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ゴチメイ隊が行く4 ひょっこり・ぷっかり

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ゴチメイ隊が行く4 ひょっこり・ぷっかり

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「あれえ、ゴチメイさんたちはどこに行きました?」
 霧の中、ココ・カンパーニュたちの姿を見失って、クレア・シルフィアミッドがキョロキョロと周囲を見回した。
「クレア、だめでしょう、はぐれちゃ」
 クレア・シルフィアミッドがはぐれたの気づいた安芸宮稔が、すぐに追いついてきてくれて彼女をしっかりとつかまえた。
「まったく、ちょろちょろすると、はぐれて……みんなはどこでしょう?」
 突然気づいたように、安芸宮稔はあわてて周囲を見回した。
「おーい、誰かいますかー」
「いるぞー」
 霧の中に呼びかけてみると、すぐに聞き覚えのある声が返ってきた。
「よかった」
 安芸宮稔が、ほっと胸をなで下ろす。
「よかったあ。はぐれて困ってたんだよ。それでみんなはどこにいるんだ?」
 合流できた安芸宮和輝の言葉を聞いて、安芸宮稔は思わずあんたもかと、霧に覆われて見ることのできない天を仰いだ。
 
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「イーオン? どこにいるのだ?」
 すぐ隣を歩いていたはずのイーオン・アルカヌムとセルウィー・フォルトゥムの姿がいなくなっているのに気づいて、フィーネ・クラヴィスはあわてて周囲を見回した。どうやら完全にはぐれてしまったらしい。
「チャーンス。ココちゃーん、遊びましょー」
 これで自由だとフィーネ・クラヴィスが喜んだ。だが、それも束の間……。
「で、みんなはどこにいるのだ?」
 
    ★    ★    ★
 
「あれ、あれはなんですの?」
「こら、走っちゃだめですぅ」
 しゅたたたたたっと走り回るエイム・ブラッドベリーに、神代明日香たちは翻弄されていた。
 ほとんどが、樹に絡まった蔦だの、変な形の石だの、なんの変哲もない物にむかってエイム・ブラッドベリーが突進していくのだ。
「もう、言うことを聞かないなら、また装着してしまうですぅ」
 神代明日香にそう言われて、やっとやっとエイム・ブラッドベリーがおとなしくなった。だが、少し遅かったらしい。
「ねえ、明日香さん、みんなどこ行っちゃったんですか?」
 周囲を見回して、ノルニル『運命の書』がぽつりと言った。
 
    ★    ★    ★
 
「これじゃ、画面が真っ白で意味がないですねえ」
 ビデオカメラのファインダーから目を離して、月詠司が溜め息をついた。
 まさか、これほど霧が深いとは予想もしていなかったのだ。もっとも、雲海に隠れた島ということから、よく考えれば予想できたかもしれなかったのだが。そうと分かっていれば、赤外線撮影機能つきのビデオカメラを持ってくるのであった。
「それはいいが、ずっと撮影していると思って後をついてきたのじゃが、完全に他の者たちとははぐれてしまったようじゃぞ」
 いいのかと、ウォーデン・オーディルーロキが訊ねた。
「大丈夫、こんなこともあろうかと、ちゃんと探検セットを持ってきたのですから」
 そう言うと、月詠司は位置を確認しようと方位磁針を取り出した。
「踊っておるな」
 ウォーデン・オーディルーロキの言葉どおり、磁石の針がクルクルと激しく回転している。ここの地磁気は無茶苦茶らしい。
「もしかして迷った……」
「だから、最初から大丈夫かと聞いておったじゃろうが!」
 ウォーデン・オーディルーロキは頭をかかえた。
 
    ★    ★    ★
 
 ココ・カンパーニュの心配通り、進むにつれて、何人かがグループから離れて迷子になっていった。危なっかしいと言えば危なっかしいが、このくらいは自力で生還できるだろう。
「これじゃあなあ、頼りになるのは聴覚だけか」
 超感覚で狼の耳を顕わにしながら、リア・レオニスが言った。
「頼りになるっていっても……、川とかあるんですかね」
「まあ、何が出ても大丈夫なように注意はするさ」
 いつでも銃が抜けるようにホルスターの留め具を外しておきながらリア・レオニスが答えた。
「ふゅ、髪形とか色とか、リンちゃんにそっくりだと思う……の」
 周囲に注意する者たちを尻目に、のほほんとしたエリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァが、少し濡れそぼった自分の髪を軽く引っぱってリン・ダージたちに見せた。
「でもなあ、そっくりってわけじゃ……」
 二人の胸をジーッと見比べながら、マサラ・アッサムが言った。
「何よ、あんまし変わらないくせにい」
 むっとしたリン・ダージが、ぺたんことマサラ・アッサムの胸を押す。
「ぺったんこに、ぺったんこと言われるとちょっとむかつく」
 マサラ・アッサムが、リン・ダージの胸をつかむまねだけした。つまり、つかみたくてもつかめないということだ。
「はいはいはい、そこまでですよお」
 さすがに、チャイ・セイロンが間に入って止めた。その胸を見て、言い争っていた二人が、あんたにだけは言われたくないと、無言でチャイ・セイロンを見た。
「わきゅ、私も混ぜ……にゅ!?」
 パイタッチに加わろうとしたエリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァが、がしっと頭をつかまれて動けなくなった。振り返れば、エシク・ジョーザ・ボルチェの無表情なパワードマスクが見える。
「あまりふざけてはいけません」
「にゅ、そういうときは、見て見ぬふりをするもの……なの」
 ぷーっと、エリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァが頬をふくらませた。
「まあまあ。あまりはしゃぐとはぐれてしまいますよ」
 アルディミアク・ミトゥナが一同をたしなめた。
「にゅ、大丈夫……なの。エシクは目立つ……の」
 真紅のパワードインナーを着たエシク・ジョーザ・ボルチェをさして、エリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァが言った。確かに、白い霧の中でも、真っ赤な全身スーツはある程度目立つ。
「メティスみたい。あなたも機晶姫なの?」
 アイアンメイデンを背負ったごついメティス・ボルトとくらべて、ノア・セイブレムが訊ねた。
「私は、アルディミアクさんと同じ剣の花嫁です」
 エシク・ジョーザ・ボルチェが答えた。
「やれやれ、おいていかれるぞ」
 トライブ・ロックスターが、のんびりしている一同に声をかけた。さすがに、はぐれないように、ココ・カンパーニュたちは少し先で止まってくれている。
「まったく、相変わらずゴチメイたちは残念美人の集まりだからなあ」
 聞こえないほどの小声で、トライブ・ロックスターはつぶやいた。以前、ココ・カンパーニュにまっこう勝負を仕掛けてあっさり負けたことが苦々しく思い出せる。仮面をつけていたこともあるから、多分自分のことは覚えてもいないだろう。
「唯一の良心が、アルディミアクってところか」
 だとしたら、一つでっかいお宝でも見つけて、好感度アップだとトライブ・ロックスターは密かに心の中で考えた。