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地に眠るは忘れし艦 ~大界征くは幻の艦(第2回/全3回)

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地に眠るは忘れし艦 ~大界征くは幻の艦(第2回/全3回)

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 ニルヴァーナ創世学園は、再廻の大地南端に位置している。最初の回廊を中心として、ニルヴァーナ開拓の拠点として最初に開発された学園都市だ。現在では各種研究所などが次々に建造され、空京を思わせる一大新興都市となりつつある。すでにほぼ完成しているニルヴァーナ創世学園も、校舎の増築が相次ぎ、その周辺でも高層ビルの建築が活発に行われていた。
「新たな遺跡が発見されただと?」
 ニルヴァーナ創世学園で今回の話を聞いた三船 敬一(みふね・けいいち)が目を輝かせた。
「こいつが役にたちそうだな」
 ポンポンと、カタフラクトを積んだ21式装甲兵員輸送車を三船敬一が叩く。
「出撃ですか?」
 三船敬一の様子に気づいて、白河 淋(しらかわ・りん)が訊ねた。
「すぐに準備しようではないか」
 コンスタンティヌス・ドラガセス(こんすたんてぃぬす・どらがせす)もすぐに対応する。
「ならば、もう少し情報を集めてくれないか」
 ドライバーであるレギーナ・エアハルト(れぎーな・えあはると)が言った。
「ニルヴァーナの遺跡であれば、インテグラルやイレイザー・スポーンにであうことも考えられる。資料はあるに越したことはない」
「情報は、探査隊の本体にリンクして逐一手に入れるとしよう。後れをとらぬように、急ぐぞ!」
 三船敬一はパートナーたちを急がせると、21式装甲兵員輸送車でニルヴァーナ創世学園を出発した。
 
    ★    ★    ★
 
 ニルヴァーナ創世学園そばには、戦いで墜落した敵要塞のアディティラーヤがある。それを再利用する形で、いくつかの施設が作られていた。湊川造船所も、そのような施設の一つである。
「準備はできているぞ」
 こちらで待機していた大田川 龍一(おおたがわ・りゅういち)が、湊川亮一の土佐を出迎えた。
「すぐに作業に取りかかってくれ。時間がおしい」
 湊川亮一が、各人に指示した。
 ソフィア・グロリアとアルバート・ハウゼンの乗った陣風と、岡島伸宏と山口順子の乗った飛燕が発進して、土佐の再合体作業をサポートする。
 牽引ワイヤーが外され、各船体にウインドラスで巻き取られていった。
 それが完了すると、中央船体が造船所の中央に進み、アームでしっかりと固定される。それを確認すると、二機のイコンが左右の副船体を曳航して造船所内へと運んでいった。造船所内にある巨大クレーンからワイヤーが下ろされ、副船体のそれぞれを吊り下げた。
 専用の機械のない空中で行った先の分離作業とは違い、今度はスムーズに作業が進んでいく。
 二機の巨大クレーンに吊された副船体が、ゆっくりと中央船体の左右に運ばれていった。まだ接続はされていないが、見た目、懐かしい元の土佐のシルエットとなる。
「接合部オープン」
「接合部、オープンします」
 湊川亮一の指示で、ブリッジから高嶋梓が中央船体左右の装甲隔壁を開いた。同様に、左右の副船体に乗っているクルーが、それぞれの装甲隔壁を開く。陣風と飛燕が、中央船体から繋留索を引き延ばして副船体に接続した。
 接合部に異変がないか作業員が目視確認を行うと、大型クレーンが動きだした。ジョイント部に設置されているレーザーマーカーが、ミリ単位で互いの位置をクレーンの操縦室にデータとして送る。その数値とカメラの画像に従って、クレーンの操縦者が副船体を移動していった。ゆれが起きないように細心の注意をしながら、まず、右船体が接合部へと近づいていく。それに合わせて、繋留索が中央船体に巻き取られていった。
 軽い音と共にジョイント部が寸分の狂いなく噛み合わさった。すぐに、ロックボルトが締まり、固定フックが次々と下ろされていく。固定が確認されると、接合部に気密用のパッキングが内部から押しあてられていった。台形のパッキングを取りつけたアームが次々と下り、気密を完全とする。
 続いて、左副船体の接続が始まる。
「よし、じきに再接続は完了するな。物資積み込み準備。じきに開始するぞ」
 プラヴァータイプの彗星天城 千歳(あまぎ・ちとせ)と共に乗り込んだ大田川龍一が言った。造船所の所員があわただしくコンテナの準備を始める。
「結構な量ですね」
「それだけ必要ということだな。要請された物は、すべて揃っているんだろ」
 大田川龍一が天城千歳に聞いた。
「もちろんです。いろいろと苦労して手配しましたから。土佐は、これで10年は戦えます」
 天城千歳が、ちょっと安請け合いした。
「請求書は、湊川さんに送ればいいんでしたよね」
「ああ。オーナーとはいえ、特別扱いはなしだ。きっちりと払ってもらおう。おっ、終わったようだな。積み込みを開始するぞ!」
 船体の再接続が終わったのを確認すると、大田川龍一は物資の積み込みを開始した。
「作業は順調なようだな」
 湊川亮一が、作業を見守りながら満足気に言った。請求書は、まだ見てはいない。
「フリングホルニも到着したようです。資料が届いています。これは……。どうやら、目的地が決まったようです」
「よし、すぐにナビに登録しろ。準備か整い次第、フリングホルニと合流する」
 高嶋梓の言葉に、湊川亮一が指示した。
 
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 再廻の大地の北に中継基地と呼ばれる物があった。
 ニルヴァーナ開拓の初期の段階で、さらに北や東西へと開拓の手を広げるための、文字通り中継基地として定められた地である。
 その中央には、巨大な通信アンテナがあり、ニルヴァーナ各地から発せられた情報はここに集められ、また拡散していく。そのため、ニルヴァーナでの情報を求め、様々な者たちがここを訪れ、やがて大なり小なりの拠点を築いていった。おかげで、かなり無計画的な発展をし、様々な施設が同居する都市として発展しつつあった。
「なるほど。敵は単純に殴殺寺院というわけじゃねえみたいだな」
 中継基地の情報管理室から情報を得た国頭武尊が、他の者たちの動きを確認しながらつぶやいた。
「だが、遺跡か。これだけのことをしでかしてまで手に入れようとするお宝があるに違いねえ。うまくすれば、傭兵代なんてケチなことを言わなくてもすむ報酬が……。あっ、請求書は、リリ・スノーウォーカー宛できっといてくれ」
 情報管理局の者にそう言い残すと、国頭武尊は遺跡でエステル・シャンフロウたちと合流すべく、DS級空飛ぶ円盤に乗って遺跡へと急いだ。