パンツ四天王は誰だ?

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    ★    ★    ★
 
「ふむ、ここなのかな。便利アイテムを配っているという場所は」
「便利ではない。究極アイテムである!」
 本当かしらと、疑い深そうにメガネの位置をなおした毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)に、ドクター・ハデスが言いなおしました。
「とりあえず、一つほしいのだが」
「よかろう。お前には、特別に三機あるカスタムタイプを着けてやろう。これは、先端にカメラ機能をつけた特殊タイプなのだよ。さあ、持っていくがいい」
「おお、パンツアームも縞々で私好みなのだよ。いざ、撮影に出発なのだ!」
 意気揚々と、毒島大佐が赤いランドセル背負って撮影に出かけていきました。彼女は、撮り鉄ならぬ、撮りパンのようです。
「やあ、ここかい、いい物をくれるっていうのは?」
「おおっと、こんな所であのうねうねを配っていたようです。今まさに、ロイ・グラード(ろい・ぐらーど)選手がうねうねをもらおうとしています」
 Pモヒカンたちの出所を追っかけてきた風森望が、ドクター・ハデスたちを見つけて言いました。
「失礼な。うねうねではない。パンツアーム、じゃなかった、パンツァーアームなのだ!」
 ドクター・ハデスが必死に否定しますが、もうすでに誰もパンツァーアームなどとは呼んでくれません。
「僕は、ロイ・グラードなんかじゃないぞ!」
 なぜか、ロイ・グラードが否定します。どうなっているのでしょう。
「ああ、いたいた。おい、大丈夫かよ、ロイ」
 なんだか目の焦点の合っていないロイ・グラードに、パートナーの常闇の 外套(とこやみの・がいとう)が駆け寄っていきました。
「だから、それは誰のことだい。僕は僕だあ!」
 そう叫ぶと、アームの先がハサミになったパンツアームを背負って、ロイ・グラードが走り去ってしまいました。
「いったいどうしたのでしょう。ちょっとインタビューしてみましょう」
 風森望が、荷馬車を常闇の外套の方へと回しました。
「いったい、何があったのですか?」
「いや、なんだその、俺がマント・オブ・エリュシオンを改造してパンツ・オブ・エリュシオンを作ろうとしたんだが、ロイの奴、えらい剣幕で怒りやがってよお。で、いつもの喧嘩だったはずなんだが、なんだか倒れた拍子に頭打っちまって、ちょっと楽しい人格になっちまってなあ」
「はあ。それはまたはた迷惑な……」
「まあ、そのうち治るだろ。じゃあな、おーい、ロイ、待てよ!」
 そうちょっと照れながらマイクに答えると、常闇の外套はロイ・グラードの後を追って行ってしまいました。
「なんと、これはあやとりができるという……。ふふふ、ならば、あんな縛りや、こんな縛りも可能であろうな」
「それは、もちろん」
 なんだか、その間に、藤原 千方(ふじわらの・ちかた)がドクター・ハデスに器用なパンツアームを借りたようです。
「ああ、やっと見つけた。兄さん、こんな所で何をしているんですか!」
 そこへ、高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)がやってきました。
「何をって、世界征服の第一歩に決まっているだろうが」
 胸を張って、ドクター・ハデスが答えます。
「そんなこと言って、その発明品を使ってこの人たちが悪いことをしたら、全部私たちのせいになっちゃうではありませんか」
「うむ、私の発明の成果だ」
「違いますって!」
 自分たちが悪の秘密結社であることは遥か別次元に捨てて高天原咲耶が言いました。
「とにかく、それは壊しますから。えいっ!」
 問答無用で、高天原咲耶が火球を放ちましたが、殺気看破した藤原千方が素早く避けます。
「いきなり攻撃とは、貴様いい度胸だな。こい、さっそくパンツアームを試してみようではないか」
 持っていたロープを、藤原千方がパンツアームでまるで生き物のように操って見せます。
 あっという間に、高天原咲耶が芸術的に縛りあげられました。
「きゅう……」
「ああっと、なんかパンツアーム役にたっています。はい、カメラさん回って回って」
 すかさず、縛られて吊り下げられた高天原咲耶の背後にカメラを回すように風森望が言いました。このアングルならば、パンツは見えますが顔は見えません。一応の心配りです。
「いかがでしょうか、解説のブルタさん」
「白ですね。オーソドックスですが、これこそが王道です。それをこの縛りで見せるとは、芸術展が加算されます。151点は固いでしょう」
「ずいぶんと半端ですが……。とりあえず、藤原千方選手151点をゲットしました。さらなる獲物を求めて移動を開始したようです。みなさん逃げて! さあ、次行きましょう」
 とにかくあちこちでいろいろな者が暴れているようです。中継車はどんどんと場所を変えなければなりません。
「あわわわ、あれって、御主人様の発明品ですよね。あっ、ハデス博士って言わないといけないんでしたっけ。とにかく、壊して……、あ、でも壊しちゃったら怒られ……、ああん、もうどうしよう」
 ばったりと毒島大佐に出会ったヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)が、混乱してぺったんこ座りしました。チラリと、青と白の縞々パンツがスカートの下からのぞきます。
「縞っ!!」
 毒島大佐の目の色が変わりました。まさに、獲物を追う野獣の目です。
「もう、嫌ー!」
 訳が分からなくなったヘスティア・ウルカヌスが、迫ってくる毒島大佐にむかってミサイルを一斉発射しました。
 いったん上空に上がったミサイル群が、次々に毒島大佐に降り注ぎます。ちゅどん、ちゅどん、ちゅどんと、毒島大佐はパンツアームごと木っ端微塵です。
「しまった、やり過ぎちゃった!?」
 目の前にできたクレーターを見つめて、ヘスティア・ウルカヌスが呆然と立ちすくみました。
「ぐふふふふ、この触手カメラ、なかなか便利であるな」
 思わず口の端からよだれを垂らしながら、ヘスティア・ウルカヌスの後ろにしゃがみ込んでベストアングルを確保した毒島大佐がつぶやきました。どうやら、木っ端微塵になったのは、ミラージュで作りだされた幻影だったようです。
「ええっ。嫌ー!」
「ほれほれほれ」
 あわてて逃げだすヘスティア・ウルカヌスを、触手の先のカメラでローアングルからバッチリ捉えたまま毒島大佐が追いかけていきました。
「ええと、なんだか、ドクター・ハデスの発明は自らの組織を壊滅に導いているとしか思えないのですが……」
「問題ないんだよ。組織の内部崩壊こそ、悪の美学の一つなんだな。10点をあげよう」
「褒めてるわりには点数が低いですが……。ああっと、ドクター・ハデスの秘密結社オリュンポス最後の一人、アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)選手もロイ・グラード選手につかまった!」
 風森望とブルタ・バルチャの中継通り、アルテミス・カリストがロイ・グラードと相対しています。
「ハデス様の発明を悪用しようとする悪人は、この秘密結社オリュンポスの騎士アルテミスが許しませんっ! 受けてください、必殺、斬魔剣!」
「アルテミス・カリスト選手、猛烈とダッシュ……するが、すってんころりん、転びました。ばったりと地面に突っ伏して、スカートをまくれさせています。青の水玉が丸見えです。ああっと、ロイ・グラード選手、パンツアームでパンツを脱がして逃げ去りました。こ、これは、プリケツです。おはなちゃん、ちゃんと撮ってる?」
「ばっちりでござる」
 風森望に聞かれて、葦原島華町がガッツポーズをとりました。