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イケメン☆サマーパーティ

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イケメン☆サマーパーティ

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休憩スペースに集う人々

 メイン広場の端に作られた休憩スペースに、皆川 陽(みなかわ・よう)テディ・アルタヴィスタ(てでぃ・あるたう゛ぃすた)が両手にいっぱい食べ物を抱えてやってきた。
「テディ……本当に制覇するつもりなの?」
 どちらかと言えば食が細い方の陽は、2人がけのテーブルを埋めつくさんとする量の食べ物に、見ているだけで胸焼けがしてくるようだ。
「何弱気になってるんだよ! 僕と陽の2人なら出来ないことはないって。この日のためにトレーニングもしたじゃん!」
 毎回のコトながら、どうして根拠もなく強気でいられるんだろうと、陽はこっそりと持ってきた胃薬を確認する。こんなのを持ってきているなんてテディにバレたら、何を言われるかわかったもんじゃない。
「なんでいつもこうなんだ……」
 落胆しているのも束の間。同じように大量の食べ物を持ってくる4人組が近くのテーブルに座る。
 同じようなことをしてるヤツがいるといち早く気付いた御剣 恭哉(みつるぎ・きょうや)は、2人に声をかけてみた。
「あんたたちも食い倒れか? 期間限定となる祭は、あとで同じ味は絶対に楽しめんからな。今のうちにたっぷり食っておきたいぜ」
「へぇ……テディみたいな人、他にもいたんだ。ボクが珍しいタイプなのかな?」
 いつも弱気だけれど、今日くらいはみんなに合わせてみようかな、なんて思いながらテディを見れば何やら不機嫌な様子。
 轟 雷蔵(とどろき・らいぞう)ツィーザ・ファストラーダ(つぃーざ・ふぁすとらーだ)も仲良く分け合いながらたくさんの種類を食べるようだし、城定 英希(じょうじょう・えいき)も1人分とは思えない量を広げている。
「……けないんだから」
「テディ?」
 ぎゅっと拳を握りしめていたかと思うと、勢いよく食べ始める。
「やるからには絶対に勝ァつ!! 陽、僕たちが1番早く屋台制覇するよ!」
 小さな身体をして、どこに吸収されていくのか分からない勢いで無くなっていく食べ物たち。喉に詰まらせないかと心配する陽を余所に、食い倒れツアーの面々はその食べっぷりを高く評価する。
「これは、俺も負けてらんないね。この飯、おろそかには食わぬぞ!」
 英希が気合いも新たに、しっかりと味わいながら食べていく。途中、喉を潤している飲み物はどうやらアルコールのようなのだが……。
「あの体で見事な食いっぷり……やるな、戦友! あ、でもツィーザは無理しなくていいからな?」
「食べて食べて食べまくる……って、風情も何もないと思ってた。でも……賑やかだね連れてきてくれてありがとう」
 つやつやと光るリンゴ飴を手に、どうやって食べればいいんだろうと戸惑いながら、少しずつ色んな物を口にしていく。お祭りの雰囲気がそうさせるのか、そのどれもが美味しくて食べ物屋巡りもそう悪いことではないかなと感じていた。
「お、ここのフランクフルトうまいぜ。みんなも食べてみなよ♪ 確かこの店はあっちの通りの……?」
 恭哉がオススメの物を紹介すると、口々にあれは外せないとか、あっちは要注意だとか色んな話しで盛り上がる。
 食べることが好きな物同士とは言え、学校も違えば好みも多種多様だろうにそんなことは関係なく楽しんでいた。
「ふむ、親善露店の企画は上手くいっているようだな」
 遠目から様子を窺っていたルドルフは、文化の違いで仲違いを起こさないかという点を危惧していたのだが、珍しい食べ物に驚きこそすれ、否定する者も出ず楽しんでいる様子に微笑みを浮かべる。
「ああ、この様子じゃあ綻び始めるのも早いだろう」
「いや、よく見るんだエリオ」
 楽しそうに談笑する生徒たちは気付いていないが、確実に胸に挿した白い薔薇はその蕾を綻ばせている。
「へぇ……夜には間に合いそうだな」
 振り返った先にある、ステージ。今はライブの準備中だが、その後はイケメンコンテストが予定されており、この広い校内をまわるだけでも多くの露店が楽しめることだろう。
「心配には及ばなかったな。各々に任せて問題無さそうだ」
「あとは、アレの成功を祈るばかりだな」