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【アナザー北米戦役最終回】 決戦! 黒い大樹!!

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【アナザー北米戦役最終回】 決戦! 黒い大樹!!

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07 大樹破壊のために

 
 
 
 そしていよいよ、大樹破壊の時が近づいていた。
 【※サクロサンクト】で防衛を行い【※エンペラー・オブ・エイコーン】の護衛もある。ただでさえ鮮烈後方に位置しているラグナロクに接近できる敵はほとんどいなかった。
 更に戦闘開始時より徹底して指示されてきた再生や生産能力の有る個体を優先しての撃破と、残骸を焼払って修復の材料とさせないこと。この2つの支持のおかげで敵の生産能力をこちらの攻撃能力が上回るような状況になってきていた。
 そのためにラグナロクに接近できる敵は更に減り、万が一接近してきた敵には夏侯 淵(かこう・えん)の【※ドラゴンアヴァターラ・ストライク】やカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)の【※レギオン・オブ・ドラゴン】などでの迎撃が加わり、現在のところラグナロクは一切の攻撃を受け付けていなかった。
 またカルキノスは【※マレフィキウム】の対象にグレースを指定することでグレースに力を送り込んでおり、このことは結末を変える一因となったのであった。
 
「さあ、どんどん道を開くで!」
 太輔はワープを使って敵の後ろや側面に出現。無防備なすきを突いて防衛機構を撃破し、朋美のために道を開こうとしていた。
「ウィンダム、下だ、下!」
 そう言ってウィンダムに指示を飛ばすのはバンデリジェーロに同乗するフランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)だ。
 音の連なりから次の音を読むように、シューベルトは敵の配置から敵の次の動きを読む。
 そして、悪魔である讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)の能力を利用してワープでの戦闘を繰り広げるバンデリジェーロのコクピット内部は、若干微妙な空気が漂っていた。ことがパイロットたちの色恋の問題であるから多くは語らないが、いかに雰囲気が微妙であれそれを戦いのコンディションにまで持ち込まないあたりは流石というべきなのだろう。
「さて……シリウスはん、後ろからの援護と…あと、この攻撃ラインにして当方の防衛ラインの最前線を抜かれんように、頼んまっさ!」
 太輔は小隊リーダーのシリウスにそう言うと、ワープを利用した独特の戦いを継続するのだった。

「大丈夫ですよ、ソフィーチカ。あの時と同じです。私達なら、大丈夫」
 そんな風にパートナーに語りかけるのは佐那だ。
「はい、ジナマーマ」
 佐那の養子であるソフィア・ヴァトゥーツィナ(そふぃあ・う゛ぁとぅーつぃな)は佐那の声を聞いて精神を落ち着けると、乗機であるユノーナ・ザヴィエートからブレードビットを無数に打ち出し、次々と大樹に傷をつけていく。
 さらに多弾頭ミサイルをブレードビットでつけた傷口に向かって放ち、傷口を広げていく。

「アナザー…ここは、ボク達の世界とは違う「世界」。けど、どこでだって共通してる事があるよ、多分。誰かの恣(ほしいまま)な欲望で、他の『誰か』が踏みつけにされていい筈はないって事。グレースの心に、なにを仕掛けたのさ! 弱みに付け込む…人の心の…強さを求めるのは、自分の弱さを思い知らされた者の性(さが)ではあるけど、許されることじゃないよ! それとも、お前たちにとってはボクたちは殲滅すべき虫けらだから、何とでも扱って構わない…とでも?」
 出撃前にグレースの決意を聞いていた朋美。群がる球体を打ち払いながら投げかける言葉に、答えはない。
「どっちの世界でも、メリケンさんはメリケンさん。はよドンパチは終わらせて、家に帰ってお米のお茶漬けいただきまひょ! あのぬか漬け、そろそろええ具合になってると思いますわ。それになにより…パンよりもやっぱり、日本人には米どすわな。」
 代わりに、玄祖母の英霊である高崎 トメ(たかさき・とめ)がそんな言葉を返す。
「そうだね。さっさと終わらせて、さっさと帰ろう……!」
 それが、朋美が覚醒するきっかけだった。
「朋美、覚醒……行けるか!?」
「うん!」
 シマックの言葉に頷くと、朋美は覚醒をする。
「ボクは! 日本に! オリジンに帰る!! そのためにも、この戦いは負けられないんだああああああああああああああ!!!」
 そして、覚醒した朋美のバスターレールガンが、黒い大樹に巨大なヒビを作った。

 それを見て、ハデスは出番を確信する
「さて、そろそろ出番か。……カリバーンよ、よいか。まだフルパワー稼働できる時間は短い。黒い大樹に近づいたら、全力攻撃で一気に勝負を決めるのだ!」
 カリバーンに語りかけながら、ハデスはグレートエクスカリバーンを発進させる。
 発信したグレートエクスカリバーンは追加ブースターを吹かしながら大樹に接近すると、すぐさま【※ヴィサルガ・プラナヴァハ】で覚醒する。
「俺が大樹までの道を切り開き、幹に傷を付ける! 皆はそこを集中攻撃してくれ!」
 その言葉とともに、カリバーンは荷電粒子砲を発射する。
「クックック……さすがの大樹も射程外からの攻撃では手も足も出ないか」
 ハデスはほくそ笑みつつ更なるデータ取得のためにカリバーンに指示を出す。

「このタイミングだな。ヴィルサガ……ラグナロクも攻撃に移る!」
 そのタイミングで、ラグナロクも覚醒状態に入る。
「さあ、【※真なる神となれ】」
 さらに淵によってエネルギーの消費がゼロにされる。
「艦載用大型荷電粒子砲……発射!!」
 グレートエクスカリバーンとラグナロクの二発の荷電粒子砲で、戦場は一時的にだがかなり広くなった。
 カリバーンはそのまま大樹に突撃すると外部装甲をパージし神剣形態となる。
「ファイナルイコンソード!」
 そして覚醒状態から繰り出されたファイナルイコンソードが、大樹の外壁に大きな傷をつけた。

「知れよサルヴァ! なす術も無くお前らに、理不尽に、無意味に、ただ蹂躙されていた! 未来に繋がることなく、殺され続けていた明日を奪われた人々の嘆きを!! それでも、涙を流し血を流しても歩くことを辞めない! いつしか希望へ辿り着こうという、命の熾烈な叫び! その輝きを、その強さを思い知れ!!」
 パワー任せのチャクラムホロウで群がる防衛機構を切り裂きながら突進するのは、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)
が操る夜叉だ。
 漆黒のインテグラルナイトはイコンホースにまたがりながら大樹に向かって突き進む。
「ヴィサルガ起動! 夜叉よ! 今こそ真なる鬼神となれ!!」
 【※ヴィサルガ・プラナヴァハ】および【※真なる神となれ】で覚醒からエネルギーの消費をゼロ化する。

「布都御霊……超大型!! モーション、ファイナルイコンソード!!!」
 唯斗は神武刀・布都御霊を超大型の件に変化させると、常人の目には全く動いていないように見えるという剣技のモーションに入る。

「荷電粒子砲、続けて発射!!」
 ダリルがラグナロクから荷電粒子砲を放つ。
 
「これが人々の、希望の剣。そして剣はその理の下に、ただ斬るのみ! 吼えろ夜叉! 魂のままに! 一刀両断!我が一撃は剣の理! 俺が!全てを断つ!」
 荷電粒子砲の支援を受けつつ、夜叉の布都御魂が振るわれる。
 それはグレートエクスカリバーンがつけた傷にさらなる亀裂を広げる。

「よっしゃ、もう一発だ!!」
 エネルギー消費をゼロにした分、夜叉には再度の攻撃の余裕がある。
「ジーナマーマ!」
 それを見て、ソフィアが佐那に声をかける。
「行きましょう、ソフィーチカ!」
「はい!」
 そしてユノーナ・ザヴィエートが覚醒し、ビームランスを自らが作った傷口に突き刺す。
「ファイナルイコンソード!」
 唯斗が。
「ファイナルイコンソード!」
 ソフィアが叫ぶ。
 二重のファイナルイコンソードが、大樹の傷をさらに広げた。