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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

リアクション

18)


酒杜 陽一(さかもり・よういち)は、
高根沢 理子(たかねざわ・りこ)と、
ジークリンデ・ウェルザング(じーくりんで・うぇるざんぐ)を誘い、
デスティニーCにやってきていた。

「また誘ってくれてありがとう!
しかもジークリンデも一緒になんて!」
「酒杜先生、どうもありがとうございます」
「こちらこそ、今日は楽しんでくださいね」
理子とジークリンデの笑顔を見て、
陽一も、穏やかな笑みを浮かべる。

「ジークリンデ様と理子さんが行きたいアトラクションをできるだけ回りましょう」
「いいんですか? ありがとうございます」
「よーし、この日のために、たくさんチェックしてたのよ!」
理子のガイドブックは、たくさん印が付けられている。

「最初から遊ぶつもりだったの?」
「ほら、だって、あたし、リコルートの社長でしょ?
社長としては、観光コースのチェックしないわけにはいかないじゃない?」
くすっと笑うジークリンデに、理子が頭をかきながら言う。
その様子を見て、陽一は思う。
(バレンタインの時の様に、
俺がまた誘うのを理子さんが期待してくれていたんだとしたら嬉しいんだけどな……)

「はやく、こっちこっち!」
ふと、陽一が物思いから気が付くと、
理子とジークリンデが手を振っている。
「今行きます!」
陽一は、慌てて駆け出した。

先日、理子に告白した陽一だが、
ジークリンデもいることや、遊園地の開放的な雰囲気もあり、
理子も、必要以上に意識はしていないようだった。

理子とジークリンデの回りたいアトラクションを大方回り終えて、
ジークリンデが気づかうように言う。
「ところで、酒杜先生はよかったんですか?
私たちにずっと合わせてくださってましたが」
「いえ、その……。最後にパレードを観れればと」
頬をかいて言う陽一に、
理子が明るくうなずいた。
「いいわね、パレード! 特等席で観ましょう!」

理子が、ジークリンデと、陽一の手を取って走り出す。
「ほらほら、早くしないと、いい場所を取られちゃうわよ!」
「あ……」
理子の手の柔らかさ、暖かさに、陽一はドキッとする。

「ほら、早く早く!」
屈託なく笑う理子は、無意識なのだろう。
「わかりました、理子さん」
陽一も、にっこりとうなずいた。

こうして、3人は、仲良く、夜のパレードを観たのだった。