空京大学

リアクション

　
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「えーい、フライングマイクロミニスカートキーック！」
　空飛ぶ魔法↑↑で飛びあがっていた久世　沙幸（くぜ・さゆき）が、メインストリートの木立をかすめるようにしてＰモヒカンにドロップキックを放ちました。
「うおっ、み、見えない！？」
　吹っ飛んでいったＰモヒカンが、悔しげに言いました。
　鉄壁のプリーツマイクロミニスカートのおかげで、見えそうで見えません。たとえ、ボコボコにされようとも、Ｐモヒカンたちにとっては、パンツさえ見られれば勝利なのですが……。
「そうか、貴様、実は穿いてないもん族だな。卑怯者め！」
　実力では勝てそうにないと悟ったモヒカンたちが、久世沙幸を指さして口で攻撃しました。
「そんなことないもん、ちゃんと穿いて……！」
　言い返した久世沙幸でしたが、なぜか下半身がスースーします。水色の紐縞パンがいつの間にかなくなっています。いったいいつの間に……。
「ちゃ、ちゃんと穿いてるんだから！！」
　真っ赤になって、久世沙幸が必死に言い返しました。
　その言葉に、Ｐモヒカンたちが顔を見合わせます。
「お嬢ちゃん、ちゃんとパンツ穿けるようになってから俺たちと戦いに来な。俺たちは、パンツ穿いてないもん族にはこれっぽっちも興味ねえんだ。あーあ、頑張ってのぞこうとして損したぜ。さあ、他の場所行こうぜ」
　完全に興味をなくしたＰモヒカンたちが三々五々、久世沙幸の周りから離れていきます。
「ちょ、ちょっと、それってどういうことなんだもん。なんだか、凄く納得いかない！！」
　あわてて後を追いかけていった久世沙幸が、大サービスでハイキックをお見舞いしましたが、相変わらず見えそうで見えないので、穿いてないと思い込んだ――いや、事実穿いてないのですが――Ｐモヒカンたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていきました。
　
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「くっくっくっ、こんな所に紐縞パンが引っ掛かっているなんて、俺は運がいいぜ」
　なぜか街路樹の上の方の枝に引っ掛かっている紐縞パンを見つけたＰモヒカンの一人が、木によじ登ってそれを取ろうとしていました。
「そーっと……えいっ」
「うおっ！？」
　いきなり背後から忍びよったアンネリーゼ・イェーガー（あんねりーぜ・いぇーがー）に突き飛ばされて、木の上から久世沙幸のパンツを取ろうとしていたＰモヒカンが地面に大の字で落下しました。
「きっさま、何をしやがる」
　木の上のアンネリーゼ・イェーガーを見あげて、Ｐモヒカンが怒鳴りました。実にいいアングルなのですが、枝が邪魔してこの角度からはパンツが確認できません。
「ねえ、ちょっと教えてほしいのですが、おとなパンツって、どういうパンツですの？」
　枝の上から、無防備なアンネリーゼ・イェーガーが訊ねました。
「おとなパンツってえのはなあ……」
　ゆっくりと身体の位置をずらしながらＰモヒカンが答えていきました。
「もう少し……」
　げしっ！！
　鈍い音共に、Ｐモヒカンが何者かに鉄甲でのパンチを受けて倒れました。
「どうしましたの？　お返事はまだですか？」
「いえ、もう返事はできないそうです」
　メキメキと足でＰモヒカンの顔を地面にめり込ませていきながら、笹野　朔夜（ささの・さくや）が、にこやかにアンネリーゼ・イェーガーに答えました。妹のように大切にしているアンネリーゼ・イェーガーに変な知識を仕込まれては迷惑です。そんなことをしそうな奴らは、事前に抹殺しておくのが最善でした。
「まあ、残念ですわ。じゃあ、あそこにいるパンツの人を倒して聞いてみますわ」
　そう言うと、レビテートを使ってアンネリーゼ・イェーガーがふわりとスカートを広げながら地上に降りました。
　それに見とれかけたＰモヒカンが、バーストダッシュで飛び出した笹野朔夜のラリアットを受けて遙か彼方へ吹っ飛んでいきました。
「あれれ、さっきここにいたパンツな人は、どこに行ってしまったのでしょう？」
　パタパタとスカートの形を直していたアンネリーゼ・イェーガーが不思議そうに小首をかしげました。
「せっかく、おとなパンツのことを聞こうと思いましたのに。ああ、それでしたらあちらにいるパンツな方に……あれれ？」
　ヒュンと、一瞬でまた笹野朔夜がＰモヒカンを葬り去ります。
「誰もいませんよ。アンネリーゼさんの見間違いなのでは？」
　しれっと、笹野朔夜が言いました。
「じゃあ、あちらの……、じゃあ、じゃあ、こちらの……」
　あちこちを振り返るアンネリーゼ・イェーガーでしたが、そのたびに街路からＰモヒカンたちの姿が一つまた一つと消えていくのでした。
　
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「おおっ、パンツが飛んできたぜ」
「よし、俺のもんだ」
「何言ってやがる、俺んだ」
「俺だ！」
　ひらひらと風に舞って飛んできた紐縞パンを見つけて、Ｐモヒカンたちが頭の上に手をのばして取り合いをしました。
「そんな物はどこにも見えないのですわ！！」
　そう叫ぶなり、立川　絵里（たちかわ・えり）が大釜を一振りしました。Ｐモヒカンたちのモヒカンが一撃で刈り取られ、パンツと共にアイデンティティーを失ったＰモヒカンたちが悶絶して転げ回ります。
「パンツなど見えません、見てもいけません」
　そうきっぱりと言い張ると、立川絵里は道端に倒れたモヒカンたちを路側まで転がしていって掃除しました。そのまま、洗剤と水をかけてゴシゴシとモップで洗濯します。
「さあ、これで、心もパンツも綺麗になりましたね。今日からは、まっとうな不良としてパンツとは無縁の生活を送るのですよ」
　道端に綺麗にモヒカンたちをならべて干しながら、立川絵里が言いました。その後ろを、風に飛ばされたパンツたちがパタパタと鳥のようにはばたきながら飛んでいきます。
「ヒャッハー、パンツだパンツだ！」
　その後ろを、たくさんのＰモヒカンたちが追いかけていきます。
「さあ、次のお洗濯を始めましょう」
　立川絵里は大鎌を手に取ると、その後を追いかけていきました。