リアクション
08 決着 この頃にはすでに夜は明けていた。朝の光が戦場を包む中、戦いは終わりを迎えようとしている。 更に追い打ちを掛けるように、防衛機構の群れを突っ切って大樹に向かうイコンが一機。 【エナジーバースト】のバリアで防衛機構を吹き飛ばしながら突進するゴスホークだ。 【ディメンジョンサイト】と【行動予測】で敵の攻撃をよけつつ、よけきれない攻撃は【エナジーバースト】のバリアで弾くかG.C.Sによる空間歪曲場などで防ぎつつ、ゴスホークは大樹まで接近した。 「真司!」 「ああ!」 柊 真司(ひいらぎ・しんじ)はヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)と短く言葉を交わすと覚醒を行う。 「エネルギー状態OK……いつでも行けます!」 「よっし! ヴェルリア、あれ行くぞ!」 そして、真司の合図に従ってヴェルリアは【※真なる神となれ】で、エネルギーの消費をゼロにする。 「とりあえずこいつをぶち壊せば、しばらくは生産できなくなるんだろ!? 落ちろおおおおおおお!!」 そして解き放たれる神武刀・布都御霊。 夜叉とユノーナ・ザヴィエートが作った傷がさらに大きく広がり、大樹が傾き始めていた。 「さて、そろそろあれの出番だ」 イコンのコクピットでそう呟いたのはクローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)で、それを聞いたサブパイロットのセリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)は了解、と頷いた。 そしてセリオスは乗機であるフォトンの、特殊弾頭を搭載したミサイルの発射シーケンスを開始した。 特殊弾頭――それは北米で今まで倒したダエーヴァの遺伝子を解析し、その生体組織を蝕む毒素を発生させる細菌弾頭だ。大樹と指令級の関係から発生するその性質上、北米大陸のダエーヴァにしか効果はなく、研究・開発期間の短さのせいもあって用意出来たのはこの作戦に投入する数発分しか制作できなかったが、それでも鹵獲したダエーヴァの兵器に注射することによってその効果を確認していた。 「セリオス。警戒を頼むぞ!」 「了解!」 クローラはイコンの操縦が苦手なセリオスに対して警戒に専念させると、【※ドッグズ・オブ・ウォー】のイコン2機とともに低空を飛行しながら大樹に向かって接近を始めた。 「大尉! 援護します!!」 そう言いながら躍り出たのはエールヴァント・フォルケン(えーるう゛ぁんと・ふぉるけん)とアルフ・シュライア(あるふ・しゅらいあ)のフォルセティだ。 「ルカルカちゃんのたわわに揺れる胸の為に頑張るぜ!」 アルフが通信回線上でそんなことを叫ぶ。 (「セクハラ発言を大声で……」) それに対してエールヴァントががっくりと来ているが、それでも【無敵艦隊】を呼び出して砲撃の支援をしてもらうのを忘れない。 「こちら紅龍。同様に大尉を援護するわ!」 蓮華も【※ドッグズ・オブ・ウォー】の傭兵イコン2機とともにクローラのフォトンに随伴しながらよってくる敵を迎撃する。 また、機晶戦車も用いて回復や再生する機体を優先して撃破。また彼らはには破壊された防衛機構の残骸を処分するようにとのダリルからの指示も守らせて、合間合間に残骸の破壊を行わせていた。 メインパイロットを務めるスティングはフォトンに随伴する傍ら【ソニックブラスター】でまず敵の組織を疲弊させる。 クローラの搭乗するフォトンが大樹に近づくと敵の迎撃は勢いを増し、スティングは敵の撃破からフォトンの護衛に頭を切り替えた。 「全弾撃ちつくすつもりで……っ!」 多弾頭ミサイルを発射して弾幕を形成すると、更にツインレーザーライフルも弾切れになっても構わないとばかりに発射し続ける。 逆に敵の攻撃は【回避上昇】を使った上で【高速機動】で可能な限りの回避を試みる。それでも避けきれないものは【スルガシールド】で防ぐ。そうしているうちに特殊弾頭の発射体制が整ったようだった。 「細菌弾頭……発射!!」 フォトンのミサイルポッドから、細菌弾頭を積んだミサイルが発射される。 これまでに契約者が作ってきた大樹の穴の中にミサイルを撃ち込み、穴の中で次々と爆発が発生する。細菌弾頭の破裂によって仕込まれていた細菌が流出し、大樹の外皮が次第に壊死し始める。 「さて……いくぞ! 【※ヴィサルガ・イヴァ】!!】 そしてクローラも覚醒し、ありったけの攻撃を大樹に向かって叩き込む。 「こちらも……【※ヴィサルガ・プラナヴァハ】!!」 スティングは機晶ブレード搭載型ライフルの残弾のありったけを大樹に叩き込むと、まだ動ける内に外のイコンとともに戦線を離脱する。 そして、大樹にとどめを刺したのは……とどめを刺すためにずっと戦力を温存しておいた美羽の操縦するグラディウスだ。 グラディウスは旧世代のイーグリット・アサルト。それでも、機体の性能の差を埋めようとするかのように美羽は高い操縦技術で大樹の弾幕を避けながら大樹の根本に迫る。 【加速】しながらデュランダルを構えつつ、【※ヴィサルガ・プラナヴァハ】にて覚醒をするとデュランダルはその真価を発揮して二倍の大きさにまで伸びる。 「みんな、支援よろしく!!」 そろそろとどめを刺せると見てとっているのだろう。米軍も美羽の支援要請に答えて戦車砲や航空機のミサイルでグラディウスに迫る歩兵級や支援球を攻撃する。また、この米軍の支援攻撃にはローザマリアが持ち込んだレーザーポインター照射による爆撃の誘導が行われており、非常に高い命中率を誇った。 「ダメージを上昇させます!」 ベアトリーチェがそう叫びながらグラディウスのコンソールを操作し、デュランダルの威力を上昇させる。 「絶対、当てる!」 そして美羽は攻撃を【絶対命中】させるようにグラディウスを操作し、巨大なビームソードを振りかぶる。 「いっっけええええええええええええええ!!」 それが、とどめの一撃だった。 デュランダルの一撃を受け、大樹が崩壊を始める。 「イーグルよりサロゲイトエイコーン各機、掃討戦だ! 支援球と猟兵球を優先!! それさえ潰せば通常兵器でもどうにかなる!!」 大統領よりの要請を受け、イコンは残敵の相当に入る。厄介な猟兵球と支援球、そしてわずかに残っている騎兵球を全て破壊したあとは、米軍の通常兵器によって歩兵球や観測球などが撃破されていった。 そして、戦場に動くダエーヴァの存在が無くなった時、勝利が確定したのだった。 簡単に、結末だけ述べてしまおう。 リバイバル・ストライプの状況だが、大樹を破壊したこともあり、名実ともに北米で最大の反ダエーヴァグループとなった。また、いくつかの基地をその後も契約者の協力で奪還し、アメリカ東海岸を中心として安全ん事態を作ることに成功している。 一方でダエーヴァも別の地域から新たに大樹のクローンを輸送して、あるいは保管しておいた大樹のクローンを育てあげて戦力を回復させようとしているとの噂が流れており、これはさらなる調査の結果を待つということになっている。 次にグレースであるが光条兵器にてダエーヴァ細胞のみを破壊したこと、その後様々な回復の魔術を施したこと、イーリャのナノマシンを注入していたことなどから、しばらく安静が必要なものの、いずれ普通に人としての生活を遅れるだろうという結論になった。ただし、当然の事ながらダエーヴァ細胞に由来する超人的な戦闘能力は失われてしまっている。 また、グレースにナノマシンを提供したイーリャもナノマシンの一部を返還してもらったことでどうにか生命をつなぐことに成功している。そして、今回の事例から病巣のみを光条兵器で破壊し、その上でナノマシンでの治療や回復の魔術の重ねがけをすることによってかなりの回復が見込めるとのことが判明し、イーリャは一度オリジンに帰ってから施術してみてはどうか、と様々な方面から勧められていた。 こうして、アナザーの北米大陸をめぐる一連の戦闘は落ち着き、ある程度の小康状態を保つこととなった。 そしてこの小康状態を利用してアメリカは国連や諸外国との様々な交渉を開始。 結果は今だ不明なものの、コリマと国連からの借りがあることもありアメリカ内部の不満も以前よりは少ないことと、大樹やその他ダエーヴァ兵器の残骸を研究材料として提供することでインド方面への貸しも作れるため、大統領は交渉に前向きである。と定例のスピーチで述べていたのであった。 担当マスターより▼担当マスター 樹 和寿 ▼マスターコメント
お待たせいたしました。北米戦役キャンペーン最終回リアクションの完成となります。 |
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