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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同忘年会!

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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同忘年会!

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 ──川岸。

「楽しかったですね」
「うん! でもでも博季くん、過去形だよー。楽しい気持ちはまだ続いてるでしょ? だから『楽しいですね』だよ! それからねー、帰ったら年越し蕎麦っ!」
 ペガサスの背の上で、ぴたんと夫に背中をくっつけたリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)が振り返る。
 そのはじけるような笑顔を見て、博季・アシュリング(ひろき・あしゅりんぐ)は、忘年会、来て良かったなぁと思っていた。
「そうですね。このまま帰るのはちょっともったいないですね」
 心のなかにある楽しい気持ちが、帰るまでに少しも冷めないように、続くようにと思うだけでなく。
「ちょっともったいないくらい、夜景がきれいですから」
 博季は澄み渡った夜空と、ほのかな明かりに浮かび上がるヴァイシャリーの街を見下ろした。
「ホントだ」
「ちょっと寄って行きませんか?」
 言うなり、彼は馬首を川岸へと巡らせた。
 急いで帰らなければ年が明けてしまうのは分かっていたけれど、少しの間でもこの景色を楽しまないのも、もったいないように思えたのだ。
「この辺でいいかな」
 二人はライトアップされている川岸の側に降り立つと、川岸を見渡せる小さな公園とも呼べないような空き地に二人並んで寝転がって、夜空を見上げながら色々なことを話した。
 澄んだ空気に満天の星空は落ちてきそうなほどで、心が洗われるようだった。
 忘年会のこと。今年一年あったこと。この景色のこと。話そうと思えばどれだけでも話せそうな気がした。
「リンネさんは星に例えたら北極星かなぁ。凄く綺麗で、眩しいくらい輝いてて……自分ではそうと気づかなくても、僕を励ましてくれたり、導いてくれたり。
 ……迷ったり、悩んだりして、自分が何処にいるかわからなくなったりしても、リンネさんは必ずそこに居てくれて。だから、僕も自分の目的とか、掲げた理想に進んでいける」
「そっ、そんなことないよ! それは博季くんが頑張ってるからだもん!」
 照れるリンネに彼は優しく微笑みかけた。
「リンネさんはね、凄いんだよ? 何が凄いって、無意識にそれが出来る所。そういう、素敵な人なんです」
「んー、じゃあ、博季くんは? どんなお星様なのかな?」
「……そうだなぁ、僕は北斗七星になりたいな。光り輝くリンネさんの傍らには、常に僕が控えてて。ずっとリンネさんの側で、リンネさんを支えて。護って」
 一息吸って。
「星になってもずっとずっと一緒に……なんて」
 星を見ながら照れたように頬に手を当てていたリンネだったが、首を曲げて、博季の赤い瞳を見る──いつの間にか、彼もリンネの顔を見ていた。
「なれるといいねっ!」
「……そうなれるように、頑張らないとね。大好きなリンネさん」
「うんっ♪」
 リンネは元気良く頷く。それは彼女にとって何気ないしぐさだけれど、その自然な明るさや笑顔が博季にとっては何よりも眩しく見えた。この輝きをずっと守りたい、といつも思っている、思わせてくれる妻。
(リンネさんが僕の誇りであるように、僕もリンネさんの誇りになれたら嬉しいなぁ)
 無邪気にはしゃぐ笑顔を見ながら、彼は心の中で告げる。
(愛してます。僕の自慢のお嫁さん。リンネさんがいつまでも輝いていけるように、僕も頑張るね)
 ……やがて、リンネがちょっと背中が冷たいと言い出して体を起こしたので、何気なく腕時計に目をやった博季は、がばっと上体を起こした。
「って、うっわこんな時間! これじゃ年越し蕎麦が夜明け蕎麦になる!」
「じゃ、急ご!」
 リンネがひらりとペガサスに乗ると、博季に手を差し伸べた。彼は手を取り、リンネの身体を抱くように手綱を握る。
「……ファウ、ごめんねちょっと急いでくれるかな?」
 ペガサスが了解したように空に舞い上がる。
 ──と、リンネがわあっと声をあげた。
「ね、見て見て博季くん! 花火だよ! すっごく大きい!」
 光の糸が空を垂直に切り取ったかと思うと、激しい音とともに弾け、大輪の花が開いた。かと思うと、小さな花々が遅れてあちこちで開いていく。
 深い闇の色を背景に散らばる黄、オレンジ、赤、紫、青……火でできた花弁が咲き、散っていく。
「……せっかくのお蕎麦だけど」
「うん」
「年明け蕎麦でも夜明け蕎麦でも、いいよねっ? もうちょっとこうして見てたいな……」
 リンネはぼうっと花火を眺めていた。博季は彼女の身体に手を回すと、言葉では答えず、小さく頷いた。その気配がリンネに伝わって、彼女は体を預ける。
 二人を乗せたペガサスは速度を緩めて、螺旋を描くように空を駆けあがっていった。