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ゴチメイ隊が行く4 ひょっこり・ぷっかり

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ゴチメイ隊が行く4 ひょっこり・ぷっかり

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「スカート穿いてない奴に用はねえ」
 鎖のついた鉄球を振り回してメカ小ババ様を撃退しながら、国頭武尊が叫んだ。基準はやはりそこらしい。
 
「援護するよー」
 射的ゲームよろしく、確実にメカ小ババ様をスナイプしながらヴァルキリーの集落アリアクルスイドが言った。なまじ、メカ小ババ様たちが着ぐるみを着ているため、お祭りの射的屋にあるぬいぐるみのように見える。
 
「あいじゃわあたっく」(V)
 ジャワ・ディンブラに近づいてきたメカ小ババ様を、クルクルと回転しながらあいじゃわが体当たりして弾き飛ばした。その反動で再びクルクルと回転しながら、藍澤黎の腕の中に戻ってくる。
「いい玉ですぅ。ええーい!!」(V)
 飛んできたメカ小ババ様を、メイベル・ポーターたちがバッティングセンターよろしく、遠くへかっ飛ばしていった。中には、飛ぶ前に一撃で粉々に砕け散ってしまうメカ小ババ様もいる。
「分かりました。こういうときに野球のバットは役立てるのですね。少し快感です」
 同じようにメカ小ババ様をかっ飛ばしながら、ステラ・クリフトンが言った。
「ようし、逃がさないよ。撲……」(V)
「しーっ」
 調子に乗って名乗りをあげようとするセシリア・ライトに、フィリッパ・アヴェーヌがたしなめた。ステラ・クリフトンには、撲殺天使であることは内緒なのだ。
「ぼく?」
 ステラ・クリフトンが不思議そうに聞き返す。
「僕もホームランだぁ! ははははは……」
 なんとか、セシリア・ライトは必死にごまかした。
 
「ううむ、なんとも歯がゆいですね。リア、そこです!」
 接近戦専門のルイ・フリードが、なんとも悔しそうにリア・リムたちを応援する。
 やっと慣れ始めたフライトユニットを縦横に駆使すると、リア・リムが左右に装備した六連ミサイルポットのカバーを開いた。次々に、マイクロミサイルが時間差をおいて発射されていく。十二本のミサイルが雲を縫うようにして飛んでいき、それぞれのターゲットに命中して光の花を空中に咲かせた。
「みごとですよ」
 満足するルイ・フリードの小型飛行艇に、突然誰かが飛び込んできた。
「おっと、すみません。ちょっと足場を借りますよ」
 そう言うと、紫月唯斗が、再び軽身功で飛び出していった。
 目についたメカか小ババ様を、紫月唯斗はメイベル・ポーターたちの方へと弾き飛ばした。だが、残った魔導球が火炎を噴き出して攻撃してくる。それをファイアプロテクトと身に纏ったプラチナム・アイゼンシルトのエンデュアで退けると、紫月唯斗は身体をつつんだ炎を振り払ってエクス・シュペルティアが回した小型飛空艇にストンと着地した。
「来ないでください」
 追いかけてくる魔導球に、紫月睡蓮がヒプノシスをかけた。だが、メカに催眠術が効くはずもない。追いかけてきた魔導球が、他の魔導球を呼び寄せて始めた。
 
「メカ小ババ様もだけれど、魔導球の方もやっかいよ」
「大丈夫。ふふふ、ここでなら、遠慮なしで撃てるのだよ」
 カレン・クレスティアに言い返すと、ジュレール・リーヴェンディは小型飛空艇のカウルにレールガンを固定するとチャージを開始した。
 メカ小ババ様をやられた魔導球が、紫月唯斗たちのそばに集まって、マイクロウェーブネットを形成しようとフォーメーションをとり始めるのが見てとれる。あれに囲まれたら、電子レンジの原理で丸焦げだ。だが、さすがに、オプシディアンが直接操っているのではなく、自立行動のようなのでスライムの誘導球のときのように動きが鈍い。
「手加減は、ナシだからね! やっちゃえ、ジュレ!」(V)
「機晶石エネルギー充填、ファイヤー!」(V)
 カレン・クレスティアの言葉に、ジュレール・リーヴェンディがトリガーを引いた。プラズマ光のマズルフラッシュを輝かせて、超音速で弾体が発射される。密集していた魔導球が、直撃を食らった物は粉砕され、周囲にいた物はソニックブームで切り裂かれた。
 
    ★    ★    ★
 
「頼んだぜ、相棒」
 小型飛空艇を操縦する三船敬一が、白河淋にむかって言った。
「これは、私の出番ですか」
「来たのだ!」
 コンスタンティヌス・ドラガセスにうながされた白河淋が、小型飛空艇に固定した機関銃でメカ小ババ様を駆逐していく。
 
「風花は右、アルスは左を!」
 アストレイア・ロストチャイルド(あすとれいあ・ろすとちゃいるど)を身につけて小型飛空艇を操縦する御剣 紫音(みつるぎ・しおん)が叫んだ。
「任しておくなはれ」
「ええ、どんとこいなのじゃ」
 綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)アルス・ノトリア(あるす・のとりあ)が、奪魂のカーマインと凍てつく炎で、群がってくるメカ小ババ様を撃墜していった。
 
「頑張ってね♪」
 ノア・セイブレムの驚きの歌が流れる。
 加速ブースターで雲を切り裂いて進むメティス・ボルトの上に乗ったレン・オズワルドが、ダークビジョンで雲の中に隠れているメカ小ババ様たちを正確に捉えながら、奪魂のカーマインで撃ち落としていった。
 
「浮遊島は本当にあったんだぁ。ここまで来て邪魔されてたまるかぁ。いこう、おばさん!」
「誰がおばさんじゃ!!」
 光条兵器のハリセンをアキラ・セイルーンに渡すと、ルシェイメア・フローズンたちは後方支援に回った。
「しかし、こんな戦いをしていても埒が明かぬではないか。早く、島に乗り込んだ方がよいというのに……」
 ぶつぶつと文句を言いながら、雷術を使ったルシェイメア・フローズンが、メカ小ババ様にハリセンで突っ込み攻撃をしていくアキラ・セイルーンを援護する。
「いいかげん、道をあけなさーい!!」
 サイコキネシスで横向きに吹っ飛ばしたメカ小ババ様を魔道銃で撃ち落としながら、水心子緋雨が叫んだ。
「まったく、しつこいくらいに守りが厚いのう」
 敵の思い通りに時間を浪費させられている気がして、ヒポグリフを御する天津 麻羅(あまつ・まら)が渋い顔をした。
「ここは、戦力を集中させるが得策じゃな。おお、いい所にいい奴がおる」
 縦横にメカ小ババ様を蹴散らしているレン・オズワルドを見つけると、天津麻羅はヒポグリフを彼の方へと寄せていった。
 
「ゴパ!」
 メカ小ババ様のティザーガンが、清泉北都の身体を貫いた。直後に、清泉北都の姿が崩れて消え去る。
「残念、外れだねぇ」
 イリュージョンを攻撃したメカ小ババ様を、清泉北都がサイコキネシスで動けなくした。
「そこですっ!」(V)
 動けなくなったメカ小ババ様を、クナイ・アヤシがライトニングランスで仕留めた。
 電撃は有効らしく、秋月葵もライトニングランスで次々にメカ小ババ様を撃墜していった。
「まったく、きりがない。突破口を頼むぜ!」
 ジャワ・ディンブラの周囲のメカ小ババ様をレムテネル・オービスと共に狙撃しながら、リア・レオニスが叫んだ。
「なら、これでどうであるかな」
 エクス・シュペルティアが、サンダーブラストで、前面のメカ小ババ様包囲網の一部に穴を開けた。
「よし、その道を広げる! みんな!」
 ジャワ・ディンブラの上で、ココ・カンパーニュが叫んだ。
「行きますわよお!」
 右側から、チャイ・セイロンの雷術とペコ・フラワリーの轟雷閃が放たれた。軽く掲げたココ・カンパーニュの右手の星拳エレメント・ブレーカーがそれを吸収して金色の光を放つ。左からは、リン・ダージの魔道銃とマサラ・アッサムの爆炎波を、アルディミアク・ミトゥナの星拳ジュエル・ブレーカーが吸収して赤い輝きを放った。
「いけ、スター・ブレーカー、ライトニングストーム!」
 手を繋いだココ・カンパーニュとアルディミアク・ミトゥナが、それぞれの星拳をつけた手を正面でパシンと打ち合わせた。相変わらずココ・カンパーニュによる技のネーミングはいいかげんだが、双星拳スター・ブレーカーから放たれた雷を纏った竜巻が、前方にいるメカ小ババ様たちを巻き込んで破壊しながら浮遊島への道を開けた。
「今だ、島に行くよ!」
 ココ・カンパーニュの声に、学生たちが開かれたルートを邁進した。
「そう簡単には、行かさないぜ」
 シニストラ・ラウルスが、手に持ったリモコンのスイッチを押した。
 まだ生き残っていたメカ小ババ様たちが一斉にココ・カンパーニュたちの上方へと集まる。そして、一斉に自爆した。
 直接のダメージはなかったものの、爆風がココ・カンパーニュたちを気流の中へと叩き落とす。
「うわっ!」
 ふいをつかれた一行が、体勢を立てなおすこともできずに激しい気流に流されていった。
「ねえ、あれでいいの? 流れ着く先はあそこだと思うんだけど」
 そう言って、デクステラ・サリクスが浮遊島を指さした。
「いや、その……、まあいいじゃねえか」
 そう言ってごまかすと、シニストラ・ラウルスは通信機を出して雇い主を呼び出した。
「あー、こちら、防衛線。たった今、侵入者を気流に叩き落として排除したところだ。思ったよりも侵入者の数が多くて、こちらも手駒のほとんどを使い果たした。何人かは上陸するかもしれないが、後はよろしく頼む」
『使えん奴め。了解した。後はこちらで駆除する。お前たちは浮遊島から離れろ。別段、最後まで運命を共にしたくはないだろう』
「ああ、分かった。ここらで引き下がらせてもらう」
 シニストラ・ラウルスはそう通信相手に言うと、通信機のスイッチを切った。
「まだ何かやるつもりかしらねえ」
「いや、むしろ、これから何か始めるんだろう。見物したいところだが、巻き込まれるのも損だ。ここはいったん下がるぞ」
「そうね。今日はもう充分楽しませてもらったわ」
 飛空艇を呼ぶシニストラ・ラウルスに、デクステラ・サリクスはニッコリと微笑んだ。
 
    ★    ★    ★
 
「やれやれ、先行した奴らは、相当手こずったみたいだわね」
 離れた場所からココ・カンパーニュとシニストラ・ラウルスたちの戦いを傍観していたメニエス・レインが言った。
「進路クリアです、メニエス様。今なら妨害はありません」
 ミストラル・フォーセットが、ルートの安全を確認する。
「よし、行くよ、あの島へ」
 ゆうゆうと、メニエス・レインたちは浮遊島への移動を再開した。